→視点:Sunshine=Davis
ギュル、ギュル、と熱く力強い
頭はずきずき、身体はどんよりと重たくて、けれど不安ではなかった。
(大丈夫かな、また怪我とかしてない?)
だから、自分よりも彼の安否が気にかかる。
「――、」
すごい速さで流れていく仰向けの景色。
その中心で彼は怒っていた。
どこかで見たようなジェットパックをなぜか背負って。進むたびに視界がカクンと上下するのは足を怪我しているからだろうか。
「……シノー」
その輪郭がうるんでゆらぐ。今の彼の様子がどうしようもなく悲しくて。
「ごめんね。あなたを、シノーは、戦わなくていいなんて言っといて」
結局はこうなっている。今の自分はまったく無力で、無防備で、無策だった。
連れて行けると思ったのに。彼がいるべき場所へ。夢への一歩を踏み出せた自分なら、次の願いを叶えることくらいわけもないと思ったのに。
「…………」
立ち止まった紫皇が首を振る。
「“俺はサニーのことが重大すぎて、お前なしでは駄目になってしまったかもしれない” 」
「そ、れって……」
「“もう安心して構わない”」
いつかの言葉をそのままに、彼はサンシャインを床へ降ろした。
「“走れるか?”」
「嫌!」
サンシャインはその足へしがみつく。
「行っちゃやだ、どうするの? 危ないことはしないで」
胸騒ぎがした。もう二度と会えなくなってしまいそうな。
紫皇は立ち上がって上を向くとサンシャインの髪をかきまぜた。
「“大丈夫だ”」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます