205 迷宮内の街でのクエスト

 降魔神殿に戻ると、エターナは人気者になっている。


 ウサギの着ぐるみが歩いている。珍しくミーニャが一番最初に飛びついた。



「ウミャッ!」



 フカフカの肌触りにご満悦のようだ。後は雪崩式だ。ニーニャからメイド隊と抱きつかれまくっている。メイド隊など自分たちのも欲しいなどと言う始末。自分で注文してください。


 ニーニャとミーニャの分は俺がちゃんと注文してきたけどね。きっと可愛いと思うよ。いや、絶対!



 夕食後に迷宮に出発。


 迷宮は地下四十四階、アンデッド祭りだ。


 聖なるオーブを使えば無双できレベルは簡単に上がる。だが、スキルレベルが上がらないので使わない。レベルよりスキルレベルが上がったほうが地の力が強くなるからな。


 俺にエターナ、ほーちゃんのレベルが大体横並びになったのでパーティーを組む、正直この仕様は面倒くさい。運営側的にはパワーレベリング防止策なのだろうが、種族、Job進化でレベルが一に戻ると凄くやり難い。まあ、文句を言っても仕方ないか。


 ほーちゃんの種族固有スキルの法術も、アンデッドに効果のある術がある。魔法(火)もアンデッドには効果的だ。


 しかし、気が滅入ってしまう。臭いがきついし狭い空間をずっと歩いている。下に降りる階段が見つからず、よくあることだが、東側に階段があると思い探すと、結局西側に階段があったりする。げんなりだ……。


 迷宮に入ったばかりの頃は、マップスキルでマップを全て埋めるのが楽しかったが、今は無理。マップが広すぎ。特に変わり映えしないし、アンデッドゾーンは実入りが少ない。もう少し下の階に降りれば、上位種も出てくると思うが、そこまではスキルレベル上げと我慢するしかない。


 エターナと俺は刀術スキル上げ、ほーちゃんは全体的な底上げを目指している。


 ウサギの着ぐるみが飛び跳ね攻撃している姿はとてもシュールだ。決してお子ちゃまには見せられない姿で酷い惨状だ。夢を壊してしまう危険大だ。


 ただ、宝箱から出てくるアイテムが光属性の付与されたものが出始めている。ほとんどが使い捨てのアイテムだが、その分気兼ねなく使える。光のダーツなどはいい例かな。ほーちゃんに持たせ投げさせている。そのうち投擲スキルを覚えるんじゃないだろうか。


 ほどなく、四十五階に降りる階段が見つかり降りると、そこには街並が広がっていた。


 セーフティーエリアかはまだ判断がつかない。人はちらほら歩いている。



「すみませんが、下に降りる階段知りませんか?」



 面倒なので、歩いている人に率直に聞いてみた。



「地下に降りられるのか? なんと豪胆な者たちであろう。是非ともこの街の代表にあってくだされ」



 なんて、棒読み……。どうやらこの階はクエストをこなさないと、先に進めないパターンのようだ。正直、面倒くせー。


 この街人Aに連れられて中央にある建物に連れて来られた。立派な建物だ。


 来る途中には、ウサギの着ぐるみが珍しいのか、お子ちゃまたちが後ろをついて来ていた。恥ずかしい……。俺が話を聞いて来るから、君たちはお子ちゃまの相手をしていなさい。飴の入った袋をエターナに渡す。


 さて、中に入ると奥の部屋に案内され、中にはちょび髭をはやしたジェントルマンが書斎の椅子に座っている。



「よくおいでくださいました。旅のお方。私はこの街の代表をしておりますリーと申します」



 この人は棒読みじゃないな、特殊キャラか?



「旅のお方は、この先の地下に行きたいとか。お願いでございます。この街の住人を助けていただきたい!」



 唐突だな、このパターンって何をどうやっても断れないやつだ。クエストをクリアしないと先に進めないから時間の無駄だ。さっさとやろうぜ。



「いいですよ。それで何をすればいいのですか?」


「よ、よろしいのですかな?」



 内容は今この街で蔓延している病気の薬の素材が、この下の階層のどこかにあるいるらしい。しかし、最近になりアンデッドが現れ、街の人では探しに行けなくなったという設定だ。


 単純に考えれば五十階のボスを倒すと手に入るというのがセオリーか?ほかのプレイヤーもいるのだろうか? いた場合は共闘でいいのか?



「我々以外にもこの依頼を受けているのですか?」


「はい。三組の方々にお願いしております」


「協力しておこなってもいいのですか?」


「もちろんです! 協力して苦しんでいる街の者をお救いください」



 街の中はセーフティーエリアらしく、武器屋や道具屋、宿は使えるそうだ。期限もない。五十階層までは長い道のりだ。気長に行こう。


 表に出ると、エターナに多くのお子ちゃまたちが群がっている。人気者ですなぁ。エターナの場合、兎の威を借る狐ミミってところか。まあ、飴ちゃんの影響も大だろう。


 ストレージから更に飴を出して増えたお子ちゃまたちに配る。みんな喜んでいる。お礼と言って、下の階層に降りる階段の場所に案内してくれた。ハーメルンの笛吹き男になった気分だ。誘拐はしない。あしからず。


 階段のある場所に着くと厳重な警戒がされている。この場所でアンデッドの侵入を防いで居るのだろう。お子ちゃまたちにお礼言って、階段を降りていく。


 さてと、鬼が出るか蛇が出るか行ってみるか。




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