227 ちょっとした休日

 目が覚めると、枕元にさくらが丸くなり、両脇にニーニャとミーニャが寝ていた。漁師に綱……もとい、両手に花状態だ。ニーニャとミーニャも可愛いけど、大人の女性なら尚ベターだな。


 少し起き上がるとニーニャとミーニャも目を覚ました。



「にーに」


「にーい」


「ミャ~」



 みんな、迷惑掛けたね。もう大丈夫だ。


 心配そうな顔をしている三姉妹をギュッと抱きしめた。



「もう、起きて大丈夫ですか?」


「レイアんも迷惑かけたね」



 レイアは微笑みながら、三姉妹ごと自分を抱きしめてきた。



「ルークが頑張っているのはわかっています。ですが、ここに家族がいることだけは忘れないでください」



 さくらがニーニャとミーニャの間から顔を出して、二人の顔をペロペロ舐めている。姉として妹たちを気遣っているんだろな。可愛いからスリスリしてあげよう。ニーニャとミーニャも負けずにスリスリ始めた。



「ミャ~」



 もう、やめてよ~ってな感じで照れてるな。


 体調もよくなってきたので起きてみよう。


 着替えて、共用の部屋に行くとファル師匠がいた。



「もうよいのか?」


「はい、何とか」


「済まなんだな。こうなることはわかっていたのじゃが、あれ以外手がなかった」


「わかっています。真租は強かったです。第八魔王のダンピールもあのくらい強いのでしょうか?」


「そう、考えておくべきであろう」


「もっと強くならないと駄目ですね」



 もう一つ上のステージを目指さないと駄目のようだ。何かいい手はないのだろうか……。正直、手詰まりだ。地道にレベル上げしかないのだろうか。



 ずっと寝ていたので、お腹が空いた。クリスタルから何か出して食べよう。



「もう、起きてよろしいのですか?」


「あぁ、もう大丈夫だ」


「それは、ようございました」


「ん? なんか品物が増えてない?」


「はい。先日迷宮レベルが上り、交換できるものが増えたようでございます」



 テレビ? アニメやドラマ、映画のディスク。家電製品が充実している。そのほかにも、漫画や小説などもあるな。娯楽品も多くある。これ作った人何考えてるんだろうか? まあ、有意義に使わせていただくけどね。


 ニーニャとミーニャに心配させちゃったから、おわびにプレゼントしてあげよう。メイド隊の暇つぶしにもなるし。


 部屋に戻り、前に俺のベットがあった場所のソファーとテーブルを一度ストレージに収納して、壁際にテレビ台とテレビを設置した。夢の100インチタイプだ。



「ルークにゃん。それなんにゃ?」


「黒い板? 黒板か?」


「また……怪しいものですわ」


「……(コクコク)……」



 フフフ……。にゃんこ共がいつもどおり最初に喰いついてきた。さすが、好奇心旺盛のケットシーというところか。



「見てのお楽しみ」



 配線をセットしていく。電源は別ユニットでエナジーコアを使用する異世界仕様だ。パーフェクトディスク(映像ディスク通称PD)内蔵タイプなので設置も簡単だ。残念ながら地球のテレビ番組は受信できないみたいだ。受信でたら面白かったのにな。


 設置完了っと。テーブルとソファーをテレビの前に置き直す。



「ニーニャ。ミーニャ。こっちにおいで」


「あい!」


「ウミャ!」



 二人をソファーに座らせ、テレビの電源を入れディスクを入れる。


 入れたディスクは国民的なお子ちゃま番組の『それ食え! お鍋マン』だ。主人公のお鍋マンがお腹を空かせたお子ちゃまたちに、お鍋を食べさせて心もお腹も温か満腹にするアニメ番組。


 お鍋マンのほかに鍋奉行おじさんやしょっつる子さんに愛犬のトーフ、敵役のピロリんマンが出てくる。情操教育にはもってこいだろう。



「「「おぉー!」」」



 アニメが始まると、一瞬どよめきがあがりその後はテレビに釘付けになっている。


 にゃんこ共以外にも、メイド隊、エターナ、ほーちゃんもソファーの後ろで立ち見状態でピクリとも動かない。ニーニャとミーニャもテーブルに手を付き前のめりになって見ているので、ソファーに戻す。あんまり近くで見ちゃ駄目だからね。



「また、奇妙奇天烈なものを持ってきたのう」


「みんなの娯楽になればと思いまして」



 カツ丼を食べていたら、ファル師匠に話しかけられた。



「ライナスで魔王に繋がる重臣を、例の側近とブルームで屋敷に押し入って捕らえたそうじゃ」


「そうですか。どう出るか、今後が楽しみですね」


「例の側近はブルームに見張らせておる。何かあれば直ぐに、連絡があるはずじゃ」


「側近が動くか、国王が動くか、はたまた魔王が動くか」


「いずれにせよ。混乱は免れまい」



 これで魔王との関係が絶てれば良し。側近が動けば根が深そうだ。魔王が動けば更に厄介になる。できれば、穏便に済ませたい。あの近辺で国が乱れるのは余り芳しくないからな。


 その後、ライナス国がどう出て来るかで対処するしかない。当分、様子見だ。



 そう言えば、運営さんからメールが届いている。なんでしょう?


 なになに、明日の零時から翌日の零時までアップデートの為、ログインできません。丸一日入れないということは、こっちの時間で六日の間プレイヤーがいなくなるということだ。


 アップデート後は新エリア解放に新Jobと上位Jobの解禁、新種族の解禁と転生などが加わるらしいな。イベントもいくつかあるようだが、第八魔王との戦いが控えているので参加は無理そうだ。


 上位Jobの解禁は興味がある。今、中忍だから上忍もあるだろう。上位Jobになるにはクエストでしかなれないと聞いている。そのクエストが解禁されるのか?


 強くなるためにも、ありがたいな。




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