26

 懐かしいUFOキャッチャーに、コインを入れて二人で盛り上がる。


「Hello! Will you go out with me?」

(こんにちは。俺とデートして貰えないかな?)


 へっ……?

 後ろで……声がした。しかも英語だ。


 美子と顔を見合わせる。

 美子は目で『相手にしちゃダメだよ』と、そう訴えている。私も目配せし『わかってる。任せて』と、答える。


 恐る恐る後ろを振り返り、勇気を出して英語で答える。


「NO ……NO ……ん……あれっ?」


 私の目の前に立っていたのは……


 ――矢吹君!?


「や……や……や……」


 私は目を見開いたまま、言葉を発することが出来ない。


「上原、フリーズしてるよ」


 矢吹君が私を見つめて笑ってる。


「……どうして、ここにいるの?」


「日本に戻ったんだ」


「……うそ」


「さっき、上原の家に行ったんだよ。おばさんが『渋谷か原宿に行ってるはずですよ』って教えてくれて」


「ママが……」


「渋谷なら、多分ここかなって。俺のカンは当たってたな。やっぱりいたし」


 矢吹君が……笑ってる。


 これは夢じゃないよね?


 一年振りに会った矢吹君は、以前にもまして大人びていて、爽やかで、カッコよくて、イケメンで。


 私は口をポカンと開けたまま矢吹君を見つめる。


 ――ドキドキドキドキ……。


 やばい……。


 心臓が……口から飛び出しそうだ。


「矢吹君、久しぶりね。もうずっと日本にいられるの?」


 美子が矢吹君に問う。

 私が聞きたかった事を、私の代わりにサラリと聞いてくれた。


「うん、ずっと日本にいるつもりだよ」



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