34 さくらとパンティーお姉さん
「取り敢えず、こんなところかしら?」
「そうですね。すぐにどうこうという訳でもありませんから」
「だが、何かしら考えないと駄目だろ?」
「っていうかー。疲れたから今度にしねぇー?」
「うさ子ちゃんも疲れたーって」
「わ、私は疲れてないぞ!」
明日からは普通に仕事なのでログイン出来るのは夜九時だろうな。他の皆も同じ様だ。あっちは学生だけど。
一旦、街に戻ろう。報酬の受け取りやら、やる事が多い。
自分が魔法(時空)を持っているので転移出来ると言うと
「ルークってさぁはずれもの好きだよなぁ」
コッコさん。は、はずれものって……ははは……泣いてなんかないぞ!
うさ子が肩を叩いてきた。寝てたはずのぺん太も、うさ子の肩越しからこらをを見ている。
そうか、お前らはわかってくれ……えっ、なにその野菜? さっさと帰って野菜買えとな?
「キュッ!」
「クェー!」
お、おまえらもか! 暗夜に灯火を失った気分だよ!
転移した。皆を連れてな。なんか一気にMPが減った気がしたので確認するとMPが900減っている。一人あたりMP100使用だったのだな。使い勝手が良いのか悪いのか微妙。こういう所がはずれと言われる由縁なのかもしれない。
また明日と別れる為、さくらを受け取ろうとしたが、プルミが離さないという一場面もあったがなんとか皆と別れられた。
まず、うさ子とぺん太の食糧補給からだな。
露店街に行き、こないだの野菜をくれたおばさんを探す。程なく見つけた。うさ子がね。
おばさんの露店に行くとおばさんも、うさ子を覚えていたらしく笑顔で迎えてくれる。うさ子はおばさんにべったりだ。おばさんがさくらとうさ子、ぺん太にイチゴをくれた。そう言えば、イチゴはさくらの大好物だったな。匂いで気付いたのか今まで寝ていたさくらが目をさました。
「ミャッ!ミャミャ!」
大興奮状態になった。さくらとぺん太にへたを取って食べさせてあげる。ぺん太は丸呑み。さくらは小さいので先端の甘い所をかじったり舐めたりしている。それを見ていたうさ子が、さくらにイチゴをくれる。明日は雨か?
おばさんにお礼を言って野菜と果物を大量に買ったら、だいぶまけてくれた。ラッキーだ。
「うちは農家だからね、売るほどあるから気にしなさんな。ねぇ、うさ子ちゃん」
まぁ、確かに売ってるからな。
しかし、ここにも六三亭の女将と同じく、うさ子の異常状態【魅了】に掛かっている人が居たとは……うさ子、恐ろしい子。
ぺん太の為におばさんにこの辺で魚を売っている所がないか尋ねたが、この街は内陸だから生魚はほとんど手に入らない。欲しいなら自分で川や湖に行って釣るしかないと言われた。
ぺん太残念!
食料の買い出しはこのくらいで良いだろう。さて次はこんちゃんかな? チャットで問い合わせると大丈夫見たいなのでお店に向かう。
店の前に着いた、中を覗いて見る。後ろから
「なんだてめぇ。うちに用か、おう」
やくざ……もとい狸親父がいた。いつの間に……。
「ミャッ!」
「し、しつれーしましたー」
「ちょっと待って下さい! ルークくん、どこ行くんですか!」
いやーちょっとそこまで散歩でも……だって、さくらも怖がってるし。
「師匠! ルークくんとはこないだ会ったでしょう! 大事なお客様なんですからね!」
「うるせぇ! うちを覗き見してる不審者に声掛けてなにがわりぃ!」
あなたの方が誰が見ても不審者だと思がな。さくらなんか腕の中でプルプル震えてるじゃないか。
取り敢えず、店の中に入る事にした。
「ふんっ! 変な事しやがったら、唯じゃ済まねぇぞ!」
まぁなんて捨て台詞でしょう。言うだけ言って奥に行ってしまった。狸親父めぇ。
こんちゃんに死者の都に行って来た事を話し、後で【優雅高妙】の皆も売りに来ると思うと伝え、その上で素材の買取を頼む。
今回も鉱石類と武器防具がほとんどになる。少し良い武器防具はとっておくが、そろそろどうにかしないとストレージを圧迫してきている。
「その子達は新しいお仲間?」
そういえば、この方もモフラーだった……。
はい、取り上げられましたよ。かむばーっくさくら&ぺん太。
こないだ程、我を忘れてないから良いか。ついでなので、この子達に何かアクセサリーがないか聞いてみた。
うさ子が火属性無効を手に入れたので折角頂いたリボンがもったいない事も付け加えた。効果付きじゃなくても良いので、テイムされてる子達だよとわかる様なのが欲しいとお願いしておく。
後日、精算の時まで考えさせて言われたので、お願いしてお暇した。
次は情報ギルドに行こう。
いつ来てもピシッとしてるな。
あっ! いつかのパンティーお姉さんが居た。
「情報ギルドにようこそ。本日はどの様なご用件でしょうか? ルーク・セブンスランク様」
「一度しかお会いしてないのに名前を覚えていてくれたのですね。それからルークで良いです」
「クスッ……仕事ですから」
惚れてまうやろー! つい、恥ずかしくなりとっさにさくらを顔の前にもってきてしまった。
「みゃ?」
さくらと美人お姉さんのお見合いである。
「あら? こんにちは可愛い子猫ちゃん」
「ミャ~」
「ふふ、触っても宜しいかしら?」
「ミャー」
どうやらさくらは了承した様なのでお姉さんにさくらを渡した。
しかし、これがあんな事になるなんて、この時はまったく予想さえしてなかった。
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