111 燃ゆる死者の都
降魔神殿に戻ると皆そろっていた。カーちゃんはちゃんとイノセントハーツの砦に送ってきた。
流石にみんな疲れていたので風呂に入ったら夕飯にしようと言うと、猫共は急ぎ足で風呂に向かった。トラだけが渋々だったが何とか押さえつけ洗ってやった後、ファル師匠と一杯楽しむ。今日も面白い日だったと思いながら。
夕食時も相も変わらず猫共はにゃーにゃーとうるさいが、不思議と慣れてきた。
そう、そんな日常のひと時にそれは起こった……。
急に爆発音のようなものが聞こえ、降魔神殿が揺れる。明らかに只の地震ではない。走ってクリスタルの部屋に向かう。
「何があった!」
「何者かの攻撃により、死者の都の18%が消失しました……」
「何者かって誰だよ!」
「unknownです……」
また、爆発音と揺れが起こる。
「セーフティーエリアに攻撃を受けました。ほぼ壊滅かと……」
マジかよ……。攻撃を受けないからセーフティーエリアじゃないのかよ。
「やれやれ仕方ないのう。感じぬかこの禍々しい氣を。上からじゃ」
「上から?」
ファル師匠は何かを感じてるようだが、俺の気配察知には引っ掛からない。が言われれば上の方から
「出るしかななさそうじゃな。案内いたせ」
「うさ子、デルタ、オールも出ろ! 俺もすぐ出る」
「キュッ!」
「……承知」
「承知したのう」
さくらの部屋に戻り
「レイアはアルファと一緒にニーニャ達と転移ゲート前で待機だ! 急げ!」
「ルーク! 何があったのですか」
「わからない。何者かに攻撃を受けている」
「私も戦います」
「駄目だ!」
「私も戦えます」
「相手の力がわからない。レイアを守りきる自信がない……」
「私はルークの横を歩いて行くと誓いました」
「ニーニャはどうする」
「ニーニャだってルークを見捨てるなって言います」
「……絶対に無理はするなよ」
「はい……」
「さくら、行くぞ!」
「ミャッ!」
「アルファ。最悪、蒼流神殿に行け。オメガに指示を出させる」
「承知しまし……」
降魔神殿が爆発音と共に大きく揺れた。
「降魔神殿に直撃を置けました。シールドに16%被害を受けております」
オメガの声が響く。
「オメガ! 聞こえているな。シールドが30%を切ったらニーニャ達を退避させろ」
「承知しました」
「オメガ。みんなを頼む」
「お嬢様もルーク様もご武運を」
降魔神殿の外に出て空を見上げる。
夜空に浮かび上がったのはドラゴンの姿……。
夜の闇より更に濃い闇、禍々しい程にも限度があるだろう! 初めてドラゴンを見たが存在感が半端ない。あんなのに勝てるのかよ。無理げーだろ……。
鑑定してみた。デスドラゴンとしか見えない。
「あ、あれはもしや、純白竜ぺルレ」
オールがなんか言っている。何が純白竜ぺルレだ! まっくろくろすけだろ!
「って言うか! オールなんか知ってるのか!」
「弟子達が、かの竜の亡骸を探しに行っておりますのう」
「お前らのせいかよ!」
悪、地味にかえる……もとい、悪事身にかえる。なんて言ってる場合じゃないな。そう言えば、その当事者の愉快な弟子達はどこ居る? ちゃんと責任取れよ。ぜってー許さねぇからな!
こうしてる間にもデスドラゴンは何度か黒いレーザーのようなブレスを吐いている。ファル師匠にデルタ、うさ子がけん制してくれているおかげで、降魔神殿にはさほど被害はでていないが死者の都の方は酷いものだ。
アンデット達も参戦しているが、敵は上空にいるので攻撃手段が限られる。矢や魔法がちょこちょこ飛んでいるが、ドラゴンの翼のひと仰ぎで防がれてしまっている。
さくらのアイドルウインクも効果が無いようだ。オールも魔法で攻撃しているが炎系以外効いてる感じがしない。
「オール! 奴の弱点は何だ!」
「あれでもアンデットのはしくれ、光に聖属性は弱点ですのう」
「早く言えよ!」
ライトバーストの上位互換のレイバーストをドラゴンに標準を合わす。上位の魔法だけあって時間が掛かり、発動までの時間がいやに長く感じる。
ドラゴンの更に上空から一筋の光がドラゴンの背中につき刺さり爆発する。
「Gugyawoooo」
ドラゴンの苦痛の叫び声が響き、こちらを睨む。
更に上空から真っ赤に燃えた隕石がドラゴンに直撃する。オールの魔法だろう。ナイスアシスト!
流石のドラゴンもたまらず地面に落ちてきた。落ちてきながらも自分とオールを睨み付けブレスを吐いてくる。
「ライトシールド!」
「ダークシールド!」
示し合わせた訳じゃないが、オールと同時にシールドを展開した。
単に運が良かったのだろう。オールのシールドで威力が弱まったのかもしれない。ブレスはダークシールドを突き破り、ライトシールドに当たりほんの少し軌道がずれ俺の横を通り過ぎて行く。ライトシールドも一瞬で消えブレスはオールの横を通り過ぎて死者の都を破壊していく。
「死んだかと思いましたのう」
「俺も……ってオール死んでんだろよ」
「あれを喰らえば、儂とて消滅するかもしれませぬのう」
「弟子の責任を取ってから消滅しろよ」
「
「勘弁しろよー」
地面に落ちたドラゴンにファル師匠達とアンデット達が攻撃をくわえる。突如空からドラゴンに光の矢が降り注ぐ。レイアだ。光属性を弓に付与してアローレインを放ったようだ。
「Gyawoooo」
それでも、ドラゴンはファル師匠達の攻撃も虚しく、立ち直りまた上空に舞い上がる。
これ勝てるの? 死者の都ほとんど壊滅状態なんですけど……。
「ミャッ! ミャミャア!」
さくらが自分の肩の上で、前足で肩を叩きながら何か叫んでいる。
「オール! さくらは何言ってんだ!」
「魔王様に何やらお考えがあるそうじゃのう」
そうなの、さくら?
何でも良いからやっちゃて欲しいんですけど……。
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