15 フラグ成立

 うさ子は楽しそうにシャドーボクシングをしている。自分の思い通りに事が進んだのが嬉しいらしい。


 いつまでも座り込んでてもしょうがない。さぁ、お待ちかねステータス確認だ。どれだけレベルアップしてるかな?


 フムフム……うさ子さん、貴方ねぇLv17って……何やってたんですか?


 自分はどうかな? おぉー、Lv12になってる。一気に7UPもしてるよ。【槍】、【盾】のスキルも修得している。他は何故か幸運が多く上がっているな。


 ん? このStpって何だ? 前からあったっけ?


 なになに、レベルアップ毎に取得して任意のステータス値に振ることができる。取得数は装備Jobにより変化すると書いてある。し、知らなかった……。


 好きにポイントが振れるのか、一点に振って特化型にするってのもありなのか?でも俺にとっては完全に賭けの要素が多い気がする。縛りプレイの上、特化型に失敗したら目も当てられなくなる。ここは無難に万能型を目指そう。えっ? 特化型しないよ。人間万事塞翁が馬ってね。無理はしないのだ。前にも言ったっけ?



 ルーク・セブンスランク Lv12

 job 旅人

 HP/MP 1280/600

 Str 20

 Vit 22 (+10)

 Int 20 (+10)

 Dex 20

 Agi 20 (+10)

 Luk 20 (+10)


 Spt 0


 skill  魔法(光)Lv3 鑑定Lv2 気配察知Lv3 気配遮断Lv2 健脚Lv6 魔法発動短縮Lv2 夜目Lv1 魔法(時空)Lv1 幸運Lv5 槍Lv1 楯Lv1


 Job固有skill  HP回復速度上昇(小) スタミナ減少軽減(小) 空腹度減少軽減(小)



 武器 憤怒の槍

 盾 試作シールド一号くん


 頭 フールマスク  MP回復速度上昇(大)

 体 レンジャーコート  認識阻害(小)

 体 オブシディアンリザードの皮鎧



 保有Job  旅人 詐欺師




 ものの見事に平均だ。Vitはさっきの戦闘で上がったみたいだ。


 さて、問題は貴方ですよ。うさ子さん。



 うさ子

 strain ラッシュラビット ♀ Lv17

 HP/MP 1800/260

 Str 37

 Vit 45

 Int 13

 Dex 18

 Agi 47

 Luk 24


 skill  格闘Lv5 パンチLv7 キックLv8 身体強化Lv7 惹きつけLv4 威圧Lv4


 固有skill  嗅覚感知 聴覚感知 夜目 脚力強化 ウサギポケット


 称号  ルーク(ヘタレ)の友 ハニートラップ上手


 AC  友情の首輪うさ子専用



 どこぞのボスですか?


 スキルレベルが軒並み上がってるし新しいスキルも獲得してる。称号のハニートラップ上手ってなんですか? 貴方いったいどんな戦い方してるんですか? お願いですから一度戦っている所拝見させて下さい。うさ子さん!


 しかし、今更ながらソロは難しいな。今後の方針は盾スキルを伸ばし、受けからの憤怒の槍を有効活用し敵を一掃するのが時間は掛かるが無難かもな。問題はトレインをやり過ぎると運営から睨まれる可能性があるし、プレイヤーからの苦情によるGMコールがかかる可能性も十分にあり得る。難しいところだ。


 当初の予定通りうさ子が前衛をしてくれれば、また違った戦い方ができるんだが。こいつが何考えてるか、さっぱりわからん。でも、モフモフは最高!



 先程からうさ子が仕切りに鼻と耳をピクピクさせているのが気になる。今はもう敵と戦いたくないので時間は早いが、街に戻ろうかと思う。ストレージ内もドロップアイテムで一杯だしな。



 街に帰る途中、街道が林の中を通る場所でそれは起た。


 急に気配察知に反応があり前方に三つ、後方に一つの気配が現れた。今まで全く反応が無かった。いや、もしかしたらうさ子はこれに気づいていたか?


 四つの反応は間違いなくプレイヤーだ。んー、フラグ立ちゃってた感じか? 明らかに動きがおかしい。わざわざ、林に入ってからこちらにわざと気づかせる。これから襲いますよ! と言っている様なものだ。まぁ実際襲うのだろうけど。


 こちらが気付いた事がわかったようでプレイヤーがゆっくりと近づいてくる。ニヤニヤ笑っているのが見て取れる。気色悪いな。


 プレイヤーを鑑定したところ〈 ローグ Lv21 〉としか見えない。他の三人は〈 バーバリアン Lv20 〉〈 サヴィジ Lv21 〉〈 レイダー Lv19 〉となっている。


 Jobの名称からも明らかだろう。そう、PKである。



「こいつ、生きてやがったぞ。俺の勝ちだな!」


「マジかよ。あん中で死に戻りしねーのかよ」


「……」


「どーでもいいぜ。どーせここで死に戻んだからよ。チッ、受け取れや」



 レイダーがローグに金貨らしき物を投げつける。どうやらずっと前から見られていたようだ。



「さて、さっきの賭けは俺の勝ちだったが、次の賭けをしようじゃないか」


「いいねー。こいつに止めさすの誰ってのは、どーよ?」


「……(コク)……」


「ばっかじゃねー。俺に決まってんだろ。賭けになんねーよ」


「ハァ……漫才の途中申し訳ないが、疲れてるんで帰って良いか?」


「「「「……」」」」



 しばし沈黙の後、なぜか大爆笑された……解せぬ。



「ハァッ……ハァッ……ウケすぎて息できねー」


「やべー、今地獄見てきたぜ」


「……ぷっ……」


「こいつ状況わかってねよー。あたまちょーわりー」



 んー? どう贔屓目に見てもこいつら程、頭腐ってないと思うんだが? 俺がおかしいのか?


 こう言うのなんて言ったっけ。確か、能無し犬の高吠えだっけ? 弱い射ぬ程良く吠える。


 どーでもいいけど、早く帰りてぇ……。



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