Luftkampfと盾と矛

 Luftはドイツ語で空気や空中というような意味。


 Kampfは戦闘、格闘というような意味で、「戦争」とは異なる。


 Luftkampfはそのまんま空中戦という意味。



 この空中戦の始まりは、複葉機で石や煉瓦を投げ合ったのが始まりと言われていて。文字通り原始的な戦闘でした。


 その後、「拳銃」で撃ち合うという戦闘になり、その後にご存知、機関砲が搭載されることになりました。


 更に、エンジンもジェットに変わると、ミサイルが登場してきました。

 初期のミサイルは、「空中魚雷」と呼ばれていて、ロケット花火のでっかい奴と変わらないもので、戦闘機対戦闘機戦には向かないものでしたが、追尾装置が発達するとサイドワインダー等の空対空ミサイルが発達してきました。


 ある程度ミサイル技術が進歩すると、「今後はミサイル戦が主流になり、機関砲は時代遅れになるだろう」と予想した人が出てきて、実際に永い事主力戦闘機となったF4ファントムには機関砲が付いてません。


 その後は勿論、「やっぱ、機関砲いるじゃん」と気付いて、現在の戦闘機は普通付いています。



 ところが、その後、様々なタイプのレーダーが開発され、複数の種類のレーダーを搭載することによって、レーダー追尾機能が発達すると、またもや「今後は、肉眼で敵を目視できるようになる前にミサイルを発射しているだろう」と考える人が出てきましたが、本当でしょうか?


 発達したのはレーダーだけではなく、ステルス機能も発達しました。


 以前の「ステルス」は機体にレーダーを拡散したり吸収したりして、レーダーに映りにくくするものでしたが、「ステルス塗料」の進化ではなく、機体そのものをレーダーに映らない形状にするという、ステルス機の登場です。


 これはまさに盾と矛です。


「強い戦闘機」の定義を速さや機動性や、より強力な武器の搭載量を極限まで極めること、という発想は否定されるでしょう。


 航空機に飛行に関係のない物を搭載したり、飛行に適しない形状にするというのは、飛行そのものに負荷をかけます。


 ミサイルやドロップタンクを搭載するというのは、空気抵抗や揚力に少なからぬ影響を与えます。


 F22の様にミサイルを主翼に吊り下げるのではなく、機内に収納し、発射時に扉を開けてミサイルを射出する、という発想や、ドロップタンクがいらないほど機体内の燃料タンクを大きくする、というSu27シリーズの発想は、「飛んでなんぼの空中戦」という発想で、ここが一番大切なことだと思います。


 Su(スホーイ)等は、東側の飛行場の多くが土がむき出しの荒れ地が多い為に、西側の最新鋭戦闘機が離発着できないような飛行場でも離発着できる設計になっているそうです。

 また、艦載機バージョンのスホーイ27シリーズ(フランカー)は、馬力がもの凄く強いので、スホーイの載せる空母にはカタパルトが付いていません。


 通常は、航空機は空母の滑走路で揚力を得られるまでに加速できないため、巨大なパチンコ装置であるカタパルトで航空機を押し上げて加速させて上げます。


 跳び箱を跳ぶ時、お尻を押して跳ぶのを助けてあげるのに似ています。


 所が、フランカーにはその補助がいらないのです。

 その代わり、空母の先端がクルッと上に反っていて、フランカーは自力で離陸できるのです。


 それはそうと、燃料の心配もなく、荒れた滑走路でも着陸できるというのは、「うちの玄関に帰るまでが遠足です」というのと似てませんか?


 戦闘機だけでなく、あらゆる航空機は「飛ぶ」ということがどういうことなのかを熟考することが必要な気がします。


 レーダーとかステルス等の飛行には直接関係のない機能は実戦には影響がなくなってくるように思えます。



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