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 警察官という仕事に意欲を燃やしている俺だが、実は困ってる事が一つある。


 それは四歳年上の婦人警察官。城田美咲しろたみさき、二十八歳に関することだ。


 名前だけ見ると、スレンダーな美人を想像するだろうが、彼女はちょっとぽっちゃり系。いや、かなりの、ぼってり系。


 巡業に訪れた関取と同じくらい迫力はあるが、顔は垂れ目でパンダみたいに愛嬌がある。


 彼女は先輩だが、何故か気にいられてしまった俺は、城田美咲にストーカーされていると言っても過言でないくらい、付き纏われている。


 婦人警察官がストーカーって、ありえないから。


 でも、先輩だけに断れない。


 俺は遠距離恋愛中で優香という彼女が、東京にいると話しても、諦めてくれない。


 どーすればいーんだよっ!


 俺達のことは署内で噂になり、先日署長から厳重注意を受けた。


 何で、俺なんだ?

 付き纏っているのは美咲なんだよ。


 でも署長に、その言い訳は通用しなかった。何故なら、城田美咲はその体形に比例するくらい人望も厚く、有能な婦人警察官だからだ。


 俺の出世は、美咲に邪魔されたも同然。

 一生、交番勤務になりそうだよ。


 ――そして今日も、仕事を終えた美咲が、俺を迎えに来る。


 勿論、厳重注意を受けたあとだけに、派出までは来ない。


 交番近くの喫茶店で待っているんだ。


 行かなければいいだろうって?

 そんな、怖いことはできねぇよ。


 勤務を終え喫茶店に入ると、美咲が丸い顔を、更に丸くして笑うんだ。


 そしてグローブみたいな手を、千切れんばかりにブンブン左右に振る。


「恵太、ここやでぇ〜」


 大声で呼ばなくても、その巨体だ、十分見えてるっつーの!


「遅くなりました」


「お疲れ。今日は交番どうやった?大変やった?」


「酔っ払いの女性が来て、寝てしもうたんや。それで遅うなってん」


「またかいな。ここは繁華街やし、しゃ〜ないなぁ。それでどないすんの?今日は二人で飲みにいかへん?」

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