第3話 絶体絶命?

いくら吝嗇家で有名な彼女でも、知って然るべきことはあると思う。

「カヌレ、フィナンシェ、クイニーアマン。・・・何これ?」

笠川茜は鷹宮奈津に連れられてやってきたカフェの前で激しく目を泳がせていた。こうなった経緯というのは、今から3時間前に遡る。


「まーた、フラれたって?」

「姉貴!」

「だから、その変な呼び方やめてよ。」

茜に声をかけてきたのは、鷹宮奈津だった。奈津は茜の学部の友人である。大学からの友人だったが、二人はすごく仲が良かった。茜は姉御肌の奈津に度々面倒を見てもらっていた。まさに茜の姉貴、なのである。

「そうなんだよ、またフラれたんだよ。」

茜はショボンとした顔で奈津に言った。度が過ぎたケチがその理由だとは茜は気がついていない。

「奈津、話、聞いてくれない?」

「わかったわかった。それじゃあ、講義終わったら待ち合わせね。」

こうして、二人でカフェに行くという状況が出来上がったのである。

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