【2】特殊能力レベルアップ? 摩訶不思議。
6
全速力でダッシュし、バス停に向かう。
美子はバス停で携帯電話を見ている。
「ハァハァ……。おはよ……美子……」
息を切らして、ハァハァ、ゼェゼェ。
短距離走の陸上選手には、なれそうもない。
せっかく整えた髪型も爆発している。
「優香、おはよう。今、LINEしたんだよ。また寝坊したの?だめだね。目覚ましで起きれないの?」
目覚ましの音で起きられたら、苦労しないよ。
この一年で驚くくらい大人びた美子。
やっぱり五歳年上の恋人の存在は大きい。
私なんて未だに童顔で体形も未成熟で、落ち着きもない。美子と並んでいると姉妹に間違われてしまうほどだ。
数分後バスが到着し、美子と乗り込む。
あと五分遅かったら、私はバスに乗れていない。遅刻確定だった。
「セーフセーフ」
「本当に、優香は変わらないね」
吊革を握り、美子が私を見て苦笑いしている。髪色はダークブラウン、肌はきめ細かくつるつるしている。ナチュラルメイクだけど、何気ない仕草も表情も色っぽい。
美子を大人にしたのは年上の恋人だ。
「美子が変わったんだよ。社会人になって色っぽくなったし。フェロモン放出しまくりだよね」
「何よ、それ」
「匂い立つような色気って。美子のことをいうんだね。やっぱり五歳年上の彼氏がいると違うよ」
「やだな。そんな目で見てたの?まだお子ちゃまの優香とは違うかもね」
「……何よ。お子ちゃまって」
「だってさ、恵太とだって、遠距離恋愛を一年しても平行線なんでしょ?年末年始に優香の家に泊まったのに何もなし。二十四歳の男女がひとつ屋根の下にいて、何もないなんて……ねぇ」
「や、やだ。美子こそ、変なこと考えないで。私と恵太は遠距離恋愛してないし。幼なじみに毛が生えただけだよ」
「……ぷっ、幼なじみに毛なんて生やさないで。毛虫じゃないんだから」
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