第3話 夕暮れの帰り道

―やれやれ・・・。

今日の出来事を思い出しながら、日が落ちかけた帰り道を一人歩く。

新作ゲーム。ビスワールド、か。

若葉に言われるよりもだいぶ前に、その存在を俺は知っていた。

正確にはゲームの元となった「新技術」の方だが。


元々は軍事目的―兵士の訓練用プログラムとして

開発されていたものらしい。

人の精神をバーチャル世界に取り込むことで、バーチャル世界のものに

実際に触れることができるようになる。

それでいて、ちゃんと安全性はプログラムによって確保されているため、

リアルな条件下での、安全な訓練が可能になる・・・とか。

もっとも、ゲームに転用されたのは開発資金繰りが

厳しくなったのが大きな要因らしい。


俺は元々の目的の方には興味があったが、それがゲーム化されたと

聞いて、興味が失せてしまっていた。

「どうせよくある『モンスターがリアル!』とか

『プレイヤーキャラがかわいい!』とか、そんなもんだろ?」

いろいろなゲームを何度もクリアしてきた俺には

「つまらなさそう」

としか思えなくなっていた。


途中の公園のベンチに腰を下ろす。

今頃若葉わかばはゲームをやってるのだろうか。

ふと『デバイス』という言葉を思い出し、

「確かデバイスって、スマホみたいなやつだったよな・・・。」と

ポケットからスマホを取り出そうとしたその時。

「あ!」

スマホは手から滑り落ちて、池にポチャンと落ちてしまった・・・。


「うそだろおぉぉーーー!」と大声で叫ぶ真久まさひさ

その一部始終を見ていた女性はこう呟いた。

「おっ、ちょーどいい少年発見♪」

そして、真久まさひさにそーっと近づいていき・・・。

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