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『上原優香と言ったな。動物たちがお前と話しをしていたが、お前は動物と話が出来るのか?まさか、人外……?』
「……私は人間です。でも、あなたの声はちゃんと聞こえてるわ。シャムのあなたはエジソン大元帥。アメリカンショートヘアのあなたはレオン大佐。私に銃口を向けているゴリラのゴーラル少尉」
「俺はゴリラではない!」
「だって、その顔がマスクでないのなら、ゴリラにしか見えないもの。イケメンだというのなら、マスクを取って顔を見せてよ」
「な、なにを小癪な!エジソン大元帥、このオンナを射殺して宜しいですか!」
――殺される……。
思わず瞼をぎゅっと閉じたが、エジソン大元帥が首を横に振り、ゴーラル少尉が引き金を引くことはなかった。
『ならぬ!このオンナは生きたまま王国に連行する。大事な人質だ。傷付けてはならぬ』
「……わかりました。オンナ、命拾いしたな。早くお二人の首輪を外すのだ!」
私はエジソン大元帥に近付く。
首輪に手を伸ばすと、鋭い眼差しが私をとらえ、思わず背筋がゾクッとした。
『お前は生まれつき動物の言葉がわかるのか』
「……違います。昨年飼い猫の声が聞こえるようになりました。姿も……人みたいに見えるようになったんです」
『飼い猫だと?』
「……はい。野良猫ですけどね。顔は人間みたいな肌をしていて、獣耳と尻尾があるわ」
エジソン大元帥とレオン大佐が顔を見合わせた。
『……もしや、カメナシ』
「どうしてかめなしさんの名前を知ってるの?」
『カメナシにかけられたエルフの魔術が、お前に不思議な能力をもたらしたのか……?』
エジソン大元帥の言ってる意味が、私にはサッパリわからない。
『あのサファイアのリングはどうしたのだ』
「……あれは矢吹君が私にプレゼントしてくれたの」
『ヤブキ……か。お前はアイツの真の姿を知らないのか』
「矢吹君は異世界ファンタジーのボーカルで、今は俳優よ。超人気者なんだからね。矢吹君を傷つけたら、私が許さないから」
エジソン大元帥とレオン大佐が口角を引き上げ、不敵な笑みを浮かべた。
『ヤブキの真の姿を教えてやろう』
矢吹君の……真の姿?
異世界ファンタジーのボーカル以外に、まだ何か秘密があるって言うの……?
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