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 白昼堂々と動物病院に?


「エジソン大元帥、この女が例の……?」


『そうだ。間違いない』


「まさかエジソン大元帥とレオン大佐がこのようなお姿で、このような場所に囚われておいでとは……」


『王国を脱出する際に、エルフの魔術師に小動物にされてしまったのだ。地球に転移したが人間に捕まり拘束されてしまった。ゴーラル少尉、よくここがわかったな」


「テレビや週刊誌に、この女のことが掲載されていたので。この女を捕らえればタカ王子を誘き寄せるかと」


『なる程、偶然ということか。他の兵士はどうした?』


「国家警察や国軍により捕らわれた者もいますが、私同様異次元ポータルにて地球に転移し、全国に分散しエジソン大元帥とレオン大佐を捜しておりました」


『そうか。直ぐさま兵士を空港に集めるのだ。この女を人質として、王国に戻り再び反乱を起こす。王国の人族を皆殺しにするのだ!』


「畏まりました。オンナ、エジソン大元帥とレオン大佐の首輪と鎖を外すのだ」


「……私はオンナって名前じゃない。上原優香よ」


 恐怖から体はガクガク震えているが、精一杯強がる。


「俺が恐くないのか。俺は大阪で人間をナイフで刺した指名手配犯だ」


 人間をナイフで刺した……!?


 獣のマスク……

 迷彩服……


 よく見ると、シャムもアメリカンショートヘアも黒い軍服を着ている。


「あなたが……大阪で警察官をサバイバルナイフで刺した……」


「そうだ。よく知っているな」


「……首輪を外す前に、条件があるわ。そのマスクを外して顔を見せて」


 入院室には防犯カメラが設置されている。

 マスクさえ外せば、犯人の顔をとらえることが出来る。即ち、恵太を刺した傷害事件が解決出来る。


「何を言ってるんだ。これはマスクではない」


 マスクじゃない?

 だったら何なのよ?

 まさか特殊メイク?


 そういえば……

 拳銃を持つ手も毛むくじゃらだ。


 まるで本物のゴリラが二足歩行をし、迷彩服を着用し、人間の言葉を話しているようにも見える。


 シャムとアメリカンショートヘアは猫だけど、まるで同じ……。かめなしさんみたいに肌がスベスベしていない。


 これは……

 白昼夢?




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