→a Chain oF love
ログを確認。それは他の誰でもない、マスター登録端末からの
「ごおっッ、ア……!」
ホログラムがひび割れる。それは虹色の光を溢れさせたかと思うと、やがて灰白ののっぺりとした人型へと変化した。
べしゃあっ、とそれが
いつの間にか開いていたエレベーターホールから姿を見せたのはサンシャイン。
「事情がよく分からないけど、腹が立ったから押したわ。いい?」
「……ああ、構わな――」
言いおわる前に。
ぱしぃぃんッ!と紫皇の頬がはじけた。
紫皇が視線を戻す、
真っ赤な顔に涙をにじませて、サンシャインは怒っていた。
「あたしは……っシノーの弱点じゃない!」
よろめく。足元がおぼつかなくなる。処理装置が発熱し
「どうして!? シノーがあたしに遠慮することなんて一つもないじゃない! シノーは二度もあたしを助けてくれて……なに、ロボットだっていうのはそんなに
下がろうとすると手を掴まれた。その感触にいくぶんか乱れていた
「俺は、サニーから離れようと思っていた。俺自身のために」
びくりとサンシャインの手が固まる。
「……どういうこと?」
「嫌われるのが怖かった。危ない奴だと
きっと自分は彼女に
「嫌わないわ」
「……そうかもしれない。お前の考えはときどき理解が
タグ付けの不具合だ。サンシャインから離れることを《倫理》が一度は肯定していたせいで、大ルールが失われたあともその要求は
「おためごかしだ。嫌われることから逃げるのを、サニーの為と思い込んで自分に許した」
サニーは微妙な表情で一歩近付く。身体がぶつかるギリギリまで。
「シノー、あたしと一緒にいるのが怖いの?」
見上げ
「ああ、今も」
紫皇はうなずく。正直気が気ではなかった。じゃあいらないと言われた時、自分がどんな行動に出るかまるで予想が出来なかった。
「そう」
サンシャインは泣き笑いのような表情で。
「あたしも怖いわ。こうしてシノーといると」
つぶやく。
「いつかあなたがまた無茶するんじゃないかって、そうして本当にいなくなっちゃうんじゃないかって考えたら、とても怖い」
でもね、と赤くはれた目でかすかに笑った。
「それが大切ってことなんだわ。だから大丈夫」
紫皇はそれを理解しようと
「……大丈夫、なのか?」
「ええ、だって、そのために言葉があるんだもの。
そこでサンシャインは言葉を区切った。唇がためらうように動き、その両手が紫皇の肩を押さえて
「――
「…………」
その瞬間、紫皇は完全に安定した。これまでの乱れが嘘のように。
だがそれとは別に突き上げるような欲求もある。叫びたいような、今すぐ走り出して展望台を何周かしたいような。
実行しなかったのはこの状況でそれは適切でないと考えたからで、ひょっとするとこれがサミュエルの教えたという『男のマナー』なのかもしれなかった。
「ああ、俺もサニーを愛している」
「あい……ッ!?」
できるだけ平静な声で返すと、ぴんとサンシャインの背筋が伸びる。
「……何か間違っていたか?」
お互い顔が
「や、ううん、えっと…………それ、マリー・ピアさんにも言った?」
「分からん、言ったかもしれん」
べちぃんっ!
「信じられない! どうしてそういうこと言うわけ!?」
「お前が聞くからだろう!?」
紫皇が思わず語気を強めて返したとき、サンシャインのデバイスから着信音が鳴った。
サンシャインはそれを繋ぐ。パラミラから。
『サニー! そっちが当たりだよ、アメノヌボコは確かに槍だけど、その“
『あれは国造りのために天から地へ刺されたものなの。だからその
その言葉にサンシャインは上を見た。ガラス張りの展望台の天井。その向こうに。
満天の銀河があった。タワーを中心に天河すべてを
「――
自然、サンシャインは最後のキーワードに
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