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「ギダ殿下との不貞を知れば、エジソン大元帥はアリシアを奪い返し、殺害するかもしれません。それだけではございません。国王陛下やギダ殿下のお命を狙うやも……」
「アリシアを殺害……。カメナシ、頼みがある。大至急、エジソン大元帥との話し合いの場を設けてくれないか」
「ギダ殿下が……エジソン大元帥と……?それは危険です。どうか、お止め下さい!」
「愛する娘を、エジソン大元帥に殺害されてもいいのか。私はエジソン大元帥に負けたりはしないよ」
ギダ殿下はアリシアを抱き上げ立ち上がる。
「ギダ殿下、エジソン大元帥との話し合いが上手く行かなければ、アリシアを獣族軍に引き渡すんだ。いいな」
ギダ殿下は無言で国王陛下の横を通り過ぎ、寝室に戻る。ベッドにアリシアを寝かせ、優しく口づけた。
「可哀想に。真実が語れず、どんなに苦しかったことか……。私の命に変えても君を守ると誓う。アリシア、待っていてくれ。すぐに戻るからな」
寝室のドアを開けると、そこにはセガ公子の姿があった。セガ公子は刀剣をギダ殿下の鼻先に向ける。
「……セガ公子、どうやって地下牢から脱獄した。私に刀剣を向けるとは、タカ王子の指図か……」
「いや、タカ王子はここにはいねぇ。俺の独断だ。話は全て聞いた。ギダ殿下はエジソン大元帥には勝てねぇよ。万が一、ギダ殿下が命を落とすようなことがあれば、この俺がタカ王子に何を言われるかわかんねぇからな。話し合いなら、俺に任せろ。ギダ殿下、地下牢から、エルフのナギ王子を釈放する。先ずは……服を脱いでもらおうか」
セガ公子は、ギダ殿下の首周りを飾るカーキ色のラフ・カラーを刀剣で触り、ニヤリと笑った。
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