第6話 類は友を呼ぶ?
「え?」
茜は宏史に目をやった。
「だってさ、見てよ。このメニュー。」
宏史はカフェのメニューをめくる。
「サヴォア、ブラマンジェ、ブリオッシュ。何これって感じするだろ?」
宏史の口からそんな言葉が出てくるなんて思っていなかった茜は目を見開いた。
「もちろん、こんなカタカナのなんか洒落た名前のお菓子は上品な味がして美味しいよ。でも、なんでもかんでもこう、高級感を出せばいいってもんでもないよな。」
「斎川くんはこんなお洒落なお菓子は食べないの?」
「たまに貰うから食べるよ。でも別に買ってまでなぁ。」
「だよね!」
茜は宏史が自分と同じ感覚を持っていることに喜びを覚えた。
「スーパーで買える麩菓子とかで十分だよな。」
「麩菓子は美味しい!」
まさかこんなところで金銭感覚が似ている相手に出会えると思っていなかった茜は、不思議な出会いもあるものなんだなぁと思った。そして奈津に感謝した。
二人はしばらく話し続けた。どこのスーパーが安い、お金をかけるべきものについて、今週のお買い得品・・・。専ら、お金の話だったが。
「すみません、他のお客様の迷惑になりますので」
そのようにおずおずとカフェの店員に話しかけられてはじめて茜は自分が話し込んでいたことに気がついた。
「ごめんなさい!」
こうして、茜には新しい友人が出来たのである。まさに、類は友を呼ぶ?
「あ、奈津にカヌレ買って謝りに行こう。」
「ちゃんとした店で買えよ。」
類は友を呼ぶ? 春野ハル @Leaf123
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