149 ルーク、受け取った報酬にビビる!?

 疲れた……。


 対してニーニャはご満悦。街猫がお礼に来る度に頭を撫でてあげている。


 屋台の主人達もホクホク顔で、俺の前に並んでいる。良い稼ぎになった事だろう。


 昼食後はノインスの街をブラブラする。ルグージュと比べるとはるかに大きな街だ。人の往来も多い、街道の交差する場所にあるだけのことはある。


 情報ギルドの前を通りかかった時、前に迷宮攻略していたことに気付いた。ちょっと寄っていこう。



「情報ギルドにようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」



 いつもながら、情報ギルドの受付嬢はピシッとしているな。



「報酬の受け取りに」



 いつものように、名前IDを記載するよう言われたので記載する。



「ルーク・セブンスランク様ですね。いつもご利用ありがとうございます。只今確認中ですので少しお待ち下さい」



 小声でいろいろ聞こえてくる。



「ねぇ、あれ猫姫様じゃないの?」


「ケットシー、可愛いぃ!」



 注目の的だ。声が聞こえたのか、ミケがクネクネしながらテレるにゃ~、などと言っている。



「お待たせしました。こちらが各報酬と情報料になります。お確かめ下さい」



 各報酬? まあ、確認してみるか。


 珊瑚に囲まれし島のエリアボス討伐報酬が金貨12枚、上級ポーションセット。


 自称魔王軍討伐報酬が金貨30000枚、光のオーブ、黑夜叉の大剣、狂乱の鎧、スキル珠、ジョブ珠。


 自称魔王討伐報酬が金貨50000枚、聖なるオーブ、闇霧の太刀、迅雷の小太刀


 くじ引き所プレイヤー初使用報酬が偽命の腕輪。


 情報料、金貨16枚。


 開いた口が塞がらない……。自称魔王討伐が凄すぎる。あの戦いは討伐になるんだな……。


 武器類は超が付く高性能。狂乱の鎧はとんでも性能だが呪いの品、スキル珠は良いとしてジョブ珠なんて初めて見た。光と聖のオーブまである。なんに使うか知らないけど。


 くじ引き所初使用の偽命の腕輪は一度だけ死の身代わりになる品だ。


 エリアボス討伐報酬と情報料が霞んで見える……。


 情報ギルドの裏方職員さんが、せっせとお金の入った袋を運んでくる。ニーニャたちに注目が集まっているので、俺の方には誰も関心を寄せていない。おかげで、騒ぎにならず良かった。


 今日はこのまま帰った方が良いかな? いや、一ヶ所だけ寄って帰ろう。必要な事だからな。


 なので、駅馬車屋に来ている。



「旧国境の砦に来いだと、それも明後日の朝。何人乗るんだ?」


「二人」


「カァッー。どこのお貴族様だ! わかってんのか、タダじゃねぇんだぞ!」


「だからちゃんと払いますって」



 ニーニャはにゃんこ共と、表に居るお馬さんと戯れている。



「明後日の朝っていったら、明日の朝出てその砦で一泊だぞ。大丈夫なんだろうな?」


「問題ないです。護衛もこちらでつけますから」


「前金で金貨五枚、依頼完了後、必要経費共々請求になるがいいか?」


「問題ありません」



 思った以上に高いな、貸し切りだから仕方ないのか? お金を払って外に出た。


 ニーニャがビクビクしながら、お馬さんの頭を撫でている。お馬さんがブルルっとする度に手を引っ込めている姿は愛らしいな。にゃんこ共はお馬さんに全く興味がないようだ。


 イノセントハーツの砦に寄らないとな。みんなで転移で飛んだ。


 ミウがいたのでリンネ達とこんちゃんが居たら、事務所に来るように伝えてくれとお願いして事務所に向かった。


 事務所に入ると、女性陣がニーニャたちを連れて行ってしまう……。



「なんの用かしら、ルーク」


「たいした用事じゃないです。宿の予約と個人依頼です」


「ふーん。そういえば、シルバーソード連中、正式に王国軍に騎士団として入ったわよ」


「どのくらいの規模になるんですか?」


「クランが全部で四つ、総人数だと五千人ってところね。シルバーソード関連のクランに所属してないプレイヤーも、少なからず参加するでしょうね」



 さすが腐ってもシルバーソード。傘下のクランも入れるとそのくらいの数になるんだな。報酬やイベント狙いのプレイヤーも厄介だ。



「結構居ますね」


「全員が出れるわけではないとしても、何かあれば半分は出てくるでしょうね」


「面倒ですね」


「大丈夫なの?」


「大丈夫ですよ。こちらにとって面倒なのは、光、聖属性が使える奴です」



 うちの戦力はアンデットが主流というより、アンデットしか居ない……。



「どうするつもり?」


「最初に叩くしかないでしょうね」



 計りで蜜を盛って菓子とす……もとい、謀は密なるを以てよしとすと言いますから、これ以上は教えられませんよ。ひなさんでも。



「それより、第十三魔王討伐が始まった場合、この砦を接収されないように気を付けてくださいね」


「もちろんよ。徹底交戦してやるわ!」



 まあ、ひなさんたちなら大丈夫だろう。他のクランも手を貸してくれるだろうしな。



「ルークくんが呼んでるって聞いて来たんですけど?」



 こんちゃん、こっちこっち。



「明後日の朝、馬車を用意したから死者の都に戻ってほしい」


「例の件ですか?」


「それもあるけど、補填の件もあるしね。舞姫さんは?」


「駄目です……音信不通です。大丈夫でしょうか?」



 後でこっそり確認しに行こう。のたれ死んでなければ良いが……。



「取り敢えず、こんちゃんだけでも戻って」


「わかりました」


「師匠~。呼んだか~」



 こ、この馬鹿弟子が、鉄拳教育指導発令! 頭をグリグリしてやった。



「いつもすみません……」


「リンネは悪くないぞ、悪いのはそこで転がっている学習しない馬鹿だ」



 ユウは昇天した状態で、ムウちゃんにツンツンされている。ムウちゃん馬鹿に触ると馬鹿がうつるぞ。



「それで用件ってなんですか?」


「また、個人依頼を頼みたくてな受けるなら、冒険者ギルドに出すぞ」



 内容を聞かせて了解をもらったので、今からルグージュの冒険者ギルドに一緒に行く事にした。


 ルグージュの冒険者ギルドに行き、依頼を出しリンネ達が受ける。



「本日付で冒険者ギルドに登録されている方は、街の出入りに掛かる税が免除になります。更に任意で、見習い冒険者のJobにつくことができるようになりました」



 どうやら、レイア達の活動が実を結んだようだな。


 リンネがこちらを見て困った顔をしている。おそらく、あれだろう。



「師匠。どうすれば良いのでしょか?」


「好きにすれば良いさ」



 結局、リンネは見送り、ユウは旅人を棄て見習い冒険者を取ったようだ。


 選択肢が多いって良いよな……。



 帰りに情報ギルドに寄ってレイアを迎えに行き、一緒に帰った。


 ニーニャは疲れてトラに抱かれて熟睡中。


 お疲れさま。




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