まおある ある日のひとコマ その六
さくら編
ハッ! いけにゃいにゃの。
なんて巧妙なトラップにゃの、流石に悪の手下は一味違うにゃん。
ペン太隊員はどうなったにゃの?
違うドールに拷問を受けてるにゃの!
無理やりお腹の中に干し肉を詰め込まされているにゃの。あれは太らして食べる気にゃのね。救出しないと大変にゃの。
「お嬢様も、おひとつ如何でございますか?」
わーい。いちごにゃの。この先っぽをちょっとだけかじって、チューチューと、おいちーにゃの。
ハッ! ま、また引っ掛かったにゃの……。二個も食べちゃったにゃの。さくらも美味しくなちゃったなのー!
ペン太隊員! 撤収しろにゃのー。
「またいつでも、遊びに来て良いですでのう」
ドール達も並んでお辞儀をしてるにゃの。悔しいにゃの、悪の手先の術中にまんまとはまってしまったにゃの。ペン太隊員もっとしっかりするにゃの。プンプン。
「クエ……」
さぁ、気を改めて出発にゃの!
しばらく進むと、見慣れた部屋を見つけたにゃの。
「ラスボスの部屋発見にゃの」
「クェー」
「ペン太隊員、ちょっと中を確認して来てにゃの」
「クェッ!」
ペン太隊員は、ペタペタ音を立てて部屋の開いている扉から中を覗き込んだにゃの
「!?」
驚いた顔をさせ、ペタペタと戻ってきたにゃの
「クェ~?」
「羊がいたにゃの?」
「クェー」
「にゃに言ってるにゃの。居るのは羊じゃなくて
「クェッ!」
「えっ、違うにゃの。自分の目で見ろにゃの?」
わかったにゃの見てみるにゃの。猫魔法発動にゃの! 抜き足、差し足、忍び足。
扉からそーと覗いて見ると、変にゃのが居るにゃの。
羊の執事にゃの。
「オメガにゃにしてるにゃの?」
「これはお嬢様、掃除中でございます」
「オメガ、羊ににゃちゃったにゃの?」
「これでございますか? ルーク様から以前に聞いたジョークにちなんでかぶっているのでございます」
「優しい
「はい。これが皆様になかなかのご好評を頂きまして。少々気に入ってございます」
この後さくら探検隊は、オメガと楽しいお茶会を開いたとか開かなかったとか。
次回! 囚われの天使様を救出! こうご期待。
カーちゃん編
はじめましてデシ。
最近、魔王様に服従を誓ったカーちゃんデシ。
ですが、僕の本当のご主人様はまりゅしゃんデシ。
まりゅしゃんの持ってた、モンスターの卵から生まれたデシ。
でも、いつも感じてた魔力はうさ子お姉さんの魔力なのデシ。不思議デシ。
みんなに挨拶して回ってた時、現れたのデシ。(挨拶は大事デシよ!)
種族が違うにも関わらずドキドキするほど可愛かったデシ。
真っ白い毛にピンク色の口元、愛らしい目。なんて可愛い子猫ちゃんデシ。
「さくらちゃんだよー、仲良くしようねー」
さくらちゃんって言うデシか、よろしくデシ。って言おうとしたらいきなり、テシテシ頭を叩かれたデシ。何するデシってさくらちゃんを見た時、見えてしまったデシ。見る気はなかったデシ、不可抗力なのデシ……。
さくらちゃんの種族名が魔王(笑)と見え隠れしてたデシ。(笑)が何なのか知らないデシが、魔王様には違いありませんデシ。
見動きが取れなくなったデシ。このまま僕は食べられてしまうデシか?
