ダイヤモンドゲーム!です!
ダイヤモンドゲーム。六芒星型のフィールドにある三色の駒をそれぞれ一番先に対角に全部移動させることができたプレイヤーの勝利。駒は子駒と王駒の二種があり、敵味方関係なく一直線に沿ってなら子駒一つを追い越せ、また飛び越えた後に子駒が一つ分空いていれば、連続して飛び越えることができる。
「わー!また負けたー!!」
「雪野先輩は考え無しに駒を進ませすぎなんですよ」
「葵ちゃんは完全に雪野先輩の駒利用して駒進めてるもんね」
「この連続跳び越しがスカッとするのよ」
買い出しから帰った私たち三人はもう二時間もぶっ通しでこのゲームをやっている。最初は探り探りやっていたけれど、段々感覚を取り戻した私と、ルールをちゃんと理解した美雨は何度も買っているけれど、まったく話を聞かない雪野先輩が完全にカモだ。
「華ちゃ~ん、私にもやらせて~」
「くぅー!ゆあっち!私の仇をとって!」
「もちろんわかってるわ~……まだ年寄り扱いしたの……許してなんだから~」
普通に立ち直ってくれたかと思っていたのに、全然怒ったままだった。でも経験値ではどう考えても私と美雨の方が上だし、先輩はそもそもこのゲームをやったことはないはずだ。なんなら美雨との連携プレイで倒せばいい!
「美雨、わかってるわね」
「もちろん、岸辺先輩を倒した後で葵ちゃんを倒すからね」
「望むところよ」
「二人とも何をコソコソ話しているのかしら~?」
ということで、黒いオーラ全開の岸辺先輩との対決。しかし……
「あの岸辺先輩……」
「なにかしら~?」
「練習しました?」
「してないわ~見るのも触るのも初めてよ~」
それにしては強すぎる……現時点で私は1勝3敗、美雨に勝ち星はついてない。というか、ずっとやってたら疲れた。
「おいお前ら、鍋出来たぞ」
「わーい!今日はトマト鍋ー!」
どうやら、ここで一旦休戦見たい。ダイヤモンドゲームを片付けて鍋を囲む。しかし鍋の中身を覗いた私は言葉を失った。肉や野菜が入った鍋……でもトマトという割には赤くない……ど真ん中以外が。
「あの、なんでトマト……そのままぶち込んでるんですか?」
「ん?おーそりゃその方が食べ応えあるだろう?」
「これじゃトマトぶち込み鍋です!」
「んー!でもトマトおいしいよ!」
「って雪野先輩一人でトマト食べないでください!」
私が先生に問いただしていた隙に雪野先輩がトマトにそのままかぶりついてしまった。でも大丈夫、今日はトマトは三つ買ってきてある。残りの二つを私がただしく調理すれば……あれ、買い物袋にトマトがない。
「あれ?あおっち何探してるの?」
「あ……雪野先輩それ……」
「ああこのトマト?買い物袋にたくさん入ってたから食べちゃった」
「ああああああああああああああ!!」
何気に、女子の間でブームになっていたトマト鍋を楽しみにしていたのに……すると私の肩に柳先生の手がポンと乗せられる。もう片方の手には缶ビールが二本。
「ま、これでも飲んで落ち着きな」
「私未成年です!!」
「お酒は二十歳になってから~」
もうこうなったらヤケジュースだ。最近の食費で浮いたお金で大量に買い込んだトマトジュース缶を一気飲み。リコピンでお肌キレイになってやるんだから!
「葵ちゃんってトマト好きなの?」
「うん好きだよ、そういう美雨は何が好きなの?」
「私はトウモロコシが好きだなぁ」
「なら今度は~隣のかまくらの七輪で焼きトウモロコシでもしましょうか~」
「やった!」
ということで、明日も買い出しに行くことになりそうだ。今日は思いのほか出費がかさんだから明日は気を付けないと……
「よーし!明日こそは部費でゲーム買うぞー!」
「だからダメですってば!」
ついでに……この人を止めなきゃダメかもしれない……
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