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「カメナシ、ギダ殿下とアリシアが暗殺されたというのは本当か……」
「はい。ギダ殿下は斬りつけられたアリシアを庇われたのでしょう。背中を剣でひと突きされ、アリシアに覆い被さるように亡くなっていたそうです」
「国王陛下は……」
「国王陛下は半狂乱となられた王妃の傍に……。王妃がギダ殿下に縋り付いたまま離れられないそうでございます」
母がそれほどまでに、兄のことを……。
俺達はカメナシと一緒に階段を上る。
ギダ殿下の寝室の前には複数の国家警察官や兵士がいた。俺達に銃口を向けた兵士を、カメナシが嗜める。
「無礼者、この方々はタカ王子と、エルフ王のナギ王子であるぞ」
兵士はすぐに銃口を下げ、俺に最敬礼した。
「ははあ!これは失礼いたしました。ご無礼をお詫びします」
カメナシは寝室のドアをノックし、国王陛下に声をかける。
「国王陛下、タカ王子とナギ王子がお越しです」
ドアが勢いよく開き、泣き腫らした母が俺に抱き着いた。
「……ああ、タカ王子。生きていたのね……。地下牢に閉じ込めたことを許して下さいね」
「お母様……。ギダ殿下は……」
「わあああー……」
母は狂ったように泣き叫ぶ。
「お母様!お母様!」
「
母は俺の腰に差した刀剣を奪うと、自分の喉元に鋭い刃先を突き付けた。
「お母様、落ちついて!」
ナギが虹色のステッキを振ると、刀剣が薔薇の花に変わる。
母はそれを目の当たりにし、気を失った。
「カメナシ、王妃を寝室に運び休ませて下さい」
「畏まりました……」
カメナシはベッドの上に横たわるアリシアに視線を向け、祈るように瞼を閉じた。
娘を亡くした深い悲しみが、伝わってくる。
ナギはギダ殿下とアリシアに近付き手に触れた。
「ナギ、生き返らせることはできるか」
ナギは首を左右に振る。
「僕にその力はない。でも……まだ体温が残っているうちなら、エルフ王に仕える魔術師パギなら、二人を生き返らせることが出来るかもしれない」
「……生き返らせる!?そんなことができるのか!?」
「パギなら……きっと可能だ」
ナギはその場に跪き、両手で虹色のステッキを掲げ、祈りを捧げる。
――すると、寝室の床がまるで湖の底のように揺れ始めた。煌めくようなコバルトブルーの湖水が湧き上がり、二つの人影を浮かび上がらせた。
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