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ナギはクスリと笑った。
「みんな僕の姉だよ。第一王女から第三王女は三つ子、第四王女から第六王女も三つ子、第七王女と第九王女も三つ子なんだよ。みんなお母様似なんだよ」
優香のクローンかと思った。
俺には第一王女とそれ以外の王女の区別がつかない。この中に入れば、ナギが王女に間違えられてもしかたがない。だって同じ容姿なのだから。
王女とナギの区別は、女性らしい体つき。即ち、豊かなバストがあるかどうか……。
「アギ王女、こちらへ」
「はい。お父様」
一人の王女が俺の前に立ち、膝を曲げ挨拶をした。
コバルトブルーのドレス、九人の王女はよく見ると、若干髪型とドレスのデザインが異なる。
「アギ王女、こちらは国王陛下の第二王子、タカ王子だ。このたびアギ王女との婚約が相整った」
「嘘っ!?お父様、私、人族の王子と結婚するのですか?」
「そうだ。お前はホワイトメイディ王国の妃となるのだ」
「それは……強制ですか?」
アギ王女は少し不満気に口元を歪ませた。
「アギ王女はエルフ王の第一王女だ。タカ王子に不満があるのか」
「いえ、お父様がお決めになったことに不満などありません。タカ王子は
アギ王女は優香とそっくりではあるが、性格は全く異なるようだ。とても気が強く、エルフの王女とは思えない。
「エルフ王、すみません。アギ王女と二人だけで話をさせていただけませんか?」
「もう二人きりになりたいと?初対面でそのような要求をされるとは、人族とは本能のままに行動する生き物なのだな。まあよい。アギ王女はもうタカ王子に差しあげた身、好きなように愛を育めばよい」
エルフ王の言葉に、ナギがクスクス笑いながら、俺にそっと耳打ちした。
「タカ、アギ王女に押し倒されないようにね」
「……っ、ナギ」
「わかってるよ。彼女のことを話すつもりなんだろう。タカ、僕はタカが義兄になるのは嫌じゃないよ。タカが本気で決断したなら、この現実を受け入れる」
「うわ、わ、勝手に受け入れるな」
「ジョーダンだよ」
ナギはクスリと笑った。
その笑顔が優香と重なり、思わず顔がほころぶ。
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