そう考えた時勝手にスキルが発動したデシ。確認するとスキル鉄壁、一定時間全ての攻撃を防ぐそうデシ。これで安心デシ。
魔王(笑)様は気にせずテシテシ叩いているデシ。
あれ? チクチクするデシ。おぉ。何故かHPが減ってるデシ……。
あぁ、まりゅしゃん、うさ子お姉さん、綺麗なレイアお姉さん、先立つ不幸を赦してデシ。僕はもう駄目デシ……。
諦めかけたその時デシ、本能の成せる業なのか勝手に体が動いたデシ。
気付けば、お腹を上にして寝てたデシ。
魔王(笑)様嬉しそうに、僕の上にまたがって顔中ペロペロしてくれたデシ。ちょっとだけ恥ずかしかったデシ。
ですが、止まりませんデシ。魔王(笑)様はいつまでもペロペロしてるデシ。も、もうその辺で良くありませんデシか? いつまでこうしてれば良いデシか? 誰か助けてーデシ!
誰かが急に魔王(笑)様を自分から引き剥がしてくれたデシ。あの魔王様に手を出すなんてなんて凄い人デシ。兄貴と呼ばせてデシ。
でも、本当に食べられなくて良かったデシ。
後で兄貴に教えてもらったデシ。自分が魔王(笑)様に対して取ったポーズは服従を意味するそうデシ。
もう、清い体には戻れないのデシね……。
と、カーちゃんは思ったとか、思わなかったとか。
オール編
オールと愉快な弟子達はクリスタルの部屋で、オメガを前に正座している。
「なんで我まで、このような仕打ちを受けねばならぬのかのう」
「オール殿の弟子がしでかした不祥事。監督不行届でございます。それとも、お切りになさいますか?」
「「「「「師匠ぅ」」」」」
「致し方なしと受け入れるしかないのう」
「う、うっ。流石師匠でございます」
「一生ついて行きますぞ!」
「「「やんや、やんや」」」
「黙れ! 愚か者ども……」
「「「「「 …… 」」」」」
「して、如何ような罰が与えられるのかのう」
「そちらの御仁達は余程、金銭にお困りのようですね。ですのでお金を稼ぐ機会を差し上げましょう」
「「「「「おぉ!」」」」」
「……我らにどうしろと」
「ルグージュで、今日より夜間限定でモンスターとの戦いがあるとか。そこでモンスターの素材を集めて売れば宜しいのです」
「あの戦いに参加しろとな」
「お嬢様の為にもなりますし、お金儲けもできます。一石二鳥ではありませんか」
「ぐぬぬ……良かろう参戦しようではないかのう。者ども支度せよ」
「「「「「ハッ!」」」」」
こうしてオール達の参戦が決まった。
日が暮れ始め、オール達も戦場に転移した。
既にアンデット軍団は準備万端だったが、オールは隊長さんに待ったを掛けた。
「……何故邪魔をする」
「邪魔はせぬ。初撃は任せてもらおうと言うだけよのう」
「……承知した」
オール達は円陣を組み、詠唱に入る。詠唱が終わり杖を天に翳すと、空から幾つもの火の玉が地表目掛け降ってくる。火の玉は多くのモンスター達を飲み込んでゆく、収まってみれば多くのクレーターができており、火の玉が降り注いだ場所だけ、ポッカリモンスターが消えていた。
「師匠、見事です」
「我らに掛かればこんなものよ」
「大漁。大漁」
「「やんや、やんや」」
「この程度では許されまい。者ども騎乗せよ」
「……宜しいかな」
「うむ。そちらも存分に励むが良いのう。我らも、もう少し働くかのう」
オール達はドラゴントルーパーの後ろの乗り込む。
「……全軍突撃開始!」
ドラゴントルーパーとスケルトントルーパーが先陣を切る。
「ヒィー、たじけてー」
「ケタケタ……」
「うぉー。え、詠唱できん」
「カタカタ……」
「わ、私の杖がー」
「ケタケタ……カタカタ……」
闇夜の戦場に不思議な叫び声が響いていたとか、いないとか……。
その真相を知る者は、みな口を閉ざして一言も話さなかったと言う。
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