18 GMコールとログアウト
目の前い現れたのは妖精の格好をしたGM。多少の期待……いやいや、ほっとしている。
「どうかなされましたか?」
「ログアウトした場合、この子がどうなるのか知りたいのですが?」
「それではお答え致しますね。テイムモンスターはプレイヤーがログアウトした場合、プレイヤーデータと共にデータ化され休眠状態で保存されますので、安心してログアウトして頂いて構いませんよ」
「テイムモンスターではない場合ではどうですか?」
「えっ? テイムモンスターではない場合ですか?」
うーん? 理解して無いようだな。頭の上に?が見える。比喩じゃない、実際に頭の上でピコピコ光っている。運営さんもっと他に力をいれるべきでは?
「この子を確認してもらって良いですか?」
「へっ? わ、わかりました……って、えぇー!」
どうやら理解して頂けたようですな。
「どうして、セーフティーエリアにモンスターがいるんですか!」
こっちが聞いてるんですけど?
「ちょっと待っててくださいね! すぐ確認してきます!」
GM妖精さんはフリーズしている。アバター置いてどっか行っちゃってしまわれた様だ。
既に三十分は経とうかとしている。帰って良いかなぁ? いやいやイカン、忍の一字は衆妙の門。ちょっとイタズラでもしてみようか? なんて思ってたら妖精さんが再起動した。危ない危ない。
「お待たせしました」
「お待たされました」
「ぐっ。申し訳ありませんでした……」
「いえいえ。帰ろうかなと思い始めた所だったので、あと三十分位なら待てましたよ」
「ハゥ……ゆるして下さいよー」
「で、どうでした?」
GM妖精さん曰く、本来あり得ない事なので過去ログと管理AIを調べたが何も出なかったらしく、メインAIに自己診断させたが不正も見つからずバグでも無いとの回答があったらしい。
頭を抱えたシステム部門のスタッフは急遽ミーティングをおこない。不正もバグも無いという事で特別枠テイムモンスターとして管理AIに登録したとの事。
「ステータスを確認して頂いてもよろしいですか?」
と言われたのでステータスを確認してみる。スキル欄に【テイム】が追加されている。
システム上の矛盾を回避する為に追加されたらしいが厳密にいうと、うさ子はNPC扱いになるそうだ。パーティーに入ってる時はテイムモンスターとして扱われ、ログアウト時はデータ化される。パーティーに入ってない時はNPC同様に勝手に行動する事になる。
この事については今後調査をするので他のプレイヤーには他言無用とお願いされた。
「それから別件では御座いますが。ルーク様に他プレイヤー様から苦情が届いております」
「苦情ですか?」
「はい。草原フィールドにて意図的にトレイン行動をおこない、他プレイヤーを危険にさらしたと伺っております」
「それで、運営の見解は?」
「運営は一切関知致しません」
「なら良いんじゃないですか? 問題でも?」
運営側はプレイヤー同士の問題には余程の事か規約違反に抵触する事以外は関知しない理念と説明してくれた。PKが容認されている事でそれがわかると言う。
だが、やはり苦情が運営にいったようだ。プレイヤー同士はそれで良いとして、プレイヤーとNPCとの問題は別になる。仮に意図してイベント以外でNPCを殺害すると、最悪アカウントの取消もあると利用規約にも記載されている。
運営側が今回の件で憂慮しているのはトレイン行為によるNPCへの被害という事だった。トレイン行為事態はプレイヤーの自己責任だが、モンスターを引き連れた状態で町や村、或いはNPCの旅人に被害がでると罰則の対象になるので気おつけなさいという事だった。
「まぁ、留意はしときます」
「他には、何かございませんか?」
「俺達が倒したPKってどうなったんですか? お咎め無しって事は無いですよね?」
あの四バカは死に戻りした後、衛兵に捕まって牢獄にいるみたいだ。この後に裁判的な事が行われ処罰が決定するらしい。素直に認めればレベルダウンと一週間程度の無償奉仕労働が課せられるそうだ。
そして討伐した俺には、相手からドロップしたアイテム以外に討伐報酬が情報ギルドからでるので暇な時に受け取るように言われた。
「それでは今後も『infinity world』をお楽しみください」
GM妖精さんは良い営業スマイルを浮かべたまま消えいく。
これでログアウトしても憂いが無くなったな。
ログアウトしようと思ったが、宿のマクモンさんと飲みに行く約束してたのを思い出す。時間も良い時間なので穴熊親父の山小屋に行き、女将さんに見つからないようにマクモンさんと連れだって飲みに行った。
気付けば運営からログアウトする様にと
マクモンさんと宿に帰ると女将さんと言う名の鬼がいた……。なぜか自分も正座させられ説教される。解せぬ。
ギリギリ強制ログアウト前にログアウトできた。
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