195 決起集会
ちょっと早く自分だけ降魔神殿に戻ってきた。ミーニャもだ。くっついて離れない。
ゼータと残りメイド隊を集め、立食会の準備をする。
いつもの部屋では狭いので、デルタのいる大広間を利用する。
クリスタルからテーブルにテーブルクロスを出して設置していく。ミーニャが張り付いてるので動きにくい。仕方ないのでデルタたちにも手伝わせた。
「我は肉体労働には向きませのう」
「煩い! ちゃっちゃっと働け!」
テーブルのセッティングが終わったのでグラスを置いていき、その他の備品も置いていく。一通りは準備が出来た。お酒と料理は全員揃ってからだな。
みんなが集まるまで時間があるので、オールにヴァンパイアについて尋ねた。
「そうですかのう、あ奴ら北の魔王の配下でしたかのう」
「どの程度の知り合いなんだ?」
「我が師ジル様とヴァンパイアの長が友人でしたのう」
「長って真租なのか?」
「ダンピールですのう」
「ダンピールが長になれるのか、普通は敵になるんじゃないのか? 寝返らせるのは無理か?」
「真租の子で優秀な者だそうで、ジル様なら説得できたかもしれませぬが、我とは性格が合わぬので仲はよくありませぬでのう。無理ですのう」
「なら、滅ぼしても構わないな?」
「ヴァンパイアは生まれ滅ぼされの種族。問題ありませぬのう」
そうか、それなら心置きなく狩れるじゃないか。オールからの情報では吸血によるヴァンパイア化ができる者は多くないそうだ。それにヴァンパイア一体で眷属にできる数は限られていて、そのヴァンパイアの才能によるらしい。
蝙蝠になったりオオカミなったりはできないが、稀に飛行スキル持ちがいるそうだ。厄介だな。
定番のニンニク、十字架、胸に杭を刺すは弱点ではないそうで、その話をするとオールは不思議そうな顔をしていた。弱点は光、聖属性のみなのだそうだ。ダンピールは日中活動も可能だが弱点は同じ。己を高貴な存在と自負しプライドが高く、元が人間なのでずる賢い。
最悪じゃねぇ? 消滅決定かな。オールじゃなくても合わないと思う。オールの師匠って相当な変わり者だったらしいな。
そろそろみんなが集まる時間だ。レイアも戻って来たので、ミーニャのお着替えを頼もう。ニーニャたちはまだ戻ってないのか?
レイアにミーニャを預けると同時に、ニーニャ達も戻ってきた。ナイスタイミング。ニーニャも一緒に着替えてきなさい。
「あいっ!」
ひなさんたちも到着。大きな花束を持参してきた。ゼータに言ってテーブルに飾るように頼む。
ファル師匠にランツェ、オーロラたちがまだだが、料理とお酒を運び始めさせる。メイド隊がクリスタルから料理とお酒を運び終えた頃には、全員揃っていた。
さくらたち三姉妹もおめかしが終わったようだ。三人とも飾っておきたいほど、プリティー。カメラが無いのが悔やまれる。
「えー。みなさま、お揃いになったようですので、一言さくらよりご挨拶をいただきたいと思います」
「ミャー」
「さくら、ありがとうございました。続きまして、さくらに代わり不肖
司会者自ら一言って……仕方ないよね。
「ご紹介に預かりました。ルークです」
大方の失笑を頂きました。エターナくん、メモをとる必要ないよ。
「冗談はさておき、最近魔王の行動が活発になってきている。我々は敵味方かは別として三人のと隣接している。昨日、魔王クラークにはっきりと手を結ぶ気はないと意思表示をおこなった。すぐにどうこうと言うわけではないが、倒すべき標的になったのは確かだ」
皆が頷いている。
「だが我々は直近で、北の第八魔王と相見えなければならない。その間はオーロラ率いる人魚同盟が、第十一魔王クラークを牽制してもらうことになる」
オーロラ親子が強く頷いた。
「さくらは確かに第十三魔王だが、他の魔王に比べて魔王としての力は圧倒的に不利だと思っている。しかし魔王の力が全てではない! ここにいる者たちの力を持ってすれば、他の魔王に引けは取らない、いや、負けるわけがないのだ! 我々にはプレイヤーの助力を得ることもできる。そう、負ける要素がないのだ。長々と喋っても白けるからこの辺で止めるが、最後に一言だけ言わせて欲しい」
この場が静まり返っている。メイド隊でさえ真面目な顔をしている。
「最後に勝ち残るのは第十三魔王だ! そのために、さくらに皆の力を貸して欲しい」
さくらの配下全員が片膝つき、オメガが一歩前にいる。
「我ら非才なる身ではございますが、この身の全力をもってお仕え致します」
「ミャ~」
さくら的に、ありがとねぇ~っと言ったところかな。
「さあ、みんな立ってくれ。ささやかながら、食事と酒を用意した。今は、一旦全てを忘れて楽しんで欲しい。初顔合わせもあると思うが、同じ志を持つ同士として仲良くしてくれよ」
「お寿司だー」
「おすしー」
アリーナとまりゅりゅは思考が一緒か……。
ダイチは目移りしている。挙動不審だ。コッコ、ちゃんと首に縄付けとけよ。
他は問題ないな。
レイアの所に行き、ミーニャを抱っこする。ニーニャのほうは、さくらと一緒にお寿司に夢中だ。ニーニャ、そっちの皿はワサビ入りだから、食べちゃ駄目だよ。目の前の皿のを食べなさい。誰も取らないから。
ミーニャは、お刺身食べてみる? マグロの赤身を小さく切ってほんの少し醤油をつけて、ミーニャのお口に運ぶ。スンスン匂いを嗅いでから、俺の顔を見てパクっと食べた。
「ウミャッ!」
美味いでしょう。わかるよその気持ち。ミーニャはその後は全く警戒心がなくなり、お刺身天国に突入する。食べ過ぎるとお腹壊すから程々にな。ゼータにミーニャを預けて他を回る。
にゃんこ共とマーズが寿司の取り合いをしているのは……無視だ。
ランツェとオーロラの元に行き、声をかけた。
「自己紹介は終わったか?」
「ああ、オーロラ殿はお美しい」
「ランツェ殿は凛々しいお方ですわ」
「そ、それはよかった。な、仲良くな」
「「はい」」
何かヤバイ者を見た気がする。忘れよう……。
オメガはアリーナ、エリーナとキャッキャッ、ウフフ状態だ。海に沈んでしまえ!
オールもメイドとイチャイチャしてやがる。地獄の業火に焼かれてしまえ!
ファル師匠とひなさんたちが話してる輪に加わった。
「儂は黒じゃと思っとる」
「俺も黒かな」
「ギリギリグレーじゃん」
「ぐれー」
「し、白に近いグレーかな」
「さくらちゃんがいるから白だな」
何の色の話だろう。気になる。
「何の色の話しですか?」
「「「……」」」
「おぬしの心の色じゃ」
「……」
プルミ以外、死刑決定だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます