第三章④
「さて、今回の対戦カードは実になんと六回目! 今日勝てば六連勝のプレタ・ポルテ生徒と、六連敗に待ったをかけたいヒロキ・アカマツ生徒との一戦をお送りいたします」
フランクリンの実況が、実技演習棟に響き渡る。
「司会兼審判を務めさせていただくのは毎度おなじみ私、フランクリン・テイラーです。解説にはサントノーレ学園一年二組の担任チャールズ・V・スタンフォード氏と、キートンの酒場にお勤めのマーガレット・ダグース氏にお越しいただいております」
……ああ、今日はラルフ殿の奥さんが来たのでござるな。
実技授業を経験するにつれ、拙者は不規則な事態にも段々と落ち着いて対応できるようになってきた。随分いらん経験値が貯まったものでござる。
「それでは早速先攻のプレタ・ポルテ生徒のお披露目と参りましょう! それでは、どうぞっ!」
そう考えている間にも、フランクリンはテンポ良く試合を進めていく。
「プレタ・ポルテ生徒に、アピールポイントを伺ってみましょう」
「学園ッ、という劇場にッ、舞い降りた、黒騎士ッ!」
その声を、拙者はカーテンが下りている出入口の前で聞いていた。アピールタイムから、拙者はプレタ殿が今回どんな服装をしているのか想像していく。
黒騎士と言ったように、プレタ殿のコーディネートは黒を基調にしたもの。テーマのテーラージャケットはもちろん、ボトムスもスニーカーも黒という徹底っぷり。ダーク系のトーンでまとめているが、シャツを黒と白のチェック柄にすることで、そこに一筋の清涼感を加えることに成功している。
アピールタイムで、プレタ殿は最後にこう付け加えた。
「図書館にッ、籠ったり、俺の周りをッ、こそこそッ、嗅ぎまわって、いたみたいだがッ、高級ブランド品を、着たッ、俺にッ、お前は、勝てないッ!」
それは、あからさまな拙者への挑発。一応、拙者の動向は掴んでいたようでござるが、プレタ殿は自分が負けるだなんてひとかけらも思ってはいないのでござろう。
「ではプレタ・ポルテ生徒のアピールタイムが終了しましたので、続いてヒロキ・アカマツ生徒のお披露目に参りたいと思います」
そしてそれは、観客席にいるジルドも同じはず。
それでいいでござる。今からお前らに、目に物見せてやるのでござるよっ!
「それでは、どうぞっ!」
お馴染みの台詞と共に、カーテンが取り払われる。拙者は左手をボトムスのポケットに突っ込み、リングに向かって歩き始めた。
一番最初に異変に気付いたのは、プレタ殿だ。彼は拙者の目の前に立っている。そのためカーテンが取り払われた瞬間に、プレタ殿は拙者がどんな服を着ているのか理解できたはずだ。
プレタ殿の顔が、驚愕に歪む。
そして拙者の服を目にした観客席も、次第に騒然とし始める。悲鳴に近い声が、リングに向かって投げかけられた。
「馬鹿なっ!」
「どういうことなの?」
「こんなの、アリなのかよ!」
「正気の沙汰じゃない、狂気の沙汰だっ!」
くっくっくっく。狂気の沙汰ほど面白い、でござるよ。
この中にいる誰もが、ありえないものを見ていると思ったはずだ。
それを司会のフランクリンが、ここぞとばかりに盛り上げる。
「ああっと! これはどういうことだ! ヒロキ・アカマツ生徒の、この服装はっ!」
観客席の喧騒も、フランクリンの驚愕も置き去りにして、拙者は動揺冷めやまないプレタ殿に向かって右手の人差し指を突きつけ、こう言った。
「拙者のアピールポイントは、一つだけ言える真理がある。『忍者は黒に染まれ』!」
拙者のコーディネートは、プレタ殿と同じく黒がメイン。いや、これはそんなレベルではない。
「なんとなんと! ヒロキ・アカマツ生徒の着ている服は、プレタ・ポルテ生徒と、まったく同じだっ!」
