第2話 榊原

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 ―もうすグ、つながル、あの子と子羊ちゃン。

 はやク、つれテ、おいデ?―

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 有由斗あゆとは、ハッとした。

 …夢だったのか。最近、こうやって、誰かに呼ばれる夢をみる。

 窓から見える校庭に生えている、紅葉を眺める。

 …窓際の席は、ポカポカしてよく寝てしまうんだよな…。


 変わらない日常。

 高校2年生まで、平和に暮らしてきた。

 友達作って、勉強して、寝て、食べて……。

 それなのに。


「突然ですがね、転校生を紹介しますよー?

 皆さん、仲良くして下さいねー。」

 担任の先生の突然のお知らせ。

 当然、クラスはガヤつく。

 …は?この時期に?それに、ここは、進学校だぞ?そんなことできたのかよ。


 俺を、引きずり込んだのは、一体誰?


「こんにちは、榊原さかきばら つかさです。よろしくね。」


 空気が変わる。

 それほどに、容姿が端麗たんれいすぎた。

 どことなく、中性的なイメージを受ける。

 人の目を惹くような、不思議なオーラもはなっている。


 関わっちゃいけない、はずだった。


「では……と。席は……ん、結城ゆうきくんの所が空いてますね。あそこです、あの窓際の……。」


 …あぁ、なんだ、結城くんか。あの、窓際の。

 ……って、俺じゃねぇか!


「結城 有由斗くん、色々頼みますね!」


 きっと、俺達が出会うことは、運命。


 すたすたと俺の横にきた、美青年は、クスッと微笑みかけ、囁いた。


「これから宜しくね?結城くん。」

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