121 ダゴン様、潜伏!?

 ひなさん達が降魔神殿にやって来た。今日の新人勧誘は別の人達が行くそうだ。


 リフレッシュは大事だな。


 オメガとデルタも誘ったが断られた。オメガは外が苦手と言い、デルタは護衛が必要なら行くと言ったので、護衛は必要ないと言ったらいつもの場所に戻ってしまった。


 という事で、いつかのプライベートビーチにやって来た。オーロラ達にも声を掛けている。後で来るそうだ。


 テーブルに椅子、パラソルなど出しまくる。メイド隊とダイチがキャッキャッ、ウフフと組み立てている。尊敬するぐらい節操がない……。


 全てのセッティングが終わると、男女に分かれて水着に着替えた。


 事前にレイアとニーニャを連れて舞姫の所に行き、水着をオーダーメイドしている。レイアには是非ともビキニを着せたかったのだが、体の傷後が目立つと言う理由で却下された。仕方ないので次点の白のワンピースで手を打った。おそらく眼福だろう。


 ニーニャはイチゴ柄のセパレート水着をチョイスした。可愛さが引き立つこと請け合いだ。間違いない。


 その他のメンバーは、移動前にクリスタルから既製品を交換してきている。迷宮ランクが上がっているので、水着の種類も増えたようだ。


 自分はオーソドックスなトランクスタイプ。


 にゃんこ共は前回自分が着ていたルパン水着で統一した。文句は言わせない。チロは女性陣に任せた。


 ファル師匠は何故かふんどしだった。似合い過ぎる……。


 そしてダイチくん。君は何故? 競泳パンツなのかな……。男のもっこりなど見ても嬉しくない。さくらにレイア、ましてやニーニャの近くには来ないでくれ給え。いっそのこと、男らしくファル師匠とお揃いのふんどしにしてしまえ。


 キャーキャーとメイド隊が現れた。



「ブフッー!?」


 飲んでいた炭酸飲料を盛大に噴き出してしまった。


 メイド隊はサービス満点。ビキニのオンパレード。ホルダーネックからモノキニまでパレオを巻いたり、麦わら帽子を被ったり様々だが、目のやり場に困る程の眼福!ダイチは鼻の下が伸びきって大変な事になっている。


 次に登場はさくらとゼータだ。さくらは前回と同じ水着の色違いの水色だ。ゼータは大正デモクラシーバリのノスタルジックな水着だな。日傘を差すとどこかの華族のお嬢様に見えなくもない。良い意味で清楚だ。


 次に出て来たのはひなさん達だ。敢えて何も言うまい……。つい、目をそらしてしまった。不憫よのう。


 さあ、本命登場。



「神は我を見捨てるか……」



 ニーニャは良い。思った通りベリープリティーだ。文句なしだ!


 なのにレイア……。あなたは何故? ラッシュガードを着ているのですか……。結構大きなサイズを着ているので足も半分しか見えない。勿論、胸元は一切見えない。



「にーに?」


「良いんだ……。ニーニャ、可愛いよ」



 ニーニャはもじもじしながらも、しっぽをブンブン振っている。ブンブン振られるしっぽをペン太とカーちゃんは首を振らながら追いかける。


 よし。これで全員揃ったな!


 ん? なんか忘れてないかい?


 あぁー! リンネとユウの事忘れてた……。チャットで呼んでみる。丁度着いたそうだ。セーフ。今から迎えに行くって伝える。


 待ち合わせ場所はカクテルバーの前。二人は既に待っていた。



「お疲れ。順調だったか?」


「はい。イーリル迄、臨時パーティーを組めたので楽でした」


「敵が弱くてつまんねぇ」


 まあ、レベルだけならルーキー卒業してるからな。ふと目の前を見た事のある者が通りすぎる。



「おい。確かガンマ21だよな」


「これはルーク様。お久しゅうございます」


「師匠。知り合いか? でもルーク様って……ぷぷっ」


「あぁ。って馬鹿はほっとく。なんでお前がここに居るんだ。帰されたのか?」


「ルーク様。ご心配には及びません。ダゴン様には可愛がって頂いております。名前もメイと名付けて頂きました……ポッ」



 なんだそのポッってのは、可愛がってもらってるって、そう言う関係! 羨ましいぃー。キィッー! って言ってる場合じゃないな。



「じゃあなんでここに居る?」


「ダゴン様にパパ・ダイキリを頼まれまして」


「また、マニアックなカクテルを……って、えぇー! 来てるの? もしかして来てらっしゃるの?」


「はい。以前ルーク様が送って下さったカクテルの本を読んでいた所、急に珊瑚に囲まれし島に行くと仰られて……」


「オーロラには連絡したのか」


「いえ……。ダゴン様がお忍びだと申されるので……」


「マジかぁー! それで済む訳ないだろよ」


「も、申し訳ありません」


「いや、ガン……メイを責めている訳じゃ無いんだ。ダゴン様の所に案内してくれ」


「承知しました」



 リンネがムウちゃんを抱きしめながら不安そうな顔をしている。



「あのう、私達もついて行って良いんですか?」


「仕方ない。が、絶対に喋るな。特にユウ」


「なんで俺なんだよ!」


「ちゃんと敬語が話せるなら何も言わない。以上だ。案内頼む」



 メイの後について行くと、アロハシャツにサングラスを掛けたダゴン様がパラソルの下でガンマ22とイチャついてた……。



「お久しぶりです。ダゴン様」


「あちゃー。見つかっちゃった……」


「見つかっちゃった。ではございませんよ」


「アハハ……ルークくん。顔が怖いよ。笑顔、笑顔でいこうよ。アルファちゃんが亡くなって辛いとは思うけど」



 ぐぬぬ……。既に情報収集済みですか。壁に九九張り障子に目張り……もとい、壁に耳あり障子にメアリー。ん? まあ、流石としか言いようがない。



「ハァ……。参りました。場所だけ変えさせてください」


「仕方ないね。傷心のルークくんに免じて言う通りにするよ」



 ダゴン様一行と弟子達を連れプライベートビーチに戻って来た。


 オーロラ達も来ていて、ダゴン様を見た瞬間。


 平伏してしまった……仕方ないよな?



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