フランクリンの言った通りだ。拙者のコーディネートは、ただ黒をメインとしたものではない。
瓜二つなのだ。拙者が今着ている服と、プレタ殿が着ている服が。
テーラージャケットも、シャツもボトムスもスニーカーに至るまで、まったく同じコーディネート。
酒場でロロ殿に言った通り、拙者が情報収集を続ければ、相手がどんな服を着てくるのかなんぞ、調べるのは容易い。
しかし、拙者の服はプレタ殿と一点違いがある。最初にそれに気が付いたのは、フランクリンだった。
「んんっ? おや? ですが、何か違いますねぇ」
流石、審判も兼任しているだけのことはある。フランクリンは拙者をよく見ようと、マスクをメガネのように上下させている。
次にフランクリンと同じことに気づいたのは、目の前にいるプレタ殿だった。
「何だッ、お前がッ、来てッ、いるのは、俺がッ、着てッ、いる、服のッ、廉価品ッ、じゃ、ないかッ!」
プレタ殿が言った通り、拙者が着ている服はプレタ殿が着ている高級ブランド品よりも、ランクが一つ二つ落ちるブランドのものばかり。よくよく目を凝らせばデザインも、細部の刺繍も、当然使われている素材も違う事がわかる。
それに気づいたプレタ殿は、さっきまでの動揺は何処へやら。拙者を指差し、彼は嘲笑した。
「少々ッ、驚いたがッ、金のない、ジルド様のッ、支援のないッ、お前には、やはりッ、その程度がッ、限界、お似合いだッ! これでッ、わかった、だろッ? ジルド様のッ、凄さがッ。高い服こそッ、最強ッ。高い服の方がッ、カッコいいッ。お前がッ、どんなに、背伸びッ、したってッ、どんなに、足掻いたってッ、どんなにッ、本物(高い服)に、似せたってッ、最後にはッ、高い服が、勝つッ! それッ、なのにッ、何故、お前はッ、そんなッ、やっすくて、惨めなッ、服をッ、着る、んだッ?」
「『憧れ』でござるよ」
まくしたてるプレタ殿を、拙者は一言で黙らせた。
先ほどの失態を忘れたがってまくし立てているのでござろうが、もういいでござろう? もう十分喋ったでござろう?
だから、お主のターンはここで終了。ここからは、拙者のターンでござるよ。
「フランクリン。拙者のアピールタイムを開始するでござるっ!」
フランクリンからマイクを受け取ると、拙者はこう切り出した。
「お洒落なんて、クソ喰らえでござる」
周りの音が、消えた。
それは当然だろう。お洒落の国で、お洒落を否定したのだから。それも、軍事国家からきた留学生が、である。
ダンヒルの根幹を否定され、実技演習棟は静寂という名の殺気に包まれた。その向き先は、当然拙者だ。
しかし、それでも拙者は言わねばならないことがあった。
「留学初日から、散々でござった。何なのでござるか? 『最も魅力的な者が勝つ』って。ジルドにボロボロにされるし、『魅力』とか、まったくもって拙者には理解できないでござる! 何なのでござるか? お洒落って。自分を服で覆い隠して、それで一体何が『魅力』的なのでござるか? そんなもの、上っ面でしか自分を表現できない、自分に自信のない、女々しい軟弱モノのすることでござろう?」
「あいつ、まだそんなことを――」
観客席にいるジルドが立ち上がるのが見えた。それでも拙者は、話を続ける。
「そう考えて、いや、意地を張って、拙者は近づかないようにしていたでござる。自分の国に帰れば、軍事国家(エアロ)に帰れば、お洒落なんてなんの役にも立たない! そう決めつけて、理解できないものだと、理解しなくてもいいものだと、そう思っていたでござる」
拙者の声のトーンが変わったのを感じたのか、ジルドは口をつぐんだ。拙者はそのジルドだけでなく、ここにいる全ての人に語りかけるように、ゆっくりと口を開いた。
