ベルリンとシュレーディンガーの猫
「ベルリンに行ったことが無いから、ベルリンはまだ存在しないかもしれない」と誰かが言ったら、被害妄想、不安神経症、パラノイアと思うだろう。
「今まで写真やテレビ等で見たベルリンはカキワリで、本当のベルリンはまだ造られてない。自分がベルリンに行くことになって初めてベルリンは建造される」等と言ったらもう確実にキ印である。
しかし、昔からSF映画などで多く取り上げられていたシチュエーションですよね。当然存在すると思われた世界が大嘘で、全部政府や国家が作り出した作り話だったとと言う話。
でも、ベルリンを見たことがないから、ベルリンは存在しないかもしれない、というのはある意味「科学的」と言えるんです。
SF好きの人なら必ずと言っていいほど知っているあの有名な「シュレーディンガーの猫」の事はご存知ですよね?
知らない人のために簡単に説明すると、
「絶対に開けられない、中の様子を全く知ることは出来ない箱を用意します。中には青酸ガスを噴出させる装置。無理やり開けようとすると、青酸ガスが噴出する。それだけでなく、放射線感知装置と同位元素が設置されていて、同位元素からランダムに放出される放射線を感知すれば装置は作動する」
その中に猫を閉じ込めるのです。
この状態の猫をシュレーディンガーは「猫は生きていないし、死んでもいない」といいます。
つまり、「観察者」がいて初めて「物は存在する」というのが宇宙物理学の基盤だという事です。
逆に言うと、観察することが出来ない猫は存在ないし、箱に入れるまでは存在したのだから同時に存在していると言うことです。
ちょっと前まで、「太陽系で輪のある惑星は土星だけ」だとされていました。と、いうことは、探査艇が木星の環を発見する前まで木星の環は存在しなかった、と云うことになります。
「観察者」がいなければ「存在」しない、というのは非常に主観的で独断的な考え方で、「科学的」とは言いがたいですが、所詮、全ては個人が理解し、判断することだ、ということでしょうか。
例えば、「太平洋上にムー大陸発見」という報道があり、それを証明するかのような動画が流され、先進各国がそれを認めたら、信じるでしょうか?
多分、殆どの日本人なら信じるでしょうね。
欧米や大陸の人達は「自分で実際に見るまでは信じられない」と思うでしょう。
ムー大陸など存在しないし、太平洋上にそんな痕跡はまるでない。なのに存在すると報道されて信用するのは一部の人間だけです。
そういう意味では「観察者がいなければ、そのモノは存在しない」というのは納得できるのではないでしょうか?
しかし、そういう定理が働くなら、原子物理学にも疑問の矢はあたります。
誰も「原子」を見たことがないからです。
原子の「観察者」は未だいないのです。
現在の原子物理学では、物質の最小単位は「原子」でその周りを超高速で電子がくるくる回っていて、それが外へ飛びなさないような強力な力を原子が持っている、とされていますが、それを観察した人は未だいないのです。
只、そう考えると全てのことに説明がつく、という理由でそれが「常識」とされています。その裏付けをする証拠は多々見つかっていますが、そのものを証明したり、観察するものではなく、「裏付け」の証明がされているだけです。
つまり、「まだ原子は存在していない」という訳です。
放射線や電子は存在を証明されているのに、その大元の原子が証明されていないというのはなんとも皮肉ですね。
でも、これは原子物理学が根本から間違っているという可能性も有しています。
ガレリオやアインシュタインのような天才が登場し、現在の原子物理学を根本から覆す可能性もあります。
いえ、今までの科学史から鑑みて、そう考えるのが普通では無いでしょうか?
科学はいつまでたっても「完璧」にはなりません。常に間違い通しです。しかし、確実に「真実」に向かって少しずつ進んでいるのも事実です。
そういうことを考えると、SF小説を書くなら、「近未来のありそうな未来」を書くより、遠い未来のあり得ない世界を書いた方が特かもしれませんね。
「2001年宇宙の旅」が時代錯誤になり、「浦島太郎」が未だにSFでいられるのもそんな理由かもしれません。
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