残念メイド達!?です!
店の中を駆け回るかまくら部の四人。それにしてもこの衣装はなに?まるでメイド服じゃない……雪野先輩は赤、岸辺先輩は緑、美雨は黄色、そして私は青を基調としたカラーリングのフリフリのメイド服……こんなのいつの間に用意したんだろうか?
「いらっしゃいませ、こちらのお席へどうぞ」
「お、葵ちゃんだ!帰ってきてたんだ!」
「この休み中だけですよ?いつもありがとうございます!」
私が中学生でお手伝いをしていた頃から常連のおばさんだ。なんだか私との接し方がお婆ちゃんと孫なのよね、もう慣れたけど他のお客さんや、ましてやみんながいるときは勘弁してほしいよ……
「じゃあ私はいつもので頼むわね」
「はいはい、ハンバーグステーキにワインね」
「あ、ライスもお願いね」
「相変わらず食べますね、少々お待ちくださいね」
注文を厨房にいるお父さんに伝えて、私は空いた机のテーブルを拭いていると後ろから背中をつつかれる。
「ねぇ葵、厨房の方手伝ってくれるかしら?今日はお客さん多いからあっちがてんてこまいなのよ」
「いや母さん……私もそうしたいんだけど」
私は母さんから目を逸らして先輩や美雨たちに視線を向ける。視線の先にいるみんなは……
「は~い、トマトサラダですねぇ~」
「いや、ポテトサラダなんだけど……」
「あら~?」
岸辺先輩はオーダー間違えてるし……美雨はさっき転んで皿割ってたし……雪野先輩はむしろお客さんと一緒に席に座ってご馳走されてるし……はっきり言って誰も戦力になってない……なのになんで今日に限ってお客さんが多いのよ……
「いやぁ奥さん、今日はかわいい子がたくさんって聞いて来たけど、賑やかね!」
「もぉ楽しくてしょうがないんですよねぇ!」
こんなある意味大惨事のどこに楽しさを見いだせるの!?どう考えてもお店に迷惑かけてるよ!?っていうか、なんで私たちのこと噂になってるの?
「女子高生四人がメイド服で接客って広告したらぁなんだか予約がたくさん入ってねぇ」
「この忙しさの元凶はアナタでしたか……」
私はガックリと肩を落としてうなだれた。でももう一つ疑問がある。なぜこの忙しい休日のディナータイムに、普段バイトで来てるはずの人が誰もいないことだ。
「もう、なんで今日のバイトさんみんな休みなの?」
「ゴールデンウィークだからぁみんな休みたいのよぉ」
「
なんで接客業のバイトで長期休暇に休めるのよ……仕方ない、ここは私が超頑張ってカバーしないと!……と、思った矢先に……
「雪野ちゃん、こっち来てピザ食べないかい?」
「えー!ここって洋食店なのにピザあるのー!?食べる食べるー!」
食べに行くな……!店のメニューで驚くな……!これ以上私の胃痛を加速なせるな……それでなんでお母さんはニコニコしてんの!?だー!もうやってられっかー!
「どへぇ~疲れた……」
ベットに倒れこんだ私はうつ伏せのまま動けなくなってしまった。みんなは私の部屋に布団を運んでいる。お父さんもお母さんも店の後片付けで店から戻ってこないけど、多分後片付けというより後始末かなぁ……
「葵ちゃん!今日は本当にごめん!」
「私もミスが多かったわ~ごめんなさ~い!」
「いや、まぁ気にしないでください」
は、反省してるみたいだし良いとしておこう。明日も夜は手伝うことになってるみたいだし、明日の仕事前に少しだけ指導しておこうかな。
「じゃあじゃあ!明日もご馳走になりながら頑張ろー!」
「アンタは反省しろー!!」
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