まおある ある日のひとコマ その五
さくら編
さくら探検隊は秘密結社ピーマンの肉詰めの秘密基地を探検中だ。
「ペン太隊員。足音がペタペタうるさいにゃの!」
「くぇ~」
「もう。仕方ないにゃいにゃの。見つかったらペン太隊員のせいにゃの」
哀れペン太隊員、理不尽な言いがかりである。
さくら探検隊は部屋を出て広い空間に出た。
「優しい
さくら達は何とか階段を踏破し、先につながる扉の前に辿り着いた。
「また、扉にゃの……にゃどとは言ってられにゃいの。ペン太隊員出動にゃの!」
「くぇっ!」
ペン太が扉の前に立ち、さくらがペン太を踏み台にして取っ手にジャンプする。
二度目なので綺麗なフォームで取っ手に辿り着くが、いかせん体重の軽いさくらでは動かない。しかし、これも経験済み。しっぽを利用してお尻をフリフリ。取っ手がガチャリと開いた。
「完璧にゃの」
「くぇー」
しかし、開いた扉の向こうは……
「壁……にゃの」
「くぇ~?」
「誰にゃの! こんなフェイク考えたにょ! 信じられにゃいのにゃの!」
そう言ってさくら達は来た道を戻って行く。
さくら達は知らなかったのだ。壁と思っていた物がミスリルゴーレムだという事を……。
「気を取り直して行くにゃの。あんにゃトラップがあるにゃんて、この秘密基地あにゃどれにゃいのにゃの」
「くぇー」
来た道とは反対の道を進んで行くと。悪の手先達を発見した。
「オールにゃの。メイドドールと一緒にゃの。膝枕せれて気持ち良さそうにゃの」
「くぇー」
さくら達は悪の手先達と接触をはかる事にした。
「みゃーなの」
「くぇー」
「これはこれは、魔王様。このような場所に何用ですかのう」
「みんな気持ち良さそうにしてたにゃの。さくらも気持ち良い事好きにゃの」
「おぉ、これは失礼した。お前達、魔王様達を抱っこして差し上げなさい」
メイドドール二体がさくら達を抱っこする。
「みゃ~にゃの」
「くぇ~」
疲れていたさくら達は抱っこされて、すぐに眠くなり寝てしまった。恐るべし催眠トラップ。
さくら探検隊の運命は如何に!
次回あるのか! 放送未定。 羊の執事現る。こうご期待!
とあるプレイヤー編
俺はベックガード、ベックと呼んでくれ。
俺達のパーティーは今、新しく解放された迷宮【死者の都】に来ている。
俺達は第三陣のプレイヤーだ。
丁度、ルグージュを出てノインスか、イーリルに向かおうとしている時に迷宮解放の知らせを聞いたんだ。
そこで、みんなで相談して迷宮を攻略してから、ノインスに向かう事にしたのさ。
迷宮について見ればデカい街だった。辺りは薄暗く如何にもって感じだ。
迷宮の前がセーフティーエリアになっていて、既に二十組み程度のパーティーが居た。
中の状況を聞けばアンデッド一色。昼夜関係ないそうだ。まだ奥まで行ったパーティーはいないと情報を得た。昨日からは一パーティーしかまだ中には入ってないそうだ。戻って来ない所をみると死に戻りだろう。しかし、これだけパーティーがいて何やってんだよ、と思っていたのが顔に出ていたのか、行けばわかるよと言われた。
さっそく、迷宮内に入った。
アンデッドは聖か光か火の魔法を使うか、倒した後に聖水を掛けないと何度でも復活してくる厄介者だ。経験値は良いが、アイテムをエナジーコアしか落とさない。
うちのパーティーには、魔法(火)が使えるソーサラーが居るので少しは楽だろう。
と、思っていたが間違いだった。行けばわかると言った意味が良くわかった。うじゃうじゃとゾンビが襲ってくる。一体、二体などと言うレベルではない。目の前全てがアンデッドが埋め尽くされる。
ゾンビは動きが鈍いのでゆっくり後退しながら倒して行ったが、結局倒し切れず迷宮の外に押し出されれてしまった。ありえないぜ……本当に。
外に出ると先程、話したプレイヤーが寄ってきて
「言った意味がわかってもらえたかな?」
「あぁ、ありゃ無理だ。で、どうするつもりだ」
「ここに居るパーティーの代表達と話してね。共同戦線を組む事にしたよ」
「レイドって事か」
「三つに分かれてですがね。あなた達はどうしますか?」
「もちろん参加する」
そう言ってゲーム内時間で一週間が過ぎようとしている。
未だに、中央のピラミッドに到達できたグループは居ない。半ば諦めかけていた時
『迷宮の改変がおこなわれます。プレイヤーを強制排出します』
と、インフォが聞こえた。
目の前に迷宮に入っていたプレイヤー達が転移してくる。
一体何が起こるんだよ。ちっびちまうぜ。本当によう。
少しすると、先程まで鳴っていたゴォーという音が消えた後、自分達が居た場所がセーフティーエリアじゃなくなってやがる。これで終わりか?
幾つかのパーティーが様子を見に迷宮内に入って行った。
「た、大変だ!」
「何があった!」
「猫ミミメイドが居る!」
「……」
こいつは頭がおかしくなったのか。それとも俺達を笑わせようとしているのだろうか。
ここに居た全てのパーティーが迷宮内に入って行った。
「イベントがあるなんて聞いてねーぞ」
「食堂があるぞ」
「メイドさんがおるでー」
「ネコミミサイコー!」
本当だったぜ……開いた口が塞がらないとはこの事だな。いつの間のか宿屋がオープンしているし、道具屋まである。
そろそろ、所持アイテムが心許なくなってきた所なので、助かるぜ。おぉー。食堂まであるじゃねぇか。上手い飯が食いてぇー。
そして、俺はここで運命的な出会いを迎えた。
食堂に勤める、ベータフィフスちゃんにだ。惚れちまったぜ! 一目惚れだ。
人形のような精巧な美しさ、フワフワなイヌミミ。フサフサの尻尾。パーフェクトだ!
そう言やぁ、ここに来てどの位経ったんだろうな……。
パーティーからは抜けた。あいつらはノインスに行くって言ったからだ。俺は彼女が居るここが良い。ここで十分に満足だ。
迷宮内もガラッと変わり、難易度は上がったみたいだが無理ゲーじゃなくなった。普通に攻略できるようになった。ここに来たパーティーの道案内と助っ人で充分な稼ぎになる。無理する必要はない。彼女と居られれば幸せだ。
そんなある日の事、彼女から相談と言うかお願いをされてしまった。
彼女の家族がルグージュに居て、そのルグージュが今モンスターの氾濫に巻き込まれてしまうと言う事だ。確かにインフォでそんな事言ってたな。
彼女は家族が心配なのでこの俺に、ルグージュの防衛戦に参加してくれないかと涙ながらにお願いしてきたのだ。
これは、男として断れないお願いだ! いや、断ることが許されない願いなのだ!
見ていろよ! フィフスちゃん。俺がルグージュを救ってやる。そして救った暁にはプロポーズしてやるぜ!
こうして、多くの男達が戦場に送り込まれて行ったとか、行かなかったとか……。
オール編
オールの愉快な弟子達は……暇がない
オメガによって、こき使……充実した日々を送っている。
「師匠。我々はいつ、釈放されるのでしょうか?」
「強制労働反対!」
「我々に自由を!」
「「やんや、やんや」」
「じゃがのう、そなた達。念願のハイドールの二体目も手に入れたのであろう。良い稼ぎではないかのう。羨ましい限りじゃのう」
「「「「「 …… 」」」」」
そう、彼らはもと居たドールをクラスチェンジさせた上、もう一体ハイドールを召喚して両手に花状態なのである。ハーレム形成中なのである。
「おぬし達がどうしてもと、言うのであれば話を通すのはやぶさかではないがのう。今以上の稼ぎは諦められるのであろうのう?」
「「「「「 …… 」」」」」
欲とは増える事があっても減る事はない。一度、良い環境に慣れると元の貧しい環境には戻れないものである。
「これも全て貧乏なのが悪いのだ」
「では、どうする?」
「クリスタルから強奪するか?」
「オメガ殿にかなうと思うか?」
「……無理」
愉快な弟子達はだんだん、危ない方向に走りはじめる。
「そう言えば、向こうの迷宮にカジノができたと聞いたぞ」
「ギャンブルなど運ではないか」
「しかし、ルーク殿が。バレないイカサマは、イカサマではないと言っておられらぞ」
「なるほど、我らの頭脳を持ってすれば、イカサマなどどうという事はないな」
「よし、ならば研究あるのみ!」
愉快な弟子達はこの日から三日三晩不眠不休で研究を重ねた。
そして四日後の夜、彼らはカジノに来ていたのである。
笑いが止まらない程、上手くいっている。やればやるだけ資金が増えていく。
……が、知らぬは本人達ばかり、オメガにより既にイカサマ師対策は万全である。
そもそも愉快な弟子達は、変装用のマジックアイテムを使用し入店している時点でマークされていた。
最初は確率理論を応用し稼いでいたが、途中で急に勝てなくなった。焦る気持ちがどんどん大きくなり、本来のイカサマにはしり魔法を使ったり、すり替えなどをおこない始めてしまったのである。
しかし、これは全て店側の筋書き通りであった。イカサマを使用し大勝し、気が大きくなった最高潮にその時が訪れる。
愉快な弟子達は、黒服の強面のお兄さん達に店の奥に連れて行かれたのであった。
翌日、店の軒先に骸骨五体がぶら下がっていたと言う。
リゾートに訪れた人々の間で、あれはカジノでイカサマをした人の末路だと、まことしやかに囁かれたとか、いないとか。
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