ご馳走とお手伝い!?です!

「おかえり葵!待ってたわぁ!」

「葵!お前が帰ってくると聞いてご馳走を用意しといたぞ!」

「な、なななななな!!?」


 お店のテーブル席の二つが異様に装飾されていて、その上に大量に置かれたご馳走。多分普通にお店で注文したら八千円くらいはするだろう。そんな景気が良いわけでもないのにこのバカ親は……


「うわぁ!すっごいご馳走!これ食べてもいいの!?」

「ええもちろんよぉ!葵のお友達はみんな大歓迎だものぉ!」

「まぁまぁ~わざわざすみません~」

「ほんと、葵ちゃんの家ってすごいね……ありがとうございます」

「良いってことよ!ささ、冷めねぇうちに食っちまってくれ!」


 みんな好き勝って言っちゃってもう……私はそんなつもりで帰ってきたわけじゃないのに……


「あらぁどうしたの葵?食べないの?」

「……食べます!!」


 全員、一斉に席に着くと、一心不乱に食べ物をかきこんだ。ハンバーグステーキにオムライス、クリームシチューにスパゲッティ!これぞ実家の味!どんな状況でもやっぱりお腹と舌は正直だ!


「よろこんでもらってよかったわぁ」

「ああ!腕によりをかけた甲斐があったってもんよ!」


 しかし、わざわざお店を休んでまでやらなくても良いだろうに……今日はこのあと遊びに出かけようとも思っているし、あんまりお腹いっぱいにするのも……


「あ゛ー!食べた食べたー!」

「華ちゃんお腹出してもう~」

「ごちそうさまでした~おいしかったです」


 み、みんなもう食べ終わったの!?雪野先輩にいたっては膨れた腹を出して椅子の背もたれに寄りかかっている。私も慌てて料理を口に運んでいる間に、両親とみんなで何やら話している。普段の私はどうなのかとか、うまくやってるのかとか……そういうのは普通娘に直接聞くものなんじゃないだろうか?


「それにしてもぉみんなかわいいわねぇ」

「おう、ウチにいたら間違いなく客足も増えるだろうな!」


 まったく、みんなは今日から札幌を色々見て回るんだから、変な事言わないでほしい。みんなだって困っているだろう……


「あー!じゃあ私お手伝いするー!」

「……は?」

「そうねぇ~泊めてもらうのに何もしないなんで失礼だわ~」

「ちょっ!ちょっちょっちょい!?」


 ま、待ってください……その流れはいけない!もしみんなが手伝うことになったら、私まで手伝う羽目に遭うんじゃ……


「ねぇ葵ちゃん、私たち少しだけお手伝いしてもいいかな?」

「そ、そうだね~……じゃあみんなが頑張ってる間は私は部屋でゴロゴロ……」

「なんて良い娘さん達なんだ!葵!お前も手伝え!」


 ほ~らぁ~!!だから嫌だったんだよこの流れ~!!これはまずい、このままじゃ私のゴールデンウィークゴロゴロ計画はすべて水の泡だ!なんとかしないと……見てなさいよ……これが私の本気よ……!!



「いらっしゃいませー」


 あれから数時間後、店には色とりどりの衣装を身にまとったかまくら部一同が、店の中を駆け回っていた……


「どうしてこうなったぁぁぁぁあ!!!」

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