スルノート

人は思いもよらない事件を起こす

まるで、何かに操られているかのようだ



こんな事件があった

17歳の少年が、白昼野外で無理やり45歳の女性に性交渉をしようとした



普通の少年だ

特に変わった性癖があった訳でもない



この少年の言い訳が、また変わっていた



話しはこうだ






クラスの女の子に告白をしていたそうだ



放課後遅く、女の子を校舎の裏へ呼び出していた

『何かよう?、私の事が好きなの?』



少年はいきなり服を脱いで

裸で女の子に告白した


当然ふられて

『この変態、クズ野郎』

と罵声を浴びたそうだ



そして

少年の目の前が真っ暗になった






気が付くと


目の前にさっきの女の子がいる

そして、何事もなかったようにまた同じセリフ


『何かよう?、私の事が好きなの?』




実は、少年はこの告白を繰り返しているのだと言う



これで10回目




服を脱いでみたけどダメだった


告白せずにその場を逃げてもダメだった

土下座もしてみたし、

丁寧に思いを告げてみても当然ダメだった


そもそも、彼女は少年の事が付き合う以前に嫌いだった


そして

彼女に"No"といわれるまでの3分を繰り返している





なぜこんな事になったんだ


少年は考えた


なぜだ

なぜだ

なぜだ



少年は一つの出来事を思い出した

どんな目標も達成させるという

"スルノート"


亡くなった祖父からもらったノートに

17歳までに彼女を作るという目標を

昔、確か書いたという記憶


そして、その日は17歳の誕生日であった


彼女ができるまで、永遠にこの3分間が続くという事なのか?

それが、スルノートの恐ろしい力なのか?




男は走り出した


近くに他の女がいないか


この女は、どうやっても付き合ってもらえない



いない


いない


いた

用務員のおばちゃんがいた

確か最近旦那さんと別れたとか




そこで目の前が真っ暗になった







『何かよう?、私の事が好きなの?』


そう聞こえて

今度はすぐに走った



用務員のおばちゃんがいる


そして言った

『好きだ』


びっくりする、おばちゃん

『おはははは、おばちゃん嬉しいわ』



校舎の陰から

さっきの女の子が顔を出してこちらを見ていた

意味が分からないという感じだった



『本気です、ずっと好きでした、彼女になってください』



『情熱的ね、ありがとう』

『こんなおばちゃんでいいなら喜んで』



『よっしゃーーーー』

少年は叫んだ



おばちゃんは頬を染めた



しかし、

次の瞬間、目の前が真っ暗になった






呪いのようなセリフが聞こえる

『何かよう?、私の事が好きなの?』



あれ

どうして

まだ、ループは続いている


なぜだ


頭を巡らせた



なぜだ

なぜだ

なぜだ



男は思い出した

ノートに書いていた内容




17歳までに、彼女を作って



童貞をすてる




少年は走った




おばちゃんに出会うやいなや

情熱的なキスをした




ーー終わりーー

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