220 新しい家族
それからは、話が早かった。
マクモンさんの所に行き、コリンさんがうちに来ることの了承取る。
「まさか、本当にばあさんもらって行くとはな……」
「イヤイヤ、お願いして来ていただくんですよ」
コリンさんの家はマクモンさんたちが使うそうだ。最後によろしく頼むと言われた。来る気になればいつでもすぐこれるからと言っておく。
荷物はさくらのキティバッグに全部突っ込む。向こうで整理してもらえばいい。コリンさんがマクモンさんと女将さんに挨拶が終わったので降魔神殿に転移魔法で飛んだ。
一瞬のことだが、コリンさんは驚いていた。
取りあえず、コリンさんにはゆっくりとお茶してもらってる間に、オメガのもとに向かう。
オメガに事情を説明して、レイアの部屋を拡張してベッドや家具を追加する。ついでに俺の寝る専用部屋も作った。いつまでも、みんなの集まる部屋で寝るわけにもいかないから。ベッドのあった場所には大きなソファーとテーブルを置く。
元々は、さくらとうさ子の部屋だったが、完全に共用スペースになったな。いつの間にか秘密の部屋もできてたし……。
レイアに部屋を拡張してベッドと家具を置いたことを話すと、呆れられてしまった。なぜ?
オメガの所にいる間にコリンさんとゼータ、メイド隊、セアリアスとの顔合わせは終わっていた。残りは夕食の時だな。
夕食間に女性陣は露天風呂に行くようだ。さくらも連れて行かれた。残ってるのは、俺とほーちゃん、ミケ、タマ、トラ、遊びから帰って来たペン太だ。
ミケとタマをモフりながら
「男だけだと、むさくるしいな」
「ルークにゃんに言われたくにゃいにゃ!」
「そうだな、男に撫でられても嬉しくないな」
「クェー」
そう言いながらも、喉をゴロゴロ鳴らせている。体は正直だ。そしてペン太、なぜお前が鳴く?
トラのお腹を、モフってるとファル師匠とデルタも帰って来た。
「……編成は済んだ。何時でも派遣できるぞ」
「了解」
「なんじゃ? 部屋の様子が変わっとるのう」
二人にコリンさんのことを説明して、夕食時に紹介すると伝える。
「ファル師匠。明日、エルフのお偉いさんと会いますがどうしますか?」
「ほう。誰が来るか聞いておるか?」
「いえ、あるお方としか」
「ふむぅ。もしかすると儂の知人かも知れん。同行しよう」
「昼に、ルグージュの情報ギルドです。一緒に行きますか?」
「うむ。そうするかのう」
女性陣が風呂から上がってきた。マーズとオールも戻ってきたので、オメガも呼んで改めてコリンさんの紹介をした。
コリンさんはオールとデルタを見て驚いていたが、普通に挨拶をしていた。片や骸骨、片や元騎士団長の幽霊。この状況で平静を保つってのは、おふは安くおこしは固い……もとい、言うは易く行なうは難しって奴だ。さすが、コリンさんというとこか。
夕食は全員で取る。ゼータやメイド隊は食事をしなくても問題はないが、せっかくなのでみんなで食べる。ワイワイガヤガヤと、いつにも増して騒がしいが楽しい夕食となったな。
そんなみんなで楽しく食事をしている時、コリンさんがこの食事は誰が作っているのか聞いてきた。なんて答えるか迷ったが、正直にクリスタルというものがありそこから出せると答えた。
「口に合いませんか?」
「いえ、大変美味しくて驚いてるわ、ルークくん。でもね、レイア」
「はひぃ!」
「あなた、料理はちゃんと作ってるの?」
「あの、そのぉ、作ってません……」
「ハァ……明日の夜は、私たち達が作りますよ。ニーニャとミーニャに母親の味とい言うものを、教えなければいけません。いいですね。レイア」
「はい……」
となると、キッチンが必要になるな。オメガに言っておこう。食材も用意しないとな、調味料なんかもクリスタルから出せばいいだろう。
翌朝の朝練にはセアリアスも連れて行った。
「どうして私は陽の光の中で生きていられる? ハッ! ユニークスキルが芽生えたのか!?」
「ちげぇーよ! この砦はアンデットでも日中活動できる場所なんだよ」
「……orz」
うずくまったセアリアスを迅雷の小太刀の柄でグリグリしてやった。
「あぁ~ん。やめてくださいご主人様……やっぱりやめないで!」
ウ、ウザいなこいつ……。
取りあえず、みんなに紹介しておいた。更紗さんもデクスを連れて来たようだ。女性プレイヤーの輪ができている。羨ましくないんだからな!
それから、コッコに迷宮での出来事を語ってやった。ダイチは絶賛、端っこで正座中だ。もちろん、目の前には竹刀と魅惑のレオタードを持ったコッコが仁王立ちしている。奴は何をしようとしたんだ?
朝練をこなし終わりになる頃、セイさんたちにエルフのお偉いさんと会見すると話した。
「我々も参加したい」
「ファル師匠。どうですかね?」
「ふむ。代表ひとりならよかろう。今日は顔合わせのようなものじゃろう。おそらくな」
話し合った結果、セイさんが行く事になった。時間を決め、ギルドで待ち合わせにした。
転移でコボルト族のポチさんの所に行く。わんこがいっぱいだなぁ。もふもふしたいなぁ。可愛い小型犬から凛々しい大型犬まで選り取り見取りだなぁ。
おっといかん、またしても欲望の渦に巻き込まれるところだった。
「これはこれは、ルーク殿。よくこられたわん」
「大神殿の所へ派遣する部隊の準備が整いましたので、お知らせに」
「そうかわん。それでは、ケットシーの里まで部隊を進めて欲しいわん。そこからは、こちらで案内を付けるわん」
「よろしくお願いします」
「任せるわん。それから今フロック族と交渉中だわん」
「フロッグ族ですか?」
「違うわん。フロック族だわん。カエルの妖精だわん。自分達を竜騎士と呼んでる、大ジャンプと槍が得意な種族だわん」
頭痛がしてきた……。カエルなのになぜフロッグじゃない! まあそこはよしとしよう。しかし、大ジャンプと槍が得意で竜騎士って、なんでやねん! まぐれでしか当たらんとちゃうんかい! 大丈夫何だろうか? 心配になってくる。
「カルラ婆はドライアード族と交渉してわん。どちらの種族も冬に弱いわん。フロック族など話しながら寝てるわん。困ったもんだわん」
カエルだけに冬眠してるんじゃねぇ? お手柔らかにお願いしますね。ポチさんは天然っぽいし、カルラさんはいたずら好き、不安しかない……。
相手を怒らせないといいなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます