→ヒントを読む
ホテル街にあるブランド店の屋上パーキング。
浮かび上がった
スチール模様の台紙が水玉にスクラッチされ、その下に刻まれた文字があらわれる。
[“
一部がスチール地のまま見えないのがポイントの不足分だろう。
「ん、まあ、あそこだよねえ」
「えっ!?」
納得したようにうなずいたパラミラの肩をサンシャインが掴む。
「何? タワーが最後の場所かもしれないってのはサニーも予想してたじゃん」
パラミラは
「この街で“象徴的な”“槍”なんて、神話が元ネタのアメノヌボコしかないでしょ」
「…………そ、そうね」
つっと目を
「なに、言ってみ、いいから」
「いや……その、アメノヌボコってアメリカ関係なかったんだって思っ痛いいひゃい!」
思いきりつまんで引き延ばしたサンシャインの
「馬ー鹿、そういうとこも可愛くなくはないけどバーカ」
「だっ、だって、言うでしょ!? アメコミとかアメカジとか!」
飛翔した
「でも、二つのヒントがタワーを指すとして、あとの三つは?」
「“
「本のタイトルとか?」
あてずっぽうでサンシャインが言ってみたあたりで、疑問に答えるようにアナウンスが届けられた。
『なお、キーワードは今すぐに全ての意味が分かるとは限りません。ですが正解に近付けば確実にそれと分かる演出が用意してありますので、まずは探してみてください!』
「だってさ、とりあえずタワーにつけるよ」
「うん、お願―――――――ぇ?」
その瞬間、サンシャインは目を疑う。
デバイスの片隅に、そのアイコンは点灯していた。
《UI Humanoid》
震える指で押す。そこには覚えのないダウンロードの
「――――シノー?」
通話ボタンを押す。呼び出し音。
所在のタブを開き、出て来た
その表示と重ねるようにして、デバイス越しにタワーの展望台を見た。
『ザ―― ザガ ッザー ……』
ノイズが聞こえる。通話画面が前面へ表示される。
ここではない場所の音。彼の、音。
「シノー……? シノー!? どうしたの!? なんでそんな場所にいるの!?」
なんの冗談かと思った。でも、少しでも疑念を抱いたらこの
「シノーってば! 返事して、ねえったら!」
反応はない。ただ
「っ……」
「ねえ、サニー!」
大声にサンシャインははっとする。
パラミラがミラー越しにこちらをのぞいていた。
「タワー着いたらさ、別行動にしようか」
その全てを察したような表情に、ぎゅうっとシャツの裾をにぎる。
「二人して同じところを探したってしょうがないしさ。……行ってきなよ」
「…………うん、」
あとでたくさん感謝しようと思いながら口をつぐんだ。わずかな気力さえ、今は胸の内へ閉じ込めておきたかった。
決意をこめてサンシャインはもう一度、耳へ響くノイズへと向かい合う。
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