第2話 2人目の少女ですか⁈
「なあシャロン。お前は一体どこから来たんだ?見た感じ日本人じゃなさそうだけど」
「すみません、それも憶えていないんです。私が目を覚ました時には目の前にユイトがいて……それより前のことはさっぱり」
唯斗の見立て通りシャロンには直前の記憶すらもないらしい。かなり深刻な症状だろう。
起き上がった時に言っていた『高いところから落ちた』という台詞。これにもまた不可解な点が付き纏う。
宇宙から落ちて来たといういうことだろうか?だが、流石にその発想はあまりにも突飛過ぎる。
第一、宇宙人だとしたらこんなにも見た目が地球人と酷似しているなんて出来すぎている。
さらに唯斗を悩ませていたのは、この先連れて行くのは警察か病院かはたまた孤児院などの特殊施設にすべきなのかということだ。
なにせ人生でこんな唐突な出会いに遭遇した人間は恐らく一人としていないだろうから、どこが対応してくれるのかがさっぱりわからないのだ。
そして何よりも……………………外人の美少女に下の名前で呼ばれるのがおもはゆくて仕方ない。
そんな不安と葛藤を抱えた結果、唯斗は自分一人ではとても決めかねると考えて、一度自宅に帰ることにした。
ただ今絶賛くつろぎ中であろうもう一人の少女と相談することが最善だと判断したためだった。
「とにかく、一旦オレの家に上がっていけよ。ああ、もちろんオレだけしかいないわけじゃない。もう一人オレと同い年の女の子がいるんだ」
「では……お言葉に甘えて。ここからどのくらい歩くんですか?」
「あと十分くらいだ。もともとオレの前の家主が居たんだけどな。そいつが物好きで街の外れに家を建てたんだよ」
「その方ってユイトの親御さんですか?」
唯斗はこの質問に対する返答に少々困った。シャロンの言うことは半分が正解で半分が間違いであったからだ。
「…………まぁそんなところだ。今のオレが在るのはその人のおかげだと思ってるよ」
「へぇ……………………」
(興味ねぇのかよ!)
夜の闇が深くなり、等間隔に立っている街灯から垂れる色白の光幕。
その
都会の喧騒から離れた郊外はこの時間は酷く不気味で外に出ている者は少ない。
いつのまにか途切れていた会話。無理もない、というか初見の少女と何十分も会話を続けろという方が無理な話だ。
そんな無言の雰囲気をよくないと思ったのか、唐突にシャロンが背後から唯斗の肩を叩く。
「ユイトユイト、あれっ、あれを見て下さい」
「ん?ってぎゃあああああああああああああああああああああああ」
シャロンが嬉しそうに指差したその先には
そう、二人を目がけて一直線に落ちてくる流星が。
「おいシャロン、とりあえず逃げるぞ」
「え?なんで
「こんな時に限って英語で言わなくていい。ほらよく見ろ。こっちに向かって落ちて来てるだろうが」
「え……わあ本当ですね。私たちに星々の加護があらんことを」
「あり過ぎだろ!ほら、さっさと逃げるぞ」
なんとも危機感のないシャロンの手を無理矢理にでも引いて流星、いや二つ目の隕石の落下地点から離脱する。
途中からはシャロンもその危険性に気がついたようで、いつのまにか唯斗を追い越して一目散に街灯の陰に隠れていた。
「オレをみすてるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
唯斗の悲痛な叫びも虚しく、彼がシャロンがいる物陰に入ると同時に隕石は先ほどの二人がいた場所にピンポイントでクレーターを作った。
耳をつんざくようなアスファルトが割れる音。飛び散った瓦礫がガードレールや無事な道路に衝突する音が響きわたる。
「いだだだだだ。なんで一日に二度もこんな目に遭わにゃならんのだ⁉︎」
唯斗の心の叫びを不思議そうに首をかしげるシャロン。
ここまでの展開は多少登場人物が増えたとはいえ、大方前回と同じだった。
では違った点は?というと……………………
「くそっ、今度は何なんだよ?もうこれ以上の迷い子はオレも要領オーバーだっつーの」
今度はシャロンを置き去りにして唯斗がズイズイとクレーターの中心部に向かって詰め寄る。
煙の中からお約束通り現れるであろう何者かに対して先手を打つためだ。
二度目なので手際よく巻き上る砂埃を払いのけ
「おい、悪いけどこちとらもう容量オーバーなんだよ!他当たってくれねえか…………n」
出てきたのは…………第2の少女などでは…………なかった。
「……………………巨神兵……………………降ってきやがった」
茶色い煙幕の中から悠然と現れたのは唯斗の身長の倍ほどもある筋骨隆々とした
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます