【3】脳内大パニック? 摩訶不思議。

12

 憂鬱な気分のまま二階へ駆け上がる。入院室の扉は開いたままになっている。


 私の顔を見て動物達が騒ぎ出す。


『うわっ!イチゴのパンツじゃん!』


 チョコレート色のミニチュアダックスがそう叫んだ。人懐こくて可愛いと思っていたのに、声が聞こえその姿が人間のように見えるとなると話は別だ。


 ダックスの名前はチョコ。ヤンキーのダルメシアンとは異なり、アイドルみたいな大きな目をし、可愛い顔をしているが、口は悪い。


「誰が苺のパンツ?」


『ゲッ……!?な、な、何で……!?』


 私はチョコを見てニヤリと笑った。


『き……聞こえてんの?新人さん……』


「聞こえてるわよ!苺のパンツ穿いてて何か文句ある?」


『い……いやいや……別に。なんでコイツ聞こえてんだよ?まじでキモい。宇宙人か?』


 チョコが周りの動物達に、問い掛ける。


『本当だ。薄気味悪いな、お前は化け物か?オバケ!オバケ!』


 チョコの隣で騒いでいたチワワの容姿は、小柄でキノコみたいな髪型をした児童だった。名前は豆太まめた、ぴったりだ。


「オバケって?誰のこと?」


 私は腕組みし豆太を睨む。


『ひぇぇ……怖えぇ……』


 豆太がゲージの隅で、震えている。


「クスッ。怖がらなくても大丈夫だよ。さぁ、掃除するからね。大人しく順番待ってるのよ」


 私は動物達の顔を見渡した。

 みんな、ビビッてるよね。


 人間に会話を読み取られているのだから。私なんて、会話だけじゃない。みんなが人のように見える。獣耳と尻尾を生やした毛むくじゃらの人間。私がオバケなら、彼らは妖怪だ。


 最初は混乱したけど、一年前のことを思い出し、少しずつ落ち着きを取り戻した。


 みんな、かめなしさんと同じなんだ。

 だから、恐れることはない。


「みんな返事は?」


『は、はい。姐御、わかりました』


「姐御!?」


 驚きのあまり奇声を発した。その声に動物達は怯え、化け物を見るみたいに震えている。


 ていうか、私は花も恥じらう乙女ですから。


 化け物とは、失礼しちゃう。

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