「でも、それでは悔しいでは悔しいではござらんか。ジルドに負けっぱなしで帰るのは。留学先で、その国の根源を理解せず国に帰るのは。この留学で何も得るものはありませんでしたでは、師匠にもケツを蹴り上げられるでござる。だから拙者、自分の理解できるところから理解しようと思ったでござるよ。食事も寝る間も惜しんで図書館に籠り、死ぬ気で、死ぬ気で探したでござる。そして、ついに見つけたでござるよ。軍事と、お洒落の関係性をっ!」
叫ぶのと同時に拙者がジャケットの内ポケットから取り出したのは、分厚い紙束。手書きで書き殴られたそれは、拙者が軍事とお洒落に関してまとめたレポートだ。
それを拙者は、刀を突き出すように、プレタ殿の目の前に差し出した。
「拙者が調べたのは、この国の戦乱時代からの歴史でござる。戦乱時代は軍事の時代。拙者に馴染みのある分野でござる。だから拙者、探して、そのレポートに書き記したのでござるよ」
「何をッ、探したって、言うんだッ?」
そう言いながら、プレタ殿は拙者のレポートを受け取る。
「言ったでござろう? 戦乱時代からお洒落に関係しそうな歴史を調べたのでござる。図書館の蔵書を、言葉通り片っ端から、一冊残らず全て」
「!」
拙者の言葉に動揺し、プレタ殿は手にしたレポートを落としそうになる。しかし彼は、すんでのところでそれを堪えた。プレタ殿は意地でもそれを落とすことはできないのだろう。何故なら彼が手にしているのはお洒落の歴史、自分の国の歴史なのだから。
拙者は話を続けながら、プレタ殿の周りをゆっくりと歩き始めた。
「既に学園で習っている通り、今存在する五つの国は弱い国がより強い国に合併、いや、ここで言葉を取り繕っても仕方がないでござる。弱い国がより強い国に吸収されることで、今の国の形になっているのでござる。国は吸収され、国同士の文化は交じり合う。が、元々の国の強弱、人の上下が生まれ、より強い国が、今の上流階級となっていったのでござる」
実技演習棟は、先ほどとは別の意味の静寂が漂っていた。今拙者が口にしている戦乱時代から続くお洒落の歴史に、皆聞き入っている。特に、それを大人に教えてもらえなかった子供たち(生徒)は、身を乗り出しながら拙者の話を聞いていた。
「『魅力』の差は貧富の差。その差はすぐには埋まらないのでござる。上流階級の着ているような服は、すぐに着ることはできぬ。だから、作ったのでござる。お主たちの両親は、祖父母は、祖先は、上流階級が着ている服の粗悪品を、廉価品をっ!」
拙者は両手を広げ、今自分が来ている服を見せつけるように、観客席に見せびらかすように歩みを進める。
「着るものがないなら、作ればいい。なんと逞しいことでござろうか。この場を借りて、謝罪させていただきたいでござる。この国は、お主たちは、ダンヒルに住む人たちは、断じて軟弱モノなどではないでござるよっ!」
そう叫んだ後、拙者は進めていた足を止めた。プレタ殿の周りを、ちょうど一回りし終えたのだ。
そして拙者は改めて、プレタ殿の前に堂々と立った。
プレタ殿は、呆然と拙者を見つめている。それに構わず、拙者はプレタ殿の持つレポートに視線を送りながら、言葉を紡いでいく。
「それを示すかのように、国が吸収された後、より強い国の、上流階級の着ている服が流行っていたでござる。それはつまり、この国の根底にあるのは、お洒落の原点は、上流階級への『憧れ』にほかならぬっ!」
「プレタ、よせ! ヒロキの話を聞くなっ!」
ジルドは拙者の戦術を見抜いたのか、プレタ殿に向かって叫び声を上げる。
だが、もう遅いでござる。プレタ殿が拙者のレポートを落とさなかった時点で、自分の国の歴史を大事にしてしまった時点で、この勝負は決しているでござるよっ!
