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「ナギ!起きろ!ナギ!」


「……タカ。ここは……」


「ホワイトメイディ城だ!行くぞ!」


 白馬から降り、ナギを背中に背負う。


「……タカ、ごめん。僕がいては足手纏いだよね」


「なに言ってるんだ。今こそナギの力が必要なんだ」


 城門には数名の国軍の兵士がいた。

 木の茂みにナギを座らせ、兵士に近付くと、槍をクロスし入り口を封じられた。


「城内に使用人は立ち入り禁止だ!」


「……俺は使用人ではない。タカ王子だ!」


「タカ王子?タカ王子は地下牢に投獄されている。ええい!見窄らしいなりをして、命が惜しくばさっさと立ち去るがよい!」


 城内からは女性の泣き叫ぶ声が聞こえた。


「……この騒ぎは何事だ!何かあったのか!」


「ギダ殿下とアリシアが暗殺されたんだ。国王陛下も王妃もたいそう悲しんでおられる。誰も城内に入れてはならぬとのご命令だ」


「……ギダ殿下とアリシアが暗殺!?まさか!」


「国軍と国家警察官が暗殺者を追っている。昨夜、ギダ殿下に成りすまし、地下牢よりナギ王子を釈放した者がいる。そいつが、ギダ殿下とアリシアを暗殺し逃走した犯人だ」


「……そんな」


 ギダ殿下に成りすまし、ナギを地下牢から釈放したのはセガだ。セガがギダ殿下暗殺の罪をきせられ、追われている……。


 ギダ殿下とアリシアを殺した真の暗殺者は、エジソン大元帥とレオン大佐だ。


 俺は城門の前で茫然自失となる。

 涙が溢れ、怒りと悲しみの感情が入り交じり、体の震えが止まらなかった。


 ――その時、城門にいた兵士が突然足元に倒れた。突然死ではないかと一緒焦ったが、兵士からは微かないびきが聞こえた。


「タカ、泣いてる暇はないよ。早く行こう」


 ナギが魔術で兵士を眠らせたのだ。


「セガはギダ殿下暗殺の犯人にされているんだよ。もしもセガが国軍や国家警察官に捕らわれ、その場で殺されてしまったら……」


「セガは公子だ。即刻殺しはしない。誤解は必ず解ける。そのためにも、城内に入り、真実を国王陛下に告げるんだ」


 城の門扉を開け、俺達は城内に足を踏み入れた。


 ギダ殿下の寝室は二階だ。

 階下ではカメナシ一族が寄り添い泣き崩れていた。


「……これは、タカ王子。いつ地下牢から出られたのじゃ。どうしてそのような見窄らしい恰好を」


 アリシアの父、ジャン・カメナシは使用人の服を着た俺がタカ王子であると直ぐに見抜いた。

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