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 ――全ての謎が解けた……。

 獣族軍が反乱を起こそうとしている理由は、国王に対する不満だけではない。


 婚約者であるアリシアを、ギダ殿下に奪われたことによる反乱だということを……。


『ギダ殿下はエジソン大元帥からアリシアを奪った。暗殺されても仕方がない』


「アリシアが愛しているのはギダ殿下だ。エジソン大元帥じゃない?アリシアは政略結婚なんて望んではいない」


『王族は全責任を俺に負わせ、魔術をかけた。そして妹アリシアをも奪った。俺は王国には戻らねぇ。タカ、彼女は俺がもらった。お前はとっとと王国に戻れ』


「ナイト!」


 俺はナイトに彼女への誕生日プレゼントを託す。中身は異世界ファンタジーのグッズ、ウルフのぬいぐるみ。俺が異世界ファンタジーのタカであると、気付いて欲しかったから。


 小さな包みは俺の手を離れ夜空を舞い、放物線を描きナイトはそれを両手で受け止めた。


「ナイト、俺は日本に残る。彼女はお前には渡さない。必ず、奪い返す。それを彼女に渡してくれ」


 ナイトは俺に背を向け、公園を立ち去った。


 ナイトを説得することが出来なかった。

 俺はナギを救うことも、国王やギダ殿下を救うことも出来ないのか……。


 アリシアがエジソン大元帥の婚約者だということを、ギダ殿下は知った上で結婚するつもりなのか……。


 セガとナイトを王国に帰還させるつもりだったが、アリシアとエジソン大元帥の関係がわかり、このままでは済まされないと思った。


 ――夜の闇に向かって声の限り叫ぶ……。


「セガ!セガ――!」


 だが……

 そこに、セガの姿はなくセガの声もしなかった。


 ◇◇


 ―ホワイトメイディ王国―


 地下牢から解放されたカメナシ一族。

 国王の執事であるジャンとその妻アターシャは、大広間に通され、国王陛下とギダ殿下に謁見する。二人とも王室に使える身だ。


「カメナシ、地下牢より解放されたのは子息ナイトの罪を許したからではない」


「はい、重々承知しております」


「そなたの娘、アリシアのことだ。ギダ殿下がアリシアを見初めた。人族と獣族との婚儀は正直賛成は出来ない。だが、ギダ殿下とアリシアの婚儀はこの国の平和に繋がるであろう。アリシアがギダ殿下の妃となりし時は、カメナシを執事から解任し公爵の位を授けよう」


「有り難きお言葉ですが、国王陛下とギダ殿下に申し上げます。アリシアがどう申したか存じませぬが、アリシアには婚約者がございます」


「なんだと。アリシア、まことか」


 アリシアはブルブルと首を左右に振る。

 大きな瞳には涙が滲んでいる。


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