「プレタ殿は、こう言っていたでござるな? 『高いからカッコいい』。笑止! 高い服を着るだけなら、ハンガーにでも出来るのでござる!」
拙者の一言で、プレタ殿の顔は苦渋に染まる。
拙者はプレタ殿の視界に自分の服が入るように、一歩前に出た。
「そして、こうも言っていたでござるな。『何故そんな服を着ているのか?』と。ならば答えて進ぜよう。着たかったからでござる。少しでもその憧れの対象に近づきたいという、この服を作った人たちの『夢』をっ!」
「ぐはぁぁぁあああぁぁぁあああっ!」
プレタ殿は叫び声を残し、盛大に後方へと吹き飛んだ。プレタ殿の体は浮き上がり、ついには観客席まで到達する。
しかし、それだけでは止まらない。プレタ殿の体が実技演習棟すら突き破ろうかという所で、彼の着ている服がビリビリに弾け飛んだ。
砂埃にまみれ、四散する高級ブランド品。そしてその中心に横たわっているのは、うつ伏せになり、生まれたままの姿となったプレタ殿。
って――
「えええぇぇぇえええぇぇぇええええっ!」
「この勝負、ヒロキ・アカマツ生徒のKO勝ちです!」
「いやいやいやいやいや! 何普通に司会進行しているでござるかフランクリン! あれは、あれはどういうことでござるか! 服が、プレタ殿の服がっ!」
「おや? 既にチャールズ先生が説明してくれたではありませんか。相手を侮っていれば侮っていた分、受けるダメージも大きくなると」
「全裸になるほど? プレタ殿、全裸になるほど拙者のこと侮っていたのでござるかっ! 仰向けだったら大惨事でござるぞっ!」
そう叫びながらも、拙者がプレタ殿に勝ったという事実を実感していた。
ともかく、六連敗は何とか免れたでござるな。
拙者は一つ、呼吸を整えるよに深呼吸。観客席を見れば、ジルドが拙者を射るような目で見つめていた。拙者もそれに負けないよう、睨み返す。
そしてジルドを指差し、再度宣戦布告をした。
「お主はどんな手を使ってでも、拙者が倒すのでござるよっ!」
その晩、拙者とロロ殿はラルフ殿の酒場でささやかながら祝賀会を開いていた。
ロロ殿は乾杯したアイスティーを一口飲んで、今日の感想を口にする。
「それにしても、どうなることかとヒヤヒヤしながら見てたよ」
「そうでござるか? かなり勝率のいい賭けだったと思ったのでござるが」
拙者はそう答え、緑茶、は置いてなかったので抹茶(グリーンティー)を口にする。が、すぐに拙者は顔をしかめた。
「うへぇ、これは拙者には甘すぎるでござる! 何でこうも砂糖を入れまくるのでござるか? 糖尿病になってしまうでござるよ」
「あ、じゃあ私が貰ってもいい?」
ロロ殿に抹茶を渡しながら、拙者は『最も魅力的な者が勝つ』のルールを思い出していた。
『最も魅力的な者が勝つ』で勝つ方法は二通りある。
一つは判定勝ち。もう一つはKO勝ちだ。
判定勝ちを得るためには、審判から対戦相手よりも高評価を得る必要がある。
もう一つのKO勝ちは、相手よりお洒落である、『魅力』が高い方が勝つ、わけではない。
対戦相手が自分より『魅力』が上だと思えば勝ち、つまり、対戦相手に自分の方がカッコいいと思わせれば勝てるのだ。
拙者はそこを勘違いしており、自分の『魅力』をどうにか上げようとして、五連敗もしてしまったというわけだ。
フランクリンが『最も魅力的な者が勝つ』で勝つ方法を、『審判である私の『魅力』測定と、対戦者同士の自己判定』と言っていたのを、すっかり忘れていた。
酒場でおばさんからロロ殿の世代がお洒落の根源を知らないと聞き、フランクリンの話を思い出した瞬間、拙者の中で全てがつながり、確信した。
高級ブランド品至上主義で下流階級出身のプレタ殿にお洒落の起源について話せば、彼はきっと自分のお洒落に負い目を感じて自滅する、と。
後はプレタ殿が負い目を感じやすいように、あえて彼が着る服の廉価品を選び、プレタ殿が惨めと切り捨てたモノがお洒落の本質であるということを、明確な形として目の前に見せてやればいい。
例えば図書館の資料をまとめた、レポートという形で。
「まぁ、うまい具合にハッタリが効いて良かったでござるな」
「……私、単純な『魅力』じゃなくて、ハッタリで『最も魅力的な者が勝つ』に勝った人、初めて見たよ」
呆れてものも言えないとばかりに、ロロ殿が苦笑いをした。しかし、その反応が拙者には以外だった。
「そうでござるか? ハッタリではないでござるが、話術で『最も魅力的な者が勝つ』に勝った御仁なら、拙者心当たりがあるでござるよ?」
「ウソ! 誰?」
「ジルドでござる」
お洒落の原点の話を聞いた時、拙者は酒場で留学初日のことを思い出していた。
あの時初めて行った『最も魅力的な者が勝つ』。拙者はKO負けを喫した。だが、それは最終的な結果だ。
「最初の勝負でジルドがアピールポイントを告げた時、拙者はジルドのことを、内心小馬鹿にしていたでござる。しかしその後ジルドから着こなしの説明を受けて、初めて拙者はダメージを受けたでござるよ」
だからあの一戦は、単純な『魅力』の勝負ではない。ジルドは、自分の姿を馬鹿にしている相手にさえ自分の『魅力』を伝える、魅せる話術に、拙者は負けたのだ。
『最も魅力的な者が勝つ』では、いかに自分の『魅力』を相手に伝えるか、どうしたら相手により自分を魅力的に見てもらえるのか。それを考えるものなのだ。
「何はともあれ、ハッタリだろうがなんだろうが、拙者は忍者、諜報員でござるからな。ドンパチやるだけが諜報員の仕事じゃないのでござる。勝てばよかろう、なのでござる」
「……それ、諜報員と関係ないと思うんだけど」
半目になったロロ殿に、拙者は苦笑いを返した。
しかし改めて考えると、『最も魅力的な者が勝つ』は実によく出来ている。
KO負けしないと言う点であれば、お洒落に全く興味のない留学当初の拙者が最強でござろう。何故なら、お洒落をした相手の『魅力』が理解できないからでござる。
しかし、それでは判定負けするのでござるよ。理由は、お洒落を知らない、お洒落を全く意識しない人の『魅力』が、お洒落をしている人の『魅力』に勝てるわけがないからでござる。
逆に少しでもお洒落を知っていると、対戦相手の『魅力』を理解できるのでKO負けのリスクが高まる。
拙者は、師匠が自分をダンヒルへ留学させた理由を、なんとなく理解し始めていた。
それは学園で『最も魅力的な者が勝つ』に勝ちまくり『絶対魅力者』を目指す、というわけではなく、相手の服装から『何か』を読み取る能力を身に付けるということ。
この国では酒場のおばさんですら、顔と服から拙者とロロ殿がサントノーレ学園の生徒だと見抜いた。
それは即ち、服から情報を得たということ。情報収集は、諜報員に取って重要な任務の一つだ。
だがそれは自分に嫌がらせをした相手を見返すため、体を鍛えることに専念しすぎた今の拙者には出来ない。服を見ただけで、拙者はそれだけの情報を得ることは出来ない。
だからまず相手のお洒落、『魅力』を感じなければ話にならない、『最も魅力的な者が勝つ』があるダンヒルに拙者は留学させられたのだ。
『何のためにその忍装束を着ているのか、よく考えろ』
師匠の声が、拙者の脳裏に静かに響く。もう少し周りを見ろと、そう言われた気がした。
「全く、師匠には頭が上がらないでござるな」
そうつぶやきながら、拙者はおばさんに麦茶の炭酸割りをジョッキで注文するために、右手を上げた。
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