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「タカ王子、ナギ王子、何をヒソヒソ話しているんだ」


「お父様、何でもありません。僕は祝福しているのです。こんな素敵な義兄が出来るなんて夢のようですから」


 ナギのやつ、勝手に祝福するな。


「アギ王女、少し時間をいただけますか?」


 アギ王女にすっと手を差し出すと、王女はポッと頬を染めた。さっきまでの傲慢な態度とは異なる。


 ――あれ?と、思った瞬間、その手をピシャリと叩かれた。


「やっぱり間違えた。その子はイギ王女よ。私の三つ子の妹、第二王女です。タカ王子、私と妹を間違えないで下さいね」


 まじか……。

 そっくり過ぎてわかんないよ。


 こんなイタズラをして俺を試すなんて、アギ王女は子供染みているな。


「申し訳ありません。アギ王女、湖畔でお話を……」


「わかりました。参りましょう」


 俺はアギ王女に手を差し出す。

 アギ王女は差し出した手に、美しい手を重ねた。


 ――城の外に出ると、美しい湖が見えた。


 アギ王女に優香の話をしよう。

 そう思っているのに、なかなか話を切り出せない。


 先に口を開いたのは、アギ王女だった。


「タカ王子、こちらにいらして」


 アギ王女は俺の手を引き、小さな洞窟に誘う。エルフ王の言っていたことは、こういうことなのか……。


「ア、アギ王女……。待って下さい」


 小さな洞窟に入ると、そこに一人のエルフがいた。皮膚の色は白く、瞳の色はコバルトブルー。シルバーの髪色、大きな目と尖った長い耳を持つ純血種のエルフだった。


「リルクと申します。エルフ王家に仕える使用人でございます」


「アギ王女のお付きの方ですか?」


 リルクとアギ王女が顔を見合わせた。


「リルクは私の恋人です」


「……え、えーっ!?」


 想定外の展開に、俺は驚いている。


「アギ王女、恋人がいながら何故俺と婚約を……」


「お父様の命令は絶対なのよ。自分から逆らうことなんて出来ないわ。そこでお願いがあるの。リルクとのことをお父様に認めていただくためには、少し時間が必要だわ。暫く、私と婚約している振りをしていただきたいの」


 アギ王女の申し入れに、口元が緩む。


「何がおかしいの」


「これは失礼。実は俺もアギ王女と同じことを考えていました。俺も好きな女性がいます。その人は地球に住んでいて、俺はいずれ地球に転移したいと思っています」


「まあ!?地球に転移ですって!?」

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