20
警察官という仕事に意欲を燃やしている俺だが、実は困ってる事が一つある。
それは四歳年上の婦人警察官。
名前だけ見ると、スレンダーな美人を想像するだろうが、彼女はちょっとぽっちゃり系。いや、かなりの、ぼってり系。
巡業に訪れた関取と同じくらい迫力はあるが、顔は垂れ目でパンダみたいに愛嬌がある。
彼女は先輩だが、何故か気にいられてしまった俺は、城田美咲にストーカーされていると言っても過言でないくらい、付き纏われている。
婦人警察官がストーカーって、ありえないから。
でも、先輩だけに断れない。
俺は遠距離恋愛中で優香という彼女が、東京にいると話しても、諦めてくれない。
どーすればいーんだよっ!
俺達のことは署内で噂になり、先日署長から厳重注意を受けた。
何で、俺なんだ?
付き纏っているのは美咲なんだよ。
でも署長に、その言い訳は通用しなかった。何故なら、城田美咲はその体形に比例するくらい人望も厚く、有能な婦人警察官だからだ。
俺の出世は、美咲に邪魔されたも同然。
一生、交番勤務になりそうだよ。
――そして今日も、仕事を終えた美咲が、俺を迎えに来る。
勿論、厳重注意を受けたあとだけに、派出までは来ない。
交番近くの喫茶店で待っているんだ。
行かなければいいだろうって?
そんな、怖いことはできねぇよ。
勤務を終え喫茶店に入ると、美咲が丸い顔を、更に丸くして笑うんだ。
そしてグローブみたいな手を、千切れんばかりにブンブン左右に振る。
「恵太、ここやでぇ〜」
大声で呼ばなくても、その巨体だ、十分見えてるっつーの!
「遅くなりました」
「お疲れ。今日は交番どうやった?大変やった?」
「酔っ払いの女性が来て、寝てしもうたんや。それで遅うなってん」
「またかいな。ここは繁華街やし、しゃ〜ないなぁ。それでどないすんの?今日は二人で飲みにいかへん?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます