29 何故、ペンギン?

「我が主の崇高なる儀式の邪魔はさせん」



 意味深な言葉を吐き、シェイドマスターはモンスターを四体召喚する。スケルトンナイト、スペクターバロンを二体ずつ、Lvはどちらも四十台。


 取り敢えず、ライトエリア、地形操作でスケルトンナイト一体を穴に落とし動きを封じる。ダイチがタンクとしてもう一体のスケルトンナイトをけん制し、ひなさんがスペクターバロン一体を受け持ってくれるようだ。


 やっと、パーティー戦らしくなってきた。


 じゃあ、自分もスペクターバロンを受け持ちますかね。


 まりゅりゅは後方から魔法攻撃、プルミは回復、コッコはシェイドをけん制する。早速、影走りのダガーを投げているが、ダガーが光っている様に見える。アーツかな?


 違った。どうやらプルミが聖属性を付与したみたいだ。回復魔法って聖属性おぼえるのだな。レベルが上がったからか?


 人の様子を見てる余裕無かった。いつの間にかスペクターバロンの奴、剣を持って攻撃してきた。何とか盾で凌ぐ。それにしても、スペクターバロンさん貴方、亡霊でしょう? なんで剣持ってるんですか? こっちの物理攻撃が効かないのにおかしいでしょう!


 ライトウェポンを試作シールド一号くんに付与する。まさか盾で攻撃するとは思っていまい……フッフッフッ。


 剣の攻撃に合わせ憤怒の槍でなんちゃってパリー、相手がのけ反った所で、シールドをフルスイング! スペクターバロンが吹っ飛んでいく。深追いせずにその場でライトバレットを連発。MPが少なくなってきたので一旦下がる。こう言うところがパーティー戦の強みだ。仲間同士助け合えるのが良いね。


 さて、その隙に周りを確認しておく。ダイチとひなさんは膠着状態、コッコは良い感じでけん制している。プルミは回復、まりゅりゅは……穴に落ちたスケルトンナイトに口元を吊り上げながら火を放っている。怖いです……。


 ここは膠着状態を打破する為、一発かまそう。ライトバースト! 効いている。自分の相手してたスペクターバロンも瀕死状態だ。もうMPがゼロに近いので瀕死のスペクターバロン突っ込む。何度か打ち合いシールドでの突きが決まりスペクターバロンが光に包まれる。


 穴に落ちたスケルトンナイトも、まりゅりゅの魔法に沈んだ様なので、もう一体の方を穴に落とした。


 ほとんどMPゼロなのでひなさんの応援に行く。ダイチが穴に落ちたスケルトンナイトを倒した所で、静観していたシェイドが急に怒りだす。



「おのれ!、下等な生物の分際で我が主の邪魔をするか!」



 さっきから儀式って言ってるが、この戦いとは別のイベントでも進行しているのか? どこかでイベント発生したのを見逃したのか? だとすると、このシェイドの主の儀式を妨害するのが、このクエストのクリアに関係するのかもしれないな。



「消えろ! 豪炎の裁き!」



 えっ?と思った時には周りが炎に包まれ、HPがガリガリ減っていく。やばい、やばいっス。何とかしないと……なーんてね。本邦初披露、陰陽師の実力見せてやるぜ!



「北方玄武。水行を用って火行を相剋せよ! 急急如律令!」



 や、やってしまった。命長ければ恥多しと言うが、これは恥ずかしい……。陰陽師のスキル、結界術はこれがあるから使いたくなかったんだよ。


 結界術のおかげで、周りから火の手が消えていく。



「もう、このフィールドでは火属性は使い物にならないからな。気を付けろ!」


「了解した! プルミ回復頼む!」


「えぇ~火が使えないの~?」



 どこの放火魔ですか? 他の魔法使いなさい。



「ちっ! いまいましい奴らめ!」


「攻撃を切らすな! こいつに魔法を使わせる隙をあたえるな!」


「ひなさん! こっちは任せてダイチの援護に!」


「わかった!」



 スペクターバロンくん、お互いHPが少なくなっているがお相手願おう。


 攻撃せずに防御に専念し憤怒の槍の一撃を狙う。憤怒の槍にライトウェポンを付与した為、ちょっとだけ回復していたMPがまたガス欠になる。


 スペクターバロンの攻撃を何度か防ぎ、狙いすました一撃を与えると光に包まれた。良い感じに攻撃力が上がっている。


 一度下がってMP回復ポーションを飲んで回復、ついでにプルミにも渡した。


 自分にヒールを掛け、シェイドマスターに突っ込み槍を突く。二人にけん制されていたので、シェイドマスターが自分に気付いた時には遅く奴の脇腹に槍が刺さる。



「がっ! おのれ!」



 シェイドマスターのHPの三分の一が削れた。


 シェイドマスターは自分の攻撃を受けない様に立ち回りだすが、こうなると多銭に無税……もとい、多勢に無勢。



「我が敗れるか……使命を全うできず……お許しください……」



 天の声インフォが流れる。


『【死者の都】のボスが討伐されました。条件をクリアしましたので【降魔神殿】が解放されました』


 パーティー様様だな。ソロなら絶対勝てなかった。気が付けば夜が明けてきている。完徹だ。



「【降魔神殿】ってこの目の前の事ですかね?」


「恐らくそうだろう」


「続けてやるの?」


「少し休みたいな」



 一時間程、休憩した。その間を利用して手に入れたアイテムの分配をする。自分は装備品はいらないのでポーション系とお金を貰った。


 ん? うさ子が卵を差し出してきたぞ。



「孵るの?」


「キュ!」



 卵を受取ると卵の殻にひびが入る。皆さんも興味津々の様で注目している。ひびが全体に入るとポン! の音共に何かが姿を現した。



「なんに見えます?」


「ペンギン」


「ペンギンかな?」


「ペンギンだろ?」


「ペンギンー!」


「だな」



 ペンギンらしい。ペンギンってモンスターなのか?


 まぁ深くは考えず。


 取り敢えず、新しい仲間ゲットしたぜ!



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