56 リゾート開発なの?

 降魔神殿に戻って来ている。


 向こうはオメガに任せた。自分がログアウトしてる間に迷宮を解放する予定だそうだ。そう言えば、クエストが終了していないが、何か他にあるのか? 海産物ひとつも手に入れてないなぁ。俺の釣りスキル……。それに、ぺん太どうした。ずっと見てないけど戻ってきてないの? まぁ良いか。



「オールいるー」


「なんですかのう」


「海の中で戦えるアンデットって配下に居ない?」


「配下にはおりませんが、傘下に幾らかはおりますのう」


「どの位、動かせる」


「すぐにと仰せなら二部隊、海上で良ければさらに二部隊ですかのう」


「すまないが動かして欲しい」



 オールに港街イーリルでの出来事を語った。



「ほう。あの人魚供が魔王様の傘下にのう」


「知ってるのか」


「生前に何度か実験体に捕まえましたのう」



 って、お前か! オール! そうか、お前なのか……聞かなかった事にしよう。



「承知しましたのう。魔王が相手ならば依存はありませぬ故。さっそく使いを出しますかのう」


「宜しく頼む。くれぐれも人魚族達ともめるなよ」




 さくら達の部屋に来て約束通りうさ子をアルファにブラッシングさせながら、さくらと一緒にブラッシングの終わった所をもふもふする。アルファが羨ましそうな目で見ているがブラッシングが終わったら好きにしろ。アルファのブラッシングしている手が見えなくなった……。


 結局休日返上で働いてしまった。さくら達に次にログインしたら今度こそ珊瑚に囲まれし島のプライベートビーチで休日にしようと言っておいた。ログアウト寸前までさくらが寂しそうに顔ペロしてくる。俺も寂しぞーさくら。


 アルファにさくらを奪い取られ仕方なくログアウトした。




 ログインした。


 さくらの顔ペロが心地良い。



『海の幸は誰のもの? が限定クリアとなりました。迷宮【珊瑚に囲まれし島】が解放されました』



 限定クリアですか。考えて見ればクエスト名に係る事何もしてないな。誰のものだったんだろう。



「アルファはどうする。今日こそ休息日にするけど」


「お供もさせて頂きます」



 さぁ! 出発だ。何度言った事か……。


 ゲートとで移動しすると、蒼流神殿のゲートの場所が変わっている。ここどこよ?



「キュッ」



 うさ子が知っているみたいなので、クリスタルの場所まで案内を頼んだ。降魔神殿の様にセキリティーを高めた様だな。通路と扉を幾つか抜けてクリスタルのある部屋に着くと、部屋にはオメガとアリーナ、エリーナが居た。



「どんな感じ」


「これはルーク様、解放され間もないのでまだ迷宮にはそれほど人は入っていませんが……」


「が?」


「珊瑚の内海とビーチは満員御礼でございます」


「はぁ~? 説明プリーズ」


「迷宮よりも人魚に会えるリゾートとしての方が、人間達に受け入れられた様でございます」


「マジっすか」


「現在、通常の宿屋を二棟、リゾートホテルを二棟設置しておりますが全て満室となっています。それ故、人魚族だけでは手が足りず、降魔神殿のクリスタルからドールを二十体召喚した次第です」


「そんなに凄いの……」


「まだ、ランクが低い為、魔力の吸収率が低いですが、ランクが上がればリゾートのみで降魔神殿に匹敵する魔力を吸収できると考察します」


「……」



 開いた口が塞がらない。


 リゾート、リゾートなんて甘美な響きでしょう。そうだよな、考えれば誰だってわかる。迷宮なんかよりリゾートの方が良いって。綺麗な人魚さんもいたら尚更だな。



「現在、以前ルーク様が言っておられたカジノについても検討中です」



 そうカジノだ。人を呼ぶならギャンブルに限る。特に我々はお金稼ぎの為にやる訳ではないので、赤字が出ない程度でやれば他のカジノより人が呼べるはず。只、問題は経営のノウハウが無い事。賭け率などやディーラーはドールにやらせれば問題は無い。イカサマだって通用しないだろう。



「あの件に目処がついたのか」


「はい。ツヴァイスにあるカジノのオーナーを雇う事ができました」


「い、いつの間に」



 話を聞けばオールの手の者を使って色々なカジノに紛れ込ませ、情報収集をしてたそうだ。いつの間に、そんな部署作ったの?


 その中で迷宮都市ツヴァイスのカジノが借金の形に闇ギルドに乗っ取られた事を知ったオメガが詳しく調べさせた結果、表向きは今までのオーナーに、家族を人質に取った上で営業させ裏で法外なレートでの賭博を行っているらしい。そして、返せなくなった借金の形に人身売買まで行っている。


 有るは借金無いは金、よる良くある話だな。


 そこでオメガがそのオーナーと取引し家族諸共死んだ事にして助ける代わりに、こちらのカジノを手伝えと脅……雇い入れる事に成功したそうだ。そのオーナー家族は、今こちらに向かっているとの事。因みにオーナーが住んでいた家に家族と同じ姿格好の死体を置いて火を付けてきたので、ばれる心配は無いそうだ。流石オメガ、そつが無い。



「なんかここ、一大リゾート地になりそうだな。その他はどうなってる」


「人魚族の戦士達とオール殿が手配された者とで、順調に向こうの魔王の勢力を潰しています」


「へっ? 潰す?」


「はい。徹底的に完膚なきまででございます」


「えーっと。俺そんな事しろって言った……かな?」


「邪神の眷属であるダゴン様が貢物を寄こせば手を貸すと言って来られた事もあり、順調に事は運んでございます」


「そ、そう順調なら良いんだよ、順調なら。因みに邪神の眷属様への貢物ってなに?」


「お酒でございます。近頃、魔王クラークのせいでダゴン様の領海を通る船が減り、大好きなお酒が手に入らなくなったとお嘆きになっておられたので、オール殿が手配された幽霊船ゴーストシップに満載して贈りましたら大変なお喜び様だったと聞いております」


「そ、それは良かった……喜んでもらえてなによりだよ……って言うか、俺の居ない間に何やってるんだよ……」


「事が落ち着いた暁には第十三魔王である、お嬢様にお会いになられに来ると伝言を承ってございます」


「ははは……会いに来るんだ、邪神の眷属様……ははは」



 ゴメン……オメガ。もうお腹一杯。これ以上は勘弁してくれ。



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