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「アギ王女、リルクさんとのことは?」
「エルフ王から許しはいただいておりません。でも平気よ。エルフ王なんて恐くないもの。赤ちゃんが出来たらエルフ王もぐうの音も出ないわ。それより、タカ王子はどうしてここに?」
さすが、アギ王女だな。
エルフ王を上回る度胸だ。
「アギ王女、エルフ王と魔術師パギに逢わせていただけませんか?」
「……エルフ王に?よろしくてよ。ついていらっしゃい」
慌てるナギを無視し、アギ王女は俺達を城内に招き入れた。
―エルフ城、大広間―
「随分騒々しいな。アギ王女、一体何事だ」
「エルフ王に逢わせたい人が」
「逢わせたい人?リルクなら断る」
「こちらからお断りよ。タカ王子がいらしてるの」
「タカ王子だと!この不届き者め!やっと帰還したのか!」
「そんなに怒鳴らないで。タカ王子との婚約を解消したのは私なの。何度お話すればわかって下さるの?タカ王子、皆さん、どうぞお入りになって」
俺達はみんなでエルフ王の前に立つ。
エルフ王は優香に視線を向け、目を見開いた。
「なんというはしたない恰好をしているのだナギ!ん?ナギではないのか?キギ?コギ?いや、違うな。二ギなのか?」
エルフ王ですら、我が子と優香の区別がつかないとは。
「お父様、どうして僕なんだよ。彼女は地球人、タカ王子の恋人だよ」
「……な、なんと!?この女性が浮気相手!?しかも、地球人だと!パギよ、魔術で豚に変えてしまえ」
「……豚って!待って!パギ、そんなことをしたら僕が許さないからね。姉さんが婚約解消したんだよ。タカ王子にも優香さんにも罪はないんだ。それに、ナイトだって罪はない!パギ、ナイトに掛けた魔術を解いてよ」
魔術師パギが杖を付き立ち上がる。
身長は低く腰は曲がり、尖った耳、しわくちゃな顔の中心には大きな鷲鼻。
「国王陛下のご指示じゃ。わしの一存で魔術を解くわけにはいかぬ。のぅ、エルフ王よ」
「そうだな。国王陛下の許しが出たのか」
俺はエルフ王に跪く。
「国王陛下にはこれから謁見致します。その前に、ナイトを元の姿に戻して欲しいのです」
「なぜだ」
「俺達はもう一度地球で歌いたい。四人で歌いたいのです」
ナイトがエルフ王に跪く。
『エジソン大元帥やレオン大佐のように、罰を受け入れる覚悟です。魔術師パギ、獣族の誇りである耳と尻尾を切り落としても構わない。だから……俺を人間にして下さい』
「な、なんと、人間に!?」
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