157 ルーク、賢者に再度駄目だしされる。

 ファル師匠が迅雷の小太刀を繁々と見ている。



「呪いの品ではないようじゃな。何とも怖ろしい武器じゃの」


「あげませんよ」


「ふん。儂にはそんなもの必要ないわ」


「ですが、相手がこの性能を知らなかったらどうですか?」


「……非常に有効じゃな。しかし、訓練時は使用禁止じゃ。おぬしはまだ学ばねばならぬことがある。剣はその次じゃ」



 仕方ない当分は封印だな。闇霧の太刀も検証したかったが、当分お蔵入りだ。



「デルタの黒夜叉の大剣はどうだ?」


「……まだ、使う機会がない」



 ですよねー。早めに迷宮に連れて行こうか? 実は試し切りしたくてウズウズしてたりして。



 残りのメンバー混合戦も終わったようだ。



「エターナさんは筋が良いな、うちのクランに引き抜きたいくらいだ」



 ニンエイさん、勘弁してください。うちはメンバー層が薄いんです、お宅のように厚くないんですからね。居なくなったら大変困る。



「なあ、残りのメンバーは誰なんだ?」


「秘密です」


「俺も連れてけよ」


「嫌ですよ。まずはエターナのレベル上げが必須ですから」


「ケチだなー。タダで手伝ってやるんだぞ」


「まだ十階層クリアなんで、二人でも余裕ですよ」



 セイさん来ても意味ないでしょう。



「師匠~。俺も迷宮潜りたいー」


「自力で迷宮都市に来れるようになったらな」


「……」



 ユウ、お前もな。先ずは、自力で迷宮攻略してから言え。


 にゃんこ共がいないと思ったっら、隅っこに固まって、ガクガクブルブルしている。



「ルークにゃんはやっぱり魔王にゃ……」


「あの、人を切る時の冷徹な目は異常だ……」


「あの人を怒らせては駄目よ……」


「……(ガクブル)……」



 言いたいこと言いやがって、何が魔王だ。ちゃんとプリティーなさくらが居るじゃないか。お前たち、さくらに失礼だぞ。


 さて、帰るぞお前ら。



「「「「イエス、ボス!」」」」



 帰るとレイアが待っていた。ツヴァイスに行きたいようだ。



「どんな所か見たいだけです」


「まあ、それだけなら良いけど。ニーニャはどうする?」



 ニーニャはレイアに抱きついた。



「じゃあ、送って行くからゲート用の腕輪忘れるなよ」



 レイア達をツヴァイスまで送り、さくらとエターナと王都の魔法屋に来ている。



「自称魔王についてはうちの一族も気付いていていたようじゃが、まさか北に魔王が居るとはね……」


「我々は、その北の魔王とゾディアックが繋がっているとみてます」


「仮にも使徒様の眷属じゃぞ……」


「それだけ地に落ちたということでしょうね。情報規制など見ても国が関わらないと無理ですから」


「ふむ。で、どうするつもりだい。近々、魔王討伐の檄が飛ぶよ」



 むぅ。冬が明けてからじゃないのか。



「大森林の幾つかの種族を懐柔中です。ゾディアックの口車に乗らないように頼んでる所です」


「うちの一族も参加しないよ。というより、殆ど集まらないとみてるがね」


「北の魔王ですか」


「それもあるが季節が悪いね。冬にまともに動ける者などいないよ。そういう訓練を受けているなら別だけどね」



 そう、そこなのだ。ゾディアック対策は問題ないと思う。問題は北の魔王が援軍を出した場合だ。モンスターを派遣して来るのか、軍門に下らせた国の兵を派遣して来るかで戦術が変わってしまう。北の国々の兵は冬に強いかもしれないし、後々の事を考えればNPCは殺したくないのだ。



「なんとかしますよ」


「この国も終わりかねぇ……」



 奢るもの安からず……もとい驕るもの久しからずってね。滅んだ所で知ったことではない。そこらへんは賢者殿にお任せだ。この国を残す、残さないはご自由に。



「そういえば、聖なるオーブと光のオーブの使い方知りません?」


「なんじゃ、持っとるような言い方じゃな」


「持ってますけど」


「……」



 賢者殿は目を見開いたまま時空の彼方に行ってしまった。


 どれ位さくらとイチャイチャしていただろう。今はエターナがさくらを抱っこしている。



「……持ってるじゃと」



 やっと戻って来たようだ。



「持ってますよ。今は持ってませんけど。大事なものみたいだから」


「光のオーブは魔王の攻撃魔法を無効化するアイテムじゃ。聖なるオーブは天界に行く為の通行証といわれておる」


「使い方は?」


「勇者が使えると聞く」



 えぇー、なんの役にもたたないじゃねぇーか!



「そうそう、聖なるオーブを水に入れると聖水ができると聞いたことがある」



 うちの軍勢の弱点じゃん……。


 まあ、モンスター全般に言えるが、モンスターに聖水を掛けると弱体化する。聖水が弱点なのはアンデット族とデーモン族だな。全く使えないわけではないので、少し有効活用できるように考えよう。



「要するに、俺が持ってても意味がないってことだな」


「お前がヒューマンでなければのう……」



 それは言っちゃいけないことだぞ。何度心に剣を突きさせば気が済むんだ。えぇ!


 光のオーブは封印だ。絶対に勇者等にはやらん。自分で探せ!



 最後にエターナの魔法適正を見てもらった。得意属性はないが、全てに適正があるそうだ。納得できん。



「いらっしゃいませです」


「光と闇と時空ください」


「金貨二百十枚です」



 お金を支払いエターナに覚えさせる。



「その後、ケットシーは遊びに来たかい?」


「はい、女の子のケットシーが泊りに来てくれたです。一緒にお風呂に入って、一緒のベットで寝たです~」



 お、女の子って、そう見えるかも知れないが、まず間違いなく魔女っ娘より年上だぞ。



「とっても仲良くなったです。次もうちに泊まってくれるって言ってましたです」



 それは良かったよ。お互いに問題がなければ良いんだ。仲良くしてやってくれ。


 エターナの強化も済んだしツヴァイスに行ってみようか。


 そうそう、くじ引き券はちゃんと貰った。


 貯まったらくじ引きにまた行こう。


 ツヴァイスにあるらしいからな。






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