167 チェーンクエストですか?
『エマージェンシー、全てのプレイヤーに通達。
エマージェンシー、全てのプレイヤーに通達。
只今より、第八魔王の侵攻が開始されます。
イベントクエストにて、自称魔王軍勝利により条件がクリアされました。
詳細はメールにてお知らせしますのでご確認ください』
勝利の余韻を味わう暇もなく、更なるイベント……。こちらの勝利がクエスト解放だったとは、チェインクエストって奴ですかね。
勝っても駄目、負けても駄目。世知辛いねぇ。
それより、捕虜の中に多くの貴族が混じっていて、身代金を払うから解放しろと言ってきている。魔王相手にそれはないんじゃない? とも思ったが、阿保な貴族が居ても仕方ないので要求に応じようと思う。
貴族、上級騎士からは身代金をガッポリ取るのは良いとして、それ以外の兵は駒として使う予定だ。
「……これほど多くてはフォースは効かんぞ」
「大丈夫、問題ない。考えがある。取り敢えず、待機」
「
「転移ゲートの調整はどうだ?」
「そちらも終わっておるのう」
「わかった。さくらを連れて来る」
この砦も、イノセントハーツの砦と同じようにオーブで強化する為、オールに設置を頼んでおいたのだ。この砦を奪ったのも、闇のオーブを持っていたからにすぎない。大森林の砦は小さいうえ、名ばかりの砦だった。向こうを強化するより、強固なこの砦を強化して使うほうが効果的だからな。
さくらを降魔神殿から連れてきて魔力を流してもらう。今は大勢の捕虜がいるので魔力は溜まり放題。
今回は闇のオーブに加えて土と氷のオーブも設置した。アンデットが日中活動可能の他に、防御力UPと火属性無効が付いた。もちろん、この設置場所は秘密で主要メンバーしか入れないし、さくらが居ないとオーブは外せない。セキュリティは大事だからな。
情報部隊に指示して捕虜のリストを作らせる。
プレイヤーは紛れ込んでいないようだ。転移石を使ったか、強制ログアウトでもしたのだろう。と考ええば、クルミナ聖王国に自称魔王に敗れたことすぐに伝わるだろう。
もうすぐ夜が明ける。ゾディアックはどうでてくる? 北の魔王のことも気になる。
デルタに後を任せて降魔神殿に戻り仮眠を取った。
目が覚めると、メールが多数届いている。
イベントに関するメールが届ているので読む。
自称魔王軍がクルミナ聖王国軍に勝利したことで、第八魔王がクルミナ聖王国との盟約により自称魔王討伐を決めた。しかし、時期が冬ということで進軍は雪解けを待っておこなわれる。ゲーム時間で四ヶ月後だそうだ。多少、余裕があるな。
今回もどちらにつくかと、どちらにもつかないの三択。全てプレイヤーにお任せのようだ。
勝利条件は国境の砦を守りきり、第八魔王軍を撤退撤退させること。クルミナ聖王国についてはなにも記載されていない。それもお任せということだろうか? 水の上の炭鉱夫……もとい、目の上のたん瘤だな。面倒くさい。
それ以外のメールはひなさんたちからだ。後でイノセントハーツの砦に行くことを全員に返信しておいた。
国境の砦に向かい捕虜のリストを確認すると、およそ五百人が身代金を払うことがができる立場にある。
そのリストを元に身代金を精査して書状をしたためる。その書状を持ってイノセントハーツの砦に向かった。
会議室には既に多くの人が集まっていた。
セイさんが代表で話かけてきた。
「それで、勝利したのはわかっているが状況はどうなんだ?」
どうなんだ? と言われてもねぇ。仕方ないので、開戦時から終戦までを語って聞かせた。
「七千も死んだのか……」
「シルバーソードも合わせれば九千ですがね」
「ランツェ殿側の被害は?」
「皆無というか、逆に増えた?」
「どういう意味だよ!」
「死んだ七千の兵は、死霊術によってスケルトンになっているし、捕虜も九千人居ますので」
「……」
「そこでお願いがありまして捕虜の中に貴族等がおり、身代金を払うから解放しろと言ってるのでリストを作りました。みなさんを仲介に捕虜引き渡しをしたいんですが、お願いできます?」
「わかった。良いだろう。残りの捕虜はどうするつもりだ?」
「第八魔王と戦ってもらいます」
「帰す気はないんだな」
「いやですねぇ。彼等の意思を尊重してますよ」
「チッ、白々しい。どうせ何かしたんだろう」
「ノーコメントです」
まだ、やってませんよ。これからやりますけどね。フフフ……。
「ルーク。悪い顔にゃ……」
「それで、第八魔王の件はどうする?」
「もちろん、みなさんの参戦を歓迎します」
「自称魔王との共同戦線ということか……。会わせてもらえるんだろうな」
「もちろんですよ」
「良いだろう。手を貸そう。みんなはどうだ?」
ここにいる全員が賛同してくれた。
心強い味方ゲットだぜ。
セイさんに書状を渡して、国境の砦に移動した。
「それでは、始めましょうか」
「……どうするつもりだ」
「要するに、デルタに対して魅了か恐怖すればいいんだろ?」
「……そうだが、これほどの人数をどうする?」
「デルタの主を舐めてはいけません。さくら! アイドルウインクでこいつ等をデルタ対して魅了状態にさせてくれ」
「みゃ? みゃみゃみゃ? ミャッ!」
ピンクのハートのエフェクトが出て、空中で無数の小さなハートに分かれて捕虜たちに吸い込まれる。
今までガヤガヤしていた捕虜たちが、一斉にデルタにひざまついた。
「……フォース発動」
何も起きないんですけど……。
「お、終わったのか?」
「……ああ」
終わったんだ……。運営さん手、抜き過ぎじゃないの? それとも、さくらの演出が過剰なのか?
「どうなったんだ?」
「……第十三魔王への忠誠を刻んだ」
「貴族どももか?」
「……全ての者にだ」
す、凄いね。デルタも充分に魔王級だと思うよ。世界狙ったら?
「……フンッ」
ランツェ、デルタ、オールを交えて今後の事を話し合う。
四ヶ月後に第八魔王が攻めて来ること、プレイヤーが協力してくれること、クルミナ聖王国のこと。いろいろ話し合った。
大森林にある砦を改修して、デュラハンのリーダーシルトに預けること、更なる武装強化、プレイヤーとの連携強化を決め、第十三魔王役にランツェ、将軍役にデルタ、魔術統括に変装させたオールとした。基本俺とさくらは表には出ない。
後日、プレイヤーの代表たちと顔合せすることにする。
四ヶ月の間にやる事は多い。
時間が欲しい……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます