第23話 恐怖

 19時。

 私の椅子の下に、魔方陣が現れる。

 【パッシブ】・弟感知

 【肉体条項】・弟近接時、ステータス +5倍

 【感知条項】・弟敵意時、敵のステータスを看破

 【特殊条項】・弟危害時、≪冷酷無情れいこくむじょう≫発動

 00:06:59


 「ギャッギャッ!」「ギャッ!」「ギギャッギャッ!」「ギャッ!」

 「これで、遅かったのね。」


 森の中の道。周りには、ゴブリン!ゴブリン!ゴブリン!

 雑魚のテー版とは言え、何体いるのよ!


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【ステータス】

 ゴブリン

 レベル5~15

 集団で行動し、独自の文化を形成している。人や獣人への敵対心が半端ない。

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 べちゃ!

 「きゃっ!何?!」


 ≪クリーン≫

 ゴブリンに泥水を投げつけられたが、すぐにルルちゃんがクリーンしてくれる。


 「毒!≪クリーン≫で分解できるけど、目に入ったら失明するの!注意してなの!」


 ま、まじで~!ってか、石や木の枝まで投げてくる!


 「えい!てぇい!」

 ザクッ!パカン!


 槍でゴブリンを片付けながら、みんなの戦闘に合流する。


 「すごい数ね!これ全部倒している時間ないわよ!えい!えい!」

 ザクッ!ザクッ!


 「最近、ゴブリンとの遭遇が多いだー。今日は、村規模の数いるだー。」

 「この数ならキングはいねぇ!何処かに!リーダーがいるはずだぜ!そいつさえいなくなれば、雑魚は逃げちまう!」

 「リーダーね!」

 私は辺りを見回し、ステータスを確認する。


 偉そうに指揮しちゃって!雑魚のボスなんて、雑魚でしょ!


---------------

【ステータス】

 ゴブリンリーダー

 レベル18

 ゴブリンの集団を率いる。ゴブリンより少し強い程度だが、徹底的に集団に守らせる。

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 「いた!私が何とかするから!ドッタ君、荷物お願い!ひろ!ねーね、カッコイイところ見せるからね!」

 「うん!ちよねー!頑張って!」


 【技術条項・姉期待時、姉スキル≪武技≫発動


 よし!

 「ふっ!」

 スパッ!!


 「気を付けて!毒以外にも、ガスや、魔法を使うの!」

 「ルルちゃん!わかった!」


 「てぇい!やぁ!いぃえあ!」

 シュバッ!ザン!スパーン!


 あと8m!

 あと5m!

 雑魚が鬱陶しい!


 「ちよねー!ちよねー!」

 弟が必死に叫んでる!応援してくれてる?

 「■■■!■■■■■■!」

 ロッサちゃんもドッタ君もルルちゃんも戦闘をやめて叫んでる?なぜか、弟と離れると言葉がわからないのよね。


 「っし!」

 シュッ!


 みんなだけじゃない。ところどころ、ゴブリンたちも周りをキョロキョロして戦闘をしていない?チャンスよね?チャンス!


 スタタタタ!

 「でぃぇぇあ!!」


 ゴブリンリーダーに跳びかかった瞬間に地面が膨らみ、地面もろとも筒状の大きな口が私とゴブリンリーダーとゴブリン数体を飲み込むように噛みついてくる。


 バックン!!

 「きゃ?!」

 「「「ギャッ!!!!」」」


 ゴブリンもろとも大きなチューブの生命体に下半身が咥えられ、蠕動運動ぜんどううんどうするチューブ内の牙によって下半身が引き裂かれる。

 ごきぃ、ぎぎぃがりぃぎゃりりぃ!!!!


 【特殊条項】・部位欠損時、強制退去、24時間召喚不可


 「きゃぁぁぁぁぁ!!!!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!」

 私は、居間を転げまわる。

 「どうしたの?!千代!千代!!」

 「足が!足が!」

 「足がどうしたの?!足痛いの?!」

 「足が…足が…?足がある。」


 心配する母と目が合い、目から大粒の涙がとめどなく流れる。


 こ………こわい。


 こわい!こわい!こわい!


 初めての死の恐怖にガタガタと震え、声なく泣く。

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