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「……私はギダ殿下を愛しています。政略結婚などしたくはありません」
「政略結婚?アリシア、婚約者がいることを伏せ、ギダ殿下を騙していたのか」
「……国王陛下、お許し下さい。騙していたわけではありません。ギダ殿下を愛するあまり……申し上げることが出来なかったのです」
国王陛下は怒りを
「ええい!無礼者!王室を愚弄した罪は免れぬ!アリシアもカメナシ一族も引っ捕らえ即刻処刑せよ!」
国家警察官がアリシアとカメナシ夫妻を捕らえる。アリシアは大粒の涙をポロポロと溢しながら、ギダ殿下を見つめた。
ギダ殿下が国王陛下の前で跪く。
「国王陛下、どうかアリシアをお許し下さい。この私がアリシアを見初めたのです。獣族軍のエジソン大元帥という婚約者がいることを知りながら、アリシアを愛してしまったのです。エジソン大元帥には私から話をし円満に婚約解消してもらいます。
どうか、私達の結婚をお認め下さい」
「ギダ殿下、アリシアに婚約者がいることを知っていたのか」
「はい。アリシアには大変失礼だとは思いましたが、アリシアのことは全て調べさせました」
「……あぁ」
アリシアはその場で気を失い、ギダ殿下がその体を受け止めた。ジャンがギダ殿下に跪き、頭を垂れる。
「ギダ殿下、エジソン大元帥は話してわかる相手ではございません。獣族が国王であった時代より、国軍として王家に仕えた家柄でございます。先祖代々大元帥を務め、獣族軍を牛耳っております」
「どうしてそのような者を、アリシアの婚約者にしたのですか?」
「グラハム・エジソンはアリシアの命の恩人なのです」
「命の恩人?」
「アリシアが二歳の時に、森で迷子になったことがございまして……。一週間発見されず、妻も私も生存を諦めていたのですが、森の崖下に倒れているところを、当時十四歳だったグラハム少年が発見し救助してくれたのです」
「それがエジソン大元帥……」
「はい。アリシアは二歳だったので当時の記憶はございませんが、エジソン家より正式に婚約の申し入れがあり、アリシアが十八歳になりし時は、婚儀を執り行うこととなっておりました」
「……その約束が、今年ということか」
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