第4話 「博士 博子」

「君が落としたのは金のスマホかな?それとも銀のスマホかな?」

「うわぁっ!」

いきなり背後から声をかけられて、俺は思わず飛び上がってしまった。

「ごめんごめん。驚かせてしまったかな。」

「あなたは一体誰ですか・・・?」

「私は博士はかせ 博子ひろこ。よろしく。」

「はあ。よろしくお願いします。で、さっきのスマホがなんちゃらって・・・。」

「ああ、そうだ。君が落としたのはどっちだ?」

「・・・どっちでもないです。普通のスマホです。」

落ち込んでいたところにいきなり声をかけられ、意味不明なことを聞かれて、

俺はとりあえずイソップ寓話通りの、普通の答えしかできなかったが・・・。

「おぉ、君は正直者だな!では落としたスマホの代わりになるかは

わからんが、これをやろう。」

そう言うと彼女・・・博子ひろこさんは俺に端末を差し出してきた。

「これは・・・スマホ?」

見た目は今流行のスマホそっくりだ。

「んー、スマホと同じ使い方もできるが、その『デバイス』の

本来の使い方は違うな。その画面下の方にある家のアイコンを

タップしてみてくれ」

「えっと、これか。」俺が押すと、ピコンという音と共に

画面には「Install?」と出ている。

「なんです、この『インストール』・・・」

そう言いかけた瞬間、俺は光に包まれて・・・

「って、な、何が起こって・・・!?」慌てて博子ひろこさんを見る。

その顔は満足そうな笑みを浮かべてこう言った。


「ふふっ・・・それでは良い旅を。」

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