208 五天王の最弱……四天王じゃないの?
さすが、竜殺し。異常状態泥酔になった。世界が回っている……。
上善如水。上善は水の如し。さあ、やりますか!
「いいにゃ! お出汁無用らぁ!」
「某、お出汁は持ち合わせがありませぬが……」
「お、は、し」
「お箸ですか?」
「……酔っ払いに付き合うと馬鹿をみるぞ。勝手にやらせろ」
ひ、酷い言い方だよ。デルタ。ほんのちょっと呂律が回らないだけだぞ。意識ははっきりとしている……多分。
「フッフッフー。りゅんびはいいんにゃろうにゃ?」
「き、貴様こそ、大丈夫なのか?」
「もんらいナッシング!」
「そ、そうか? そうは見えんが……まあいい。我が糧となれ!」
「ちょぴ、たんま! きぼちわりぃー」
「ほ、本当に大丈夫なのか? 出直していいぞ?」
ストレージからポーションを出して一気飲み。おぉー、気分がよくなった気がする。
「またたびにゃ」
「そこは待たせたなだと思うが……まあいい。では、いくぞ!」
雑魚とは比べものにならないほどの剣撃が襲ってくる。だが、我が無我酒中の前では児戯にも等しい。当たらぬよ。フッ……。
ヴァンパイアも顔に焦りが見える。剣撃の間に魔法を放ってくるようになった。正直、凄い技量だ。俺にははまだできない芸当だ。感服する。おかげで、こちらが攻撃する隙を与えてくれない。
「……やるな、あのヴァンパイア」
「主は大丈夫でしょうか?」
「……さあな」
ほーちゃん、主人を信用しなさい。デルタもさあな、じゃないだろ! それからエターナとオールなに暢気にポップコーン食べてるわけ? ねぇ。お前ら後でレンジでチン……もとい、焼き入れてやるからな!
「クッ……忌々しい奴め。これでも喰らえ! ブフゥー」
口から緑色の霧を出してきた。汚ねぇーよ! ばっちいぞ! モスキート野郎。ってこれなによ?
「なぜ、効かん!」
何がしたいんだ? さっきから本当にばっちいな。それなら、お返しだ!
ストレージから牛乳を取り出して一気飲み。グビグビィと胃に到達。したと思ったら一気にリバース! 喰らえ! ミルクブレス(光属性付加)!
ヴァンパイアに白い霧が襲いかかる。
「グッハァ!」
シュウシュウ音をたて皮膚が焼けただれていく。胃酸のせいじゃないからな。
酷い二日酔いの時に牛乳やスポーツドリンク飲むと、なぜか吐くんだよねぇ。なんでだろう?
「き、貴様!」
物凄い目で睨んできた。最初にやったのそっちだろうが。
ヴァンパイアが棚にあった血の入ったワインボトルから、血を補給しようとしたので死剣で飲む瞬間に割ってやった。へっ、ざまぁ。
更にこちらを睨んできたので、俺は知らねぇよとそっぽを向いてヒューヒュー口笛を吹くふりをする。ヴァンパイアは残りのボトルに手を伸ばすが触れる前に割ってやる。
「お、おのれぇ!」
最後の一本も割ってやった。
「ほい、ボトルにゃ」
ヴァンパイアに向かってワインボトルを投げてやる。ヴァンパイアは慌てながらボトルをキャッチして中身を呷った。
「残念でした~。ただのワインですにゃ~。アハハハ……腹痛いにゃ~」
ヴァンパイアの目はもともと赤いのに更に血走る。目薬いるかい?
「おのれぇ!」
焼けただれていた顔が再生していく。反面、ステータス値が下がっていっている。自己犠牲での回復か?
「……見ているだけだが、ムカつく」
「久しぶりに魔王覚醒ですのう」
「主は魔王……だったのですか?」
「……(コクコク)……」
魔王覚醒って……。オールくん後で正座な。
ヴァンパイアのステータスは下がる一方、もうこれ以上の攻撃はないだろう。一度吐いて気分がよくなった。さて、けりを付けましょうか。
瞬動術で近づき腹に連続で死剣を喰らわす。爆発がおきヴァンパイアが吹っ飛んでいく。更に追撃で死剣を飛ばして攻撃。ヴァンパイアが立ち上がってきたが、HPはゼロ。なぜ、消えない?
「まさか、我が下等生物に敗れるとは……言っておくが我の他にまだ四人のヴァンパイアを倒さねば、主の下には行けんぞ。他の四人は我より強い。楽しみにしているがいい」
やっと砂になって崩れた。説明ご苦労さん。早く和らぎ水が飲みたい……今さらか。
「エターナ物色たのみゅー」
「……(コクコク)……」
「……続けるのか?」
「帰る。うっぷぇ……」
「主殿。その技、余り使わんほうがよいと思うのう」
同じことを、オメガにも言われた……。俺もそう思う。やっぱり封印かな、強力だが反動がありすぎ、継続戦闘ができない。
エターナの物色が終わり戻ってきた。宝箱が四つあったそうだ。
闇貴族のマント 回避力UP 浮遊 認識阻害
断罪のレイピア 相手の罪の重さによって攻撃力が変動
ヴァンパイアの指輪 死亡時にヴァンパイアにクラスチェンジが可能になる
エナジーキューブ クエストアイテム
うむ。たいしたものはないな。闇貴族のマントなんて誰が装備したがるんだよ! ってエターナさん! ウサギの着ぐるみがマントつけても似合わないぞ。うさぎがふよふよ浮いている。楽しそうだな……。ニーニャが欲しがりそう。
正直、クエストアイテム以外はどうでもいいな。残りはオールにあげよう。
さあ、帰ろうか。うっ、また気持ち悪くなってきた……。
珍しく猫娘爆弾が落ちてこない。代わりに姦しくて寝ていられなくなった。
何をしているのか見てみると、ニーニャがさくらと一緒に浮いてるねぇ。ニーニャは昨日の闇貴族のマントをつけているが、似合わないブカブカだ。やっぱり、気に入ったようだ。
そんなふよふよ浮いているニーニャに、ミーニャがうにゃうにゃ言いながらジャンプしている。さくらは仲間ができて嬉しそうだ。
メイド隊とにゃんこ共もやってみたくてそわそわしている感じだ。楽しんでもらえて何よりだ。あんなマントが供養の塔……もとい、無用の用とはな、わからんもんだ。
「どうしてルーク様は、こう面倒事を増やすのでしょうか。ハァ……」
なに? なんなの?
お、俺のせいなのか? ゼータさん。
ニーニャに見せたエターナが悪いんじゃないの?
俺は無実だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます