58 風呂は文化だ
休息日を存分に楽しんだ自分達は降魔神殿に戻ってきた。
えっ、釣果? あの後、何とか小魚を五匹程釣ったが、ペン太の腹の中。皆は、疲れて既に休んでいる。
オメガが蒼流神殿に出張中なので、今はオール達に降魔神殿を管理させている事から確認する為にクリスタルの部屋に来ている。何故か、オール達に各々一体メイドドールがついている。この事で少しOHANASHIをして正座させているがそれはまた、別の話で。
死者の都も順調に人が集まり魔力もどんどん溜まっている。最近では武器防具屋が新しく開店したそうだ。おそらくはプレイヤーだろう。それからルグージュ、死者の都、ノインス間で定期的に駅馬車が開通した。更に集客力が上がるな。
ハンターギルドからも出張所を置きたいと、申し入れがあったとも聞いている。将来的には迷宮都市ツヴァイスの様に死者の都の周りに街ができるかもしれない。いやぁ、夢が膨らみますな。
さて、そろそろオール達がうざくなってきたので正座を解除するか。全員小鹿の様ですがメイドがそれぞれ助けに入っている。なんか非常にムカつ。しかし筋肉の無いアンデットが何故、痺れる? ま、まさかフェイクなのか! メイドの同情を買う為の芝居なのか? こ、こ奴ら侮れぬ……。
全員メイドに肩を借り出て行った。誰が出て行って良いと言った。逃げ出しやがったな。まぁ、あいつらの事は放っておこう。それほど害は無いし。
クリスタルの確認をしてみた。迷宮ランクが違うので何とも言えないが、蒼流神殿のクリスタルとはやはり違うようだ。召喚できるモンスターが違うし、向こうは海中も迷宮の一部にできる。アイテムに関してはランクの違いがあるので何とも言えないが、降魔神殿にはリアル世界の物が充実している。
さて、クリスタルの部屋に来た本来の目的はお風呂の作成である。海で思ったのだが海からあがった後、お風呂に入りたいと思ったからだ。浄化の魔法を使えば綺麗になるが、降魔神殿で使えるのは俺だけ。なので俺がログアウトで居ない間、さくら達が汚いままなのは可愛そうである。
さあ、お風呂を設置しよう! 言っておくが決して自分が入りたいからではない……とは言えないな。日本人だからな。仕方がない。
どんな風呂が良いかな? 和風、洋風、温泉も良いね。折角だから露天風呂にしようか。しかし、神殿内で露天風呂ってどうなのよ? まあ、できるみたいだから良いか。洗面台も設置、脱衣所に扇風機、冷蔵庫にフルーツ牛乳とアイスは定番だな。さくら用に猫ミルクも必要、うさ子には野菜ジュースかな。ぺん太は何でも食うから良いか。
ポチっとな。設置完了。さあ、ひとっ風呂行きますかね。
「さくら、うさ子、ぺん太。風呂行くぞー」
「ミャー?」
「キュー?」
「クェー?」
「お風呂でございますか」
「あぁ。俺がいない間でも体を綺麗にできるように作った」
「それは良い事でございます」
という事で風呂に来た。
露天風呂だ……神殿の中に露天風呂がある。ちゃんと外にいる感じがする。心地よい風が吹いてい空には星が見える。実際に死者の都で星空が見えたか覚えていないが、星空に包まれている気分になる。ファンタジー!
さっそくアバターを裸にすると大事な所に靄がかかっている。試しに触ってみるとちゃんと感触はあった。一応タオルで隠しておく。
取り敢えず、さくら達とアルファに風呂に入るルールを教える。ちゃんと体を洗って? ボ、ボディソープが無いシャンプーとリンスも忘れてた……。仕方ないので腰にタオルを巻いたままクリスタルの部屋に走って行った。
部屋にはやはりオール達が居て、メイド達とイチャイチャしていた。お前ら、なに目をそらしてんだよ。ハゲずらを外し過ぎ……もとい、羽目を外し過ぎじゃねぇ?
「あ、
「お前らには絶対に言わない」
「そ、そんな事を言わずに教えてくれませんかのう」
「ハァ、さくら達の為に風呂を作ったんだよ」
「風呂ですかのう。もう、何百年も入っておりませぬのう」
「別にさくら達が入って無い時なら入って良いぞ」
「し、師匠これはまさかの……」
「「「「混浴!?」」」」
「お前らやっぱり入浴禁止な」
「「「「「「……」」」」」」
崩れさった骨共を無視して、クリスタルから必要な物を交換し風呂に戻った。
「はい。さくらからね」
さくらをワシャワシャ洗う。
「ミャーミャー」
「はいはい、綺麗になりますよー」
耳の裏までしっかり洗い顔も軽く濡れタオルで拭ってやり、お湯を掛けて洗い流す。さくらは一旦風呂桶にお湯を張り入らせる。
「みゃ~」
次にうさ子を洗おうと思ったが時間が掛かりそうだったので、ぺん太を先に洗った。凄く触り心地心地が良かった。洗い終わったペン太は風呂で泳ぎまくっている。
さあ、うさ子です。このモフモフを洗うのは大変そうだ。お湯を掛けるが弾いてしまう。何とか濡らしてボディソープでワシャワシャ洗う。さくらと違って気持ち良さそうな表情をしている。ついでにブラッシングもすると妙にスレンダーなうさ子になり、ちょっと笑ってしまった。シャワーで洗い流して後は、好きに風呂に入ってもらお。
自分も体と頭を洗いお湯につかる。
「ぷっはー。やっぱ日本人は風呂だね」
さくらも桶から出してお風呂に入れ猫かきの練習。自分の所からうさ子の所まで泳いで行く。横にはぴったりぺん太が泳いでいて、いつでも助けられる状態。やるじゃないかぺん太くん。うさ子に到着したさくらはうさ子の耳の間に入って、うにゃとしている。今日はこの辺で勘弁してやろう。自分がいない間も練習するんだぞ。
体も温まったので最初にうさ子を上がらせ拭くのはアルファに任せる。さくらとぺん太は俺が体を拭いてあげる。こうなるとドライヤーも必要だな。後で用意しておこう。
皿にさくらのミルクを入れ、ぺん太とうさ子のコップにそれぞれフルーツ牛乳と野菜ジュースを入れてあげた。さあ、飲みたまえ、風呂上がりの一杯は最高だぞ。ほんとはビールでも飲みたい所だが……。腰にタオルを巻いたままフルーツ牛乳のビンを持って、反対の手を腰に当て古式ゆかしい格好で一気に煽る。
これでゆっくり寝れるな。
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