第8話 休日

Gカンパニーに雇ってもらった頃、時を同じくして、それまでお世話になっていた漫画喫茶からも脱出していて、中野5丁目にある空き家の玄関を住処とするようになった。


ただ、この空き家、今思うと相当ヤバイ場所だったと思う。もともと、小唄の家元のおばあちゃんが住んでいたらしいのだけど、、、というのも、その家元の仏壇があったのである。おそらく孤独死だったのだろう。全ての家具が放置されていて、とてもじゃないけど家の中にドカドカと踏み入れる勇気がなかった。仏壇の直ぐ隣の箪笥に、首の長い猫の置物があったのが、忘れられない。夜中に光を当てると、見下ろしてニヤァ~と、こちらに嗤いかけてた。家中そこかしこに、風景の写真が飾っていてた。


あの頃は、仕事が辛くて、帰ったら寝るだけだった気がする。だいたい週1の休みは、頭が痛くて一日中寝てた(これ、ウィークエンド頭痛というやつ)。休日に限ってこんな目に遭うなんて、、、お陰で夕方ごろに起きて、翌日朝方まで全く眠くない。むしろ気分は冴えていく一方で、困るということが頻繁にあった。


かてて加えて、クーラーが無いので部屋がサウナ状態。四面楚歌であった。もうここまで来ると外の公園のベンチで寝ようかな、とカジュアルに思ったり。傍から見れば、完全に基地外くんだった。 しかも、部屋にカーテンが無いので、朝は直射日光によって目が覚める!丁度、鈴木その子の顔面ライトアップ状態のそれ。 「お!、、おぉぉぉぉ、、」とゆがんだ顔をして起きて、立てかけてある古い鏡に僕の睨みつけた顔が映し出された。基地外だね。


そのころの唯一の楽しみと言えば、食事ぐらいなもので、思い返せば子供の頃、大人になったら毎日豪奢三昧したい、と願っていたものだが、その名残か事食事になると、僕は完全に豚みたいに我慢が出来なくなるのだった 。スーパーでさくらんぼ1パックを、自分の給料で買って全部食べる、という喜び。


中野の繁華街は、ラーメンだと「青葉」「味噌一」を筆頭に激戦区であり、その他、中華、イタ飯の老舗などがひしめき合っている。ラーメンに関しては「青葉」のつけ麺が一番好きだった。


お気に入りのイタ飯屋では、オマール海老の蒸し焼きのようなやつをよく注文していた、3800円也 。そのままでかいザリガニにコッテリソースをひっかけただけの見た目のみならず、取り合わせ無しという、この豪快さ(3800円も出したのに、、、)然し侮ってはイケナイのだ。仄聞するに、オマール海老は世界最大の海老なんだとさ。実際でかくて食い応え◎(小食の人は、半分ぶつ切りにしてもらった方が良いかも)触感も素晴らしく、口の中にいれると、な、なんて元気にプリプリしてくるんだ!! おつまみは4種類のチーズで1200円也!

おいしいもんがあったら即決!ブヒィ